レイドラ攻略
本日二話目
爆音がなり、大砲から石が撃ちだされる。その数瞬の後、都市に爆音が響く。城壁に強く打ちつけられた石は砕けるも、城壁に穴は空けられなかった。それでも壁はひしゃげている。威力は申し分なさそうだ。
俺たちはその光景を、少し離れた場所から見物していた。
ワルン軍の主力と、ニュンバル軍は都市レイドラを包囲している。そして皇帝軍……つまり新兵たちは、大砲の前面に布陣させている。丘陵で戦闘になれば、大砲の弾は頭上を飛んでいく。その音や恐怖に、多少でも慣れさせた方がいいとの提案もあり、この布陣になっている。
そして俺たちは、この大砲を護衛する部隊の横に陣取っている。ようやく追いついた魔法兵部隊と近衛隊、そして合流したペテル・パールの指揮するアトゥールル騎兵だ。ヴェラ=シルヴィは大砲の音が苦手なのか、小さくなって耳を押さえている。一方、ナディーヌはかなり慣れているようで、平然としている。髪をきつく結び、鎧に身を包んだ姿も相まって、女性がほとんどいない戦場でもその存在に違和感はない。
ヴェラ=シルヴィの方は、そういう意味ではかなり浮いているだろう。何せ、この戦場で一人だけドレス姿なのだ。目立たないはずもない。実のところ、行軍していた頃から彼女の評判はそれほど良くなかった。幼い皇帝が、愛人を引き連れているという噂もあったらしい。まだ子供だっつーの。
だがそんな噂も、つい先ほど払拭できたはずだ。何故ならこの大砲を運んだのは、他でも無い彼女なのだから。
一応、一般的な攻城砲であるカーヴォ砲はまだ運びやすくなっている。しかし規格外の大きさであるフロッキ砲の方を運ぶのは、大の大人が二人は最低でもいるだろう。何せ、そのあまりの重さから運搬用の台車が造られ、それも重すぎて車輪が地面にめり込むほどなのだから。
だからシュラン丘陵でフロッキ砲を置く場所……砲座は、地面をこれでもかというくらい押し固めている。流石に台車に乗せたままでは発射の反動で大砲が後ろに走り出してしまうので、実際に使用する際は台車から降ろさなければならない。大抵は土を盛り、大砲が斜め上を向くようにして固定する。
これが本来の『砲座』らしい。最近は車輪がついたままでも撃てるタイプの砲があるので、単純に大砲を設置する場所も砲座と呼ぶ。小型の砲であれば、車輪の上でも固定さえできれば良いからな。
ただフロッキ砲は、反動が大きすぎて固定ごと吹っ飛ぶらしい。この超大型砲が将兵から不人気な理由の一つだ。
それはともかく、車輪というものはやはり偉大な発明である。重たすぎるフロッキ砲ですら、二人いれば最低限動かすことができる。これが四人いれば、それなりに動かすことができる。
……まあ、よく壊れるんだがな。車輪の方が耐えきれなくて。
だがヴェラ=シルヴィはこれを魔法で持ち上げた。そのまま悠々とここまで運んできたのだ。車輪のついた台車も使わずにだ。それを見た兵士たちの目は、侮りから畏敬へと変わっていた。なんなら、恐怖すら与えたかもしれない。
ちなみに、俺には出来ない芸当である。俺が魔法で念動力のように持ち上げられる重量は、大したものではない。重いものは重いというイメージがどうしても拭えないのだろう。正直、なぜヴェラにそれができるのか理解できない。だがヴェラ=シルヴィには、俺の【炎の光線】は使えない。
これもイメージの問題なんだろうなぁ。魔法の研究が進まない訳だ。
それはさておき、俺は「女性はほとんどいない」と言った。逆に言えば、ヴェラ=シルヴィやナディーヌ以外にも多少はいるのである。サロモンが指揮する魔法兵には、女性の兵士もいるのだ。
この世界でも男尊女卑の風潮はあるが、それ以上に魔法使いが正義だ。魔法使いが全員貴族とは限らないが、貴族は大抵、魔法使いである……そんな風潮がある為、戦場に女性がいても、魔法が使えれば文句は出ない。そして強力な魔法使いは、それだけで一目置かれる。
強力な魔法使いは、平民であっても貴族の養子になったりして、比較的簡単に出世できるのだ。女性であれば、下級貴族からのお見合い話が大量に来る。
あとこれは余談なのだが、元からその実力を知っていたらしいベルベー人部隊の女性陣の間で、ヴェラ=シルヴィは憧れの存在になりつつある。既にかなりの人気だ。
まぁ、確かに彼女は尋常じゃない。今だって、爆音に怖がっている割には土ぼこりは全て防壁で防いでいる。だいたい、彼女がずっとドレス姿のままなのは、それが汚れないよう全て魔法で完璧に防いでいるからだ。
……なんで汚れは防げて、音は防げないのか。音は振動だって教えたはずなんだけどなぁ。
再び爆音が鳴り響き、発射された巨石が城壁に撃ちつけられる。今度は城壁に穴が空いた。だが貫通はしていない。というのも、城壁というのは、石垣のように積み上げられた壁ではない。大抵は二重になっていて、その間には空間がある。そこに兵士が入り、空いた隙間から反撃するのである。今回は一枚目の壁のみ抜けたのだ。
それでも、城壁に穴を空けられた動揺は激しいようだ。何やら城内が慌ただしく動いている。それにこのカーヴォ砲、この距離での命中率は可もなく不可もなくといったところのようだ。初弾との着弾地点の差は、注視していなければ分からないくらいの誤差だ。
「これがカーヴォ砲ですか」
となりで観測していたサロモンがそう呟くと、同じく近くにいたナディーヌが答えた。
「もっと近い位置なら完全に貫通できるわ。それに、本来はもっと上を狙うものなのよ」
サロモンの反応が芳しくないと思ったナディーヌが、俺の方を見ながら不満げな声をあげた。この大砲は別にワルン公軍の物ではないのだが……今運用している部隊はナディーヌ指揮下の部隊五〇〇名の兵たちだ。彼女の抗議も道理である。
「すまないな。しかし民に罪はない。なるべく被害は与えたくないのだ」
城壁も建造物だ。土台ともいえる城壁の下の方より、上の方が強度は低い。特に城壁の上部にある胸壁と呼ばれる部分は、砲弾が当たれば軽く粉砕できるだろう。この胸壁とは、弓兵などが射撃を行う際に隠れる場所のことだ。見た目はチェスのルークの駒、あれの凸凹だ。
しかし、上の方を狙った場合、上方向に逸れると城壁を越え市街地に着弾してしまう恐れがある。これが他国との戦争なら許したかもしれないが、これは内戦だ。被害は増やしたくない。
ただ、その辺の考え方には、俺と貴族の間に隔たりがあるのは事実だろう。皇帝である俺にとってはこの都市も守るべき帝国の国土だ。しかし貴族にとって、守るべきは自分の領地である。彼らにとって他貴族の領地など、外国と変わらないのだ。
「いえ、驚いているのですよ。何せベルベー王国では、攻城砲を用意する余裕もないものですから」
サロモンは、肩をすくねながらナディーヌにそう答えた。どうやら彼は、大砲の発射をこちら側から見るのは初めてらしい。撃ち込まれる側は経験ありそうだな。
「なるほど、ああやって」
それからサロモンは、どこから持ち出したのか、望遠鏡のようなものを覗きながらそう続けた。たぶん魔道具だな。
「油で冷却する訳ですか」
野鳥でも宥めているかのような、ほのぼのとしたサロモンの声と大砲の爆音。その違和感に、俺は思わず笑いそうになる。
「それが今の主流らしいな。水で冷やすより、砲身が長持ちするらしい」
たぶん、水の方が油よりは冷却能力は高い……はずだ。水の蒸発時の吸熱能力は高いって聞いたことがある。ただ、その辺の知識は正直怪しい。前世は文系だったからな。そして過熱したものを急激に冷却すると、ひび割れやすくなるはずだ。油を使っているのは、それを防ぐ為だろう。
ちなみに、この時代の大砲は全て、火薬で石を撃ち出す「射石砲」である。これは鉄の砲弾を加工するのにコストがかかる上、技術的にも難しいからだ。ついでに言うと、工場生産や統一規格なんて無いので、大砲ごとに口径は少しずつ違うし、砲弾である丸く加工された石も、微妙に大きさが異なっている。それでも撃てるように、砲身は奥にいくにつれ狭くなっており、また砲の内側には何本か線状の突起があり、そのどこかに石が引っかかれば弾を撃ち出せるようになっている。
そんな大砲を、ワルン軍五〇〇人の部隊は、慣れた手つきで運用している。ワルン公軍でも、同じ物を使っているらしいから手慣れているのだろう。
だが今はもう八月に入っている。甲冑を着ていれば、汗がにじむ季節だ。そして大砲という熱量の凄い場所で作業する人たちは、熱さに耐えるためか上裸で作業している。
ちなみに、この五〇〇の部隊は、エルヴェ・ド・セドランが指揮する本隊三〇〇〇とは異なり、ナディーヌと共にキアマ市に入城し、その守備に就く予定だ。まぁ、キアマ市の規模を考えると、都市の防衛戦力としては元からいる守備兵も合わせ、妥当な兵力になるだろう。
彼女の部隊は、マルドルサ侯やエタエク伯の軍勢が到着するまで、行動を共にすることになっている。だがこの両軍は、間もなく丘陵に到着するようだ。これが皇帝の前で指揮する最初で最後の機会だと、ナディーヌも気合が入っているのかもしれない。
するとそこで、それまで以上の轟音が鳴り響いた。
「ひうっ」
思わず倒れこみそうになるヴェラ=シルヴィに手を伸ばし、そのまま立たせる。どうやら、腰が抜けた訳ではないらしい。だがそうなってもおかしくないくらいの、まるで雷が落ちたかのけたたましい音であった。
「今のは……」
「フロッキ砲の一射目よ」
激しい音と共に撃ち出された肩幅くらいの巨大な球体は、城壁に確かに穴を空けた……しかしそれは、カーヴォ砲と同じく城の外壁を撃ち砕いたのみであった。
「これは……熱が凄いな」
「ここまで、熱気が、届き、そう」
ただ、その熱や音に比べると、効果はやや物足りないように感じる。
「砲身が大きすぎて、冷やすにはいくら油があっても足りないわ。だからこのまま空気で冷やす……良いわよね?」
俺はナディーヌの言葉に頷く。
「その場合の次弾発射は?」
「一時間後よ」
一時間に一発か。まぁ割に合わないな。だからフロッキ砲は廃れているのだろう。攻城砲であれば、カーヴォ砲で十分な効果は見込まれる。
「しかしこれだけの音、威圧に使えそうですが。それこそ、魔法ではこうはいきませんから」
サロモンはそう言いながら、使い道を考えている。俺はそれを尻目に、ナディーヌに命令を出す。
「次は火薬を減らしてくれ」
「それじゃあ、城壁まで届かないわ」
敵兵が突如門を開け突撃してきても、しっかりと貴重な大砲が守れるように、その前に兵を展開している。彼らの頭上に落ちるかもしれないから、危険だと言いたいのだろう。
「そこは絶妙な調節……は無理か」
「無理よ! 万一にも、味方の上に落とす訳にはいかないわ!」
残念ながらナディーヌに断られてしまった。そうなると、後でまたヴェラ=シルヴィに頼んで、移動させてから撃つか。
「次、は魔法、兵?」
今回の目的は、都市レイドラの攻略と、城壁の破壊の二つである。と同時に、大砲と魔法兵のテストを兼ねている。試運転みたいなものだ。
特に魔法兵に関しては、サロモンに頼んで訓練してもらってはいるが、具体的にどのくらいの練度なのかは分かっていない。
「指揮は執らないのか」
いざ魔法兵が動き始めても、サロモンは相変わらず近くにいたままだった。まぁ、ナディーヌもそうだったんだが。
だが、ワルン公女として「守られる」存在である彼女と違い、「指揮官」であるサロモンは動くと思っていた。
「その時に備えて分けております」
なるほど、本番想定で動かすってことか。確かに、予定では魔法兵は分散して運用するつもりだからな。
そして戦闘……いや、「演習」が始まった。まず、十人くらいの隊が一つ、城壁に向けて一斉に「雨」を降らせる魔法を撃ったようだ。
「得意属性で部隊を分けているのか」
この世界はゲームではないので、『属性相性』のような考えは存在しない。いや、正確にはこの世界でも『古い』考え方と言うべきだろうか。ただ、得手不得手は誰しも存在する。俺だって、水関連の魔法は苦手だし。
そういう意味では、得意な魔法が同じ人間を固めるというのも、まぁ悪い考えではないのだろう。
「それと『射程』でも分けています」
よく見ると、確かに分かれているようだった。水系統だけでも、長射程は雨を降らし、中射程は水の弾を飛ばし、短射程の部隊は手元から水を流す程度。
「あれで『魔法兵』と呼んでいいのか」
そこで、初めてペテル・パールが口を開いた。大砲には興味無さそうだったのに、魔法には興味があるらしい。
「呼べないでしょう。ですが、陛下がお求めになられた水準には達しているはずです」
「確かに、な。そもそも、ほとんど魔法を使ったことも無いような人間を、ここまで育ててくれたのだ。それだけでも余は感謝している」
実際、この世界において魔法兵とは、数も少なく、実戦レベルになるまで時間がかかる兵科だ。
それでも、敵に一方的な魔法攻撃を受けないよう、どの勢力も少しは雇用している。そういう意味では、最初の一歩を踏めたくらいの練度はあると思って良いだろう。
「陛下、魔法兵において最も重要なのは何だと思いますか」
突然のサロモンからの問いかけに、俺は少し考え答える。
「……魔力枯渇への警戒心か?」
「それもあります。ですがそれ以上に必要なことは、『自分を過信しないこと』です」
魔法が使える自分に酔って、歩兵や騎兵の援護が受けられない位置まで出た魔法兵は、待ってましたと言わんばかりに狩られてしまう。そういう意味では、これくらいの魔法しか使えなければ自分の力に酔うことはない。
「陛下のご依頼通り、『水』と『氷』と『風』……お見せできたでしょうか」
「あぁ、十分だ」
サロモンのベルベー魔法兵とは天と地くらい練度に差があるだろうが、別に魔法攻撃をさせるために連れてきた訳ではないから問題ない。
「では最後に、ベルベー王国魔法兵の『斉射』をご覧ください」
斉射? 火の矢のようなものを一斉に撃つのだろうか。
俺はそう思ったが実際は違った。約五〇名の精鋭魔法使いによる、魔法の合わせ技である。
数秒の内に、地面が隆起する。同じ魔法を一斉に使い、一つの大きな事象を引き起こしたのだ。大地はうねり、それが城壁へと伸びていく。
それが何度か繰り返されるも、他には何も起こらない……と思ったその瞬間、大きな音とともに砂埃が舞った。やがて視界が晴れると、その後には沈んだ地面と、それによって崩れ、穴が空いた城壁が残されていた。外壁だけでなく、内側の城壁も崩れている。
「『モグラ』か」
ペテル・パールが興味深そうにつぶやいた。
古くからある攻城戦の戦術に、『坑道戦』というものがある。敵の城壁などの地下へトンネルを掘り進み、木材を支柱としてこのトンネルを支える。その後、この支柱を一斉に燃やすことで、土の重みに耐えられずトンネルは崩壊する。これにより、地表を陥没させ城壁も崩すというのが『坑道戦』である。その別名が『土竜攻め』だったはずだ。こっちでも同じ呼び方をするらしい。
「随分と派手な魔法を使うんだな」
よく見ると、周囲には土が盛られている。大地のうねりは下の土を掘っていたからか。あと同時に、城壁の下の地面を固める魔法も使っていたのか。魔法でトンネルを掘り、その後【地面を固める魔法】を解除した。すると魔法の効果を失った城壁真下の土は、重みにより沈んだ訳だ。
本来数週間から数か月かかる坑道戦を、一瞬で……なるほど、これが魔法兵か。
「魔力を消費することも作戦の一種ですので」
あぁ、やっぱりそういうものなのか。戦場での魔法兵の戦いとは、魔法の撃ち合いだけでなく、魔力の潰し合いでもあるんだろうな。
そうか、だから最後に魔法を「解除」する攻撃なのか。限界まで土を掘って魔力を枯渇させ、維持できなくなった【地面を固める魔法】が勝手に解けて地面が沈むと。とんでもなく理にかなっている。これが歴戦の魔法兵の戦い方……まだまだ過小評価していたようだ。
「……当て馬みたいじゃない」
大砲以上の威力を魔法兵に出され、ナディーヌはむくれていた。
「土台がおざなりな城壁にしか使えない戦術です。こういった小さい都市でなく、大都市であれば通用しません」
サロモンの言葉に加え、俺もナディーヌをフォローするとしよう。
「魔力が枯渇すれば撃てない魔法兵と継続的に撃てる大砲、それを比較している訳ではない。引き続き、砲身が破損するまで頼む」
「……分かってるわ」
実際、魔力が無くなれば魔法兵は数も少ないただの案山子になる。まぁ、サロモンが連れてきたベルベー人魔法兵は、精鋭なだけあって魔法以外の戦闘技術も磨かれているようだが。
「しかしこれからは考えなければいけませんね」
撤収する自分の部隊を眺めながらサロモンが呟いた。
「これから?」
「えぇ。【封魔結界】による魔力貯蔵……これは戦術を一新するでしょう。実戦でも使うなら、魔法は威力よりも魔力が霧散する前に使えるくらい『素早く効率的な』魔法が重要になります。私の部隊でも対軍ではなく対人戦闘用として多少は訓練していますが……威力や射程を見直さなければいけません」
「あぁ」
確かに……と言いかけ、俺ははたと気がついた。ヴェラ=シルヴィと話した時に引っかかってたもの、その正体がようやくわかった。
もしかすると、かつて滅んだ魔法文明との差はここではないだろうか。
今、世界で主流の魔法は効率化されていない。する必要が無いからだ。だが、即位式の前に『アインの語り部』によって見せられた地下施設。あそこで見たものは、明らかに効率化された魔法だった。まるで電子機器のように、無数の魔法がたぶん無駄なく組み合わさっていたのだ。つまり、魔法の効率化を進めた先に、滅んだ魔法文明があるのではないだろうか。
そして「神に請われ」この世界にやって来たアインは、古代魔法文明の遺跡を壊したがっていた。
もしそれが「神の思し召し」なら……「魔法の効率化」は「神の考え」に反するかもしれない? いや、流石に話が飛躍しすぎか? だがもし、これが事実なら……。
いや、しかしそれがダメなら、それこそ聖一教の『大原則』で禁止しているはずだ。それが無いならセーフ……か?
だが超常の存在にこんなことで睨まれたくはない。その分、積極的に「遺跡」を潰すなどして、叛意はないとアピールすべきか?
「陛下? いかがされましたか」
「いや。なんでもない」
……全く。何で見たこともない「神」の許容ラインを探らなければいけないんだ。というか、この転生に文句の一つでも言ってやりたいのだが。
いっそ神託か何かで「許容ライン」を教えてくれれば楽なんだがなぁ。