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全ての祝宴を終え、三日後。帝国はついにロコート王国からの宣戦布告を受け取った。
理由はロコート王国内における貴族反乱の幇助。完全に冤罪だが、それを言ったところで信じてくれる国などいない。
こちらの主張を通すためには、勝利して屈服させなければいけない。勝者が正義で敗者は悪。いつの時代も戦争とはそういうものだ。
そんな宣戦布告を受けて……帝国の皇帝は妃の部屋で茶を啜っていた。
……別に遊んでるわけではない。帝国側は準備も終えて、俺自身も明日には軍を率いて出陣しようってところなんだ。ただ、時間が空いたから顔を出したわけなんだが。
「はい、あーん」
「……あ、あーん」
なんかすっげぇイチャイチャしてる……ロザリアとナディーヌが。
「美味しい?」
「……うん」
ロザリアに促されるまま、クッキーを口に頬張ったナディーヌが小さく頷く。
「本当!? 良かった……頼んで作ってもらった甲斐がありましたわ」
あぁ、これ買ってきたんじゃなくてすぐそこで作った出来立てなのか。
というか俺、夫だよな? なんで俺が邪魔ものみたいになってるんだろうか。
テーブルの席も俺の対面に二人が横並びで座ってるし、二人はずっとこの調子だ。ロザリアは全力でナディーヌを甘やかして、ナディーヌは頬を赤らめ本気で照れている。
ちなみに二人とも貴族の淑女なので、『表』では絶対に「あーん」とかしない。
「おねぇさま、その恥ずかしいです」
「あら、いつもは許してくれるのに今日はダメなの?」
……百合なの?
まぁ、そりゃ妃同士が対立するよりかはいいけどさ。
「……悪かったよ、相談なしに、また親征を決めて」
「別に何も言っていませんわ?」
それ言ってないってだけで、文句言いたいとは思ってたってことじゃねぇか。
俺はそっぽを向くロザリアに、思わずため息をつく。
「仕方ないだろ。直轄軍を動かさないでいられるほどの余裕はないし、動かすとなると消去法で俺が動かした方が良い」
皇帝直轄軍は総勢二万。ただし、部隊指揮官……いわゆる下士官の人員不足が未だに解決してない。そのせいで、動かせる皇帝軍は相変わらず半数の一万程度。しかしそれを遊ばせておく余裕は今の帝国には無い。
そして諸侯が各々の自軍を率いる今、皇帝軍を率いられる指揮官は俺かジョエル・ド・ブルゴー=デュクドレーくらいしかいない。
さらに問題があり、それは残しておく半数に訓練を施す必要があるということ。俺、兵士の訓練とかやり方知らないんだよね。加減も基準も何一つ分からない。
これは傀儡としてこの世界の「常識」を教えられなかった弊害の一つかもしれない。そして今、未経験の俺が試行錯誤しながらそれをやる余裕はない。
すると必然的に訓練側の一万はブルゴー=デュクドレーが指揮することになり、消去法で動かす方の一万は俺が指揮しなければいけない。
つまり皇帝軍を動かすことになった以上、俺の出陣も確定するわけだ。
「せめてサロモンがいれば話は違ったかもしれないが、セルジュ=レウルに取られたからな」
ヴェラ=シルヴィとの結婚を終えた後、セルジュ=レウル・ドゥ・ヴァン=シャロンジェ……ベルベー王国の外交官である彼と、エーリ王国の使節。この二人と俺は会談を取り持った。その時、ベルベー王国に彼をしばらく戻すよう頼まれたのだ。
「それは……分かっていますわ」
先日行われた両国との会談で話し合った内容は主に二点。一つは現在のガユヒ大公国についてだ。
まず、クーデターによって即位を宣言した今の支配者を正当な君主として認めないこと。またこれによって、クーデターが発生時した時点で三国同盟は破綻したもの見なす……これを帝国の公式見解とした。
ベルベー王国、エーリ王国、ガユヒ大公国の三国で結んでいた三国同盟……これが有効な時にクーデター、そして帝国軍への攻撃が発生したからな。極端な話、帝国としてはいちゃもんをつけようと思えばつけられた。それをしないことを約束し、両国を安心させたのだ。
もう一つは、その代わりとして、新しい三国同盟の提案をした。つまりベルベー王国、エーリ王国とブングダルト帝国による軍事同盟の提案である。
ただ、これはすんなり即成立とはならない。一度それぞれが持ち帰って検討するということになった。
まぁ理由は想像がつく。過去の帝国は彼らに対し主従関係に近い振る舞いをしてきたからな。俺がいくら対等な同盟関係を持ちかけたところで、すぐには信じてもらえない。
それでも、このタイミングで持ち掛けたのはそれが外交上、効果的だったからだ。
「ベルベー王国は、また戦争になるの?」
「いや、今はまだトミス=アシナクィと交戦していない。だがいつ停戦が破られてもおかしくないとの判断だろうな」
元々、トミス=アシナクィを囲うように三国で結んでいた同盟が破綻したわけだし。トミス=アシナクィとしては、今は再びベルベー王国に攻め込むチャンスだ。
そこで、俺が提示した軍事同盟だ。まだこれをベルベー王国は受け入れていないが、もしトミス=アシナクィが攻め込んできたら、この軍事同盟にサインする……その場合、帝国がベルベー王国側で参戦することになる。そういう「脅し」が今のベルベー王国は使えるようになった。
優秀な将軍であるサロモンを返し、ガユヒ大公国の件を不問とし、脅しに使える同盟案……内乱で俺の支持をしてくれた彼らへの見返りとしては、それなりの物を返せたはずだ。
……なにより、正妻の実家が荒れるようなことになれば、皇帝としての面子がある都合上、金銭や物資で支援しなければいけなくなる。
そうなるくらいなら、備えを強化し抑止力も与えた方が出費は少ないはずだ。
「……それでも相談くらいはしてくださってもよろしかったと思うのですわ」
ロザリアも、その支援のことを分かっているから強くは言ってこないのだと思う。結婚直後にまた俺が自ら兵を率い、最前線へ向かう……それが一切の相談もなく決まっていたことを、ロザリアは責めている。
もちろん、俺のことを心配してくれてのことだというのは俺もちゃんと分かっている。
「分かってる。今回は本当に時間が無かったんだ」
密偵の調べで、皇王の現状がフィクマ大公国の使節が言っていた通りに進んでいることが分かった。続報はまだ入ってきていないが、恐らく後継者をめぐって政争が激化していると思われる。
もし次の後継者がはっきりと決まっているなら、皇太子が失脚した時点で次の新しい皇太子が立てられたはず。それが無いということは、間違いなく争いが起きる。
それが政争で終わるか、内乱に発展するかは分からないが、どちらにせよどこかに禍根は残る。それを利用するために、こっちの戦争は早く終わらせないとな。
「今回も会議で決まったの?」
さっきまで頬を赤らめていたとは思えないくらい、真面目な表情でナディーヌが尋ねる。
「あぁ、諸侯の賛同を得て決まった」
南方三国への相手は、一年前から準備していた通り、ワルン公とチャムノ伯、そしてゴティロワ族長ゲーナディエッフェ……彼らに全て一任する。
そしてテアーナベ地方への備えは黄金羊商会に丸投げ。伯爵領の反乱軍は周辺の旧宰相派、摂政派貴族に「功績の大きかった順で領地を与える」という確約をして攻撃させている。さらに念のため、その後詰めにはマルドルサ侯を置いている。
ガーフル共和国との戦争へはアーンダル侯とニュンバル侯、後詰めにヌンメヒト女伯。
……こうやって見ると、マジで帝国中の兵力が総動員されてるな。そんな状況だから、皇帝直轄軍は遊撃的な役割を担うことになる。まず最初はガーフル共和国と戦っているアーンダル侯かニュンバル侯の援軍になると思う。そして予定ではそこから、反時計回りに敵を撃破していくことになっている……完全に机上の話だし、上手くいかない可能性は高いけどな。
「その間、帝都はブルゴー=デュクドレーが守りにつくことになっているが……貴族はほとんど全員出払うことになる。その間、宮廷の采配は二人に任せる」
俺がそう言うと、ナディーヌが二人という部分に反応する。
「ということは、ヴェラ様は連れて行くの?」
「もう出立なされたわ」
そう答えたのはロザリアだった。どうやら律儀に見送りにまで出ていたらしい。
「とっても張り切っていらしたわ……無理をさせてはダメよ?」
そう釘を刺された俺は、保障はできないと素直に答える。
「こればっかりは、戦争だからな……だが、そうならないよう気を付けてはいる」
一足先に出立させたのも、軍隊の行軍速度に合わせて移動させるのよりかは、余裕を持たせてあげられると思ったからだし。
というか、なぜかロザリアはヴェラ=シルヴィとも仲がいいんだよな……まぁ、ナディーヌとの関係みたいにベタベタはしてないんだが。そういうところは、実年齢通り大人なんだよね、ヴェラって。
だがそれほど関係が深くないナディーヌにとっては、ヴェラ=シルヴィという人間はまだ未知数らしい。
「大丈夫なの? 彼女、どちらかと言えば儚い感じの人じゃない」
まぁ、言わんとしてることは分かる。正直、十五歳くらい年下のナディーヌと並べても、ヴェラ=シルヴィの方が幼く見えるし。
それに、この世界は日本とは違う。農民だって武器を持つし、そこら中に野盗は潜んでいる。一般人が夜中に松明やランプなどの明かりも無しに出歩くと、問答無用で犯罪者扱いされ身柄を拘束されるくらいだ。
だから、歴代皇帝が後宮に妃を押し込めてきたのは、基本的には彼女たちを守るためだ。
「いや、初めてあった頃と比べると、結構図太くなったぞ、いい意味で」
幽閉塔で初めて見た彼女は、今にも消えてしまいそうな儚さがあった。けど魔法という力を得てからは、かなり活発になった。だってシュラン丘陵の戦いの際とか、平然とついてこれてたし。しかも最前線でちゃんと戦力になっていた。
「だとしても、ですわ」
「分かってるって」
もし守り切れなかったら潰すって『アインの語り部』には言っておいたし。組織を挙げて守ってくれることだろう。
***
それからしばらく、俺は菓子をつまみながら、茶を飲みながら……二人との雑談に花が咲く。まぁ、出陣前の最後の機会だしな。俺が率いることになる皇帝直轄軍の、明日の出陣へ向けた最終調整は全部ティモナがやってくれているし。
……いや、仕事しろっていうのも分かるんだけどさ。こういう時間も大事にしようと反省したからな。それに、戦争に行くってことは死ぬかもしれないってことだし。
「そういえば、エタエク伯が挨拶に来てくださいましたわ?」
そんな雑談の最中に、いきなりロザリアがエタエク伯の名前を出す。俺は嫌な予感がし、きっぱりと否定する。
「側室にはしないぞ」
俺に対し全面的に好意を押し出してくるエタエク伯だが、あれは恋愛的な好意ではなく、尊敬の眼差しだ……まぁ、何でそこまで尊敬されてるのか心当たりはないんだが。
というか、まだ男ってことになってるんだから、少しは隠してくれ頼むから。
「あら、とっても可愛らしい方でしたのに……」
えぇ……俺はどちらかというと怖いんだけどな。
俺はふと、そのあっさりと引いたロザリアの言葉に何かを感じとる。
「まさか、そういう流れがあるのか?」
「エタエク伯はまだ知られておりませんから……ヌンメヒト女伯と、ですわ」
おいおい、マジかよ。誰だ? 俺の知らないところで余計なことしてんのは。
「ロタールか? ブングダルトか?」
「後者ですわ。前者は……嫌われてしまったようで」
ロタール人貴族にロザリアが嫌われた? ……あぁ、女王戴冠のアレか。確かに伝統は違うやり方にしたからなぁ。ブングダルト人から嫌われていない理由は、ロザリアもブングダルト人の家系だからだろうな。
「どういうこと?」
話が理解できなかったナディーヌに、俺は分かりやすく説明する。
「ワルン公とチャムノ伯が勢力を広げてる現状を気に食わないブングダルト人貴族が、新しい側室を立てようとロザリアに働きかけてるんだ」
実際、正室と側室が対立することはよくあるしな。しかも、表向きの場ではロザリアとナディーヌ、ヴェラ=シルヴィはそれぞれ仲の良いアピールをしていない。
だから何も知らない貴族はロザリアが他の妃を疎ましく思っているだろうという前提で、彼女を唆して、ワルン公とチャムノ伯の対抗馬になれる貴族かその娘を皇帝の妃にしようと画策している訳だ。
……現実は「あーん」だぞ。
「あぁ、そういうこと。……ねぇ」
事情を理解したナディーヌ、真剣な面持ちでこちらを見つめる。
「なんだ?」
「これは私が言うことではないかもしれないけど……どうしてワルン公やチャムノ伯に、あんなにも広大な土地を与えたの? 第二の宰相や式部卿が生まれるかもって、怖くないの?」
俺は驚いて、ナディーヌの顔をまじまじと見返す。
まさか、そこまで分かるようになっているとは。成長してるってレベルじゃないし、ちゃんと皇室の人間としての視点になっている。
「……そうだな、二人はもう皇室の一員だし……伝えておこう」
***
皇帝カーマインは、生まれながら傀儡だった。それは宰相と式部卿によって、政治が完全に掌握されていたから。そして二人がそれだけの政治力を握っていたのは、広大な土地を所領として持っていたからである。
「特定の貴族に広大な所領を与え、力を持たせる。これは皇室として見れば避けるべき行為だ。特定の貴族が強い発言力を持つようになり、その貴族を皇族は無視できなくなる」
俺がやってることは、中央集権とは真逆の行為だ。大貴族の専横に苦しんだはずの俺が、また大貴族を作ろうとしている。
「だが国家として考えれば、これは何も悪いことではない」
というか、もし宰相と式部卿が帝国全体の民のために行動していたら。もし彼らが、その権力に見合うだけの義務を果たしていたら。
……俺はたぶん、今も傀儡の立場に甘んじていたと思う。それか逃げ出していたか。
彼らの罪は、俺を傀儡にしたことではない。帝国に尽くさなかったことだ。だから帝国の皇帝として、俺は彼らを殺さなければならなかった。
「俺が幼いころ、確かに帝国は分裂し、貴族の専横を受けた。けど帝国はその間、他国から本格的な侵攻は受けていない。せいぜい小規模な襲撃程度だ」
まぁ、その小競り合いに俺とロザリアは巻き込まれ死にかけたんだけどね。
「それは周辺国が幼い皇帝ではなく、宰相と式部卿という大貴族の存在を警戒していたからだ。もし彼らがいなければ……幼い皇帝と普通の貴族しかいなかったら、帝国はもっと酷い状況になっていたと思う」
下手したら滅んでいたんじゃないかな。
俺は宰相も式部卿も、人間として嫌いだった。生まれたその瞬間から生殺与奪を握られ、自由もなく、貴族の醜悪な部分を見せられた。だから俺はあいつらが嫌いだ。貴族として見ても、皇帝を蔑ろにし、周辺国と繋がっていた彼らは国賊と呼ぶにふさわしい。
だが同時に、政治家としてみれば……奴らは確かに優秀だった。俺から権力を奪ったから、結果的に俺は無害な存在として生きながらえた。周辺国と繋がっていたから、結果的に他国の侵略を防止できた。
奴らは独立ではなく、帝国の中で権力を握ることを選んだ。だから帝国の滅亡は望まず、最低限は帝国のためにも動いていた。中立派が存在したのも、そこに財務卿がいたのも、ワルン公がいたのも、その存在が帝国として必要だったからだ。
あと、あいつら自分の領地はちゃんと開発してたからなぁ。ただ金銀財宝を仕舞い込むだけじゃなくて、自分の領地には還元していたのだ。
「周辺国は帝国ではなく二人を警戒し、結果的に二人が所属する帝国に手を出さなかった……そういう側面もあると思っている」
俺が転生者じゃなかったらあの二人の天下は続いてたと思うよ。
「あの二人を随分と評価してたのね」
「むしろ評価してたから、陛下自らその手をお汚しになられたのですわ」
まぁそうとも言えるかもしれない。もしあそこで二人に逃げられていたら、俺は未だに帝国の一地方の主に過ぎなかったと思う。息子たちと違ってどんな手でも打ってきそうだしな。
「帝国として見れば、特定の貴族にある程度権力が集まることは、悪いことではない。『船頭は多くてはならない』と聖一教でも言うだろう。少しの権力を持った貴族が百人いるより、それなりの権力を持った貴族が四、五人いる方が、国としては安定する」
問題はそいつらが国政を放り投げて、政争ばかりにかまけた場合……国家も衰退する。
それを防止するための皇帝だ。だから、別にワルン公とチャムノ伯だけに集中させている話じゃない。
「でもそれって、皇帝の権限が弱まらない?」
「そこはバランスかな。皇帝としても最低限の影響力は確保できるように、こうやって軍を率いたり、外国と交渉したりってやってるし」
……というか、六代皇帝の「やらかし」を見て、皇帝だけに権力を集中しようとは思えないんだよね。
帝国は最悪な皇帝を経て学習すべきだ。皇帝の権力に制限が無かったから、六代皇帝の最悪な治世が生まれた。増えすぎた貴族、弱体化した軍隊、破綻した経済……全てたった一人の皇帝によって引き起こされたのだ。
俺は良い。だが俺は俺の子孫が信用できない。
俺は生まれた時から、六代皇帝の尻拭いに奔走させられている。俺が生まれながら皇帝なのも、原因を辿れば六代皇帝のせいになると思う。
「……被虐趣味?」
「失礼な。第二のエドワード三世になりたくないだけだ」
「……あぁ。その一言で全部理解できたわ」
まぁ、凄い反面教師だからな。たった一人で一国を傾けたわけだし。
もちろん、最終的には中央集権化を理想としている。だがこの「中央」とは、皇帝ではなく帝国「政府」だ。その為には、官僚制度や中央政府の整備をしなくてはいけない。
ほんと、気の遠くなる話だし、あくまで理想論である。だから今は、現実的な妥協案として信用できる貴族……ワルン公やチャムノ伯に権限を与えている。
「だからその二人だけに権力を集中させるつもりもない。今は南方三国を相手するために必要だったってだけ」
本人が武闘派じゃないから元帥権限を与えてないだけで、ニュンバル侯にも広い領地は与えてるしね。
「もしかして、ガーフル共和国方面に向かうのはそれも理由ですの?」
「そういうこと。特にニュンバル侯には消耗を抑えてもらわないとね……そういうのも全部ひっくるめて、やっぱり俺が出るしかないんだ」
万が一、ニュンバル侯が戦死でもしたらこの国の内政は終わるし。
あと、ワルン公やチャムノ伯とは違い、ニュンバル侯は皇帝と婚姻関係を結んでいないからな。親戚ばかり優遇する皇帝だと思われないように……やはり最初に救援するべきはニュンバル侯だ。




