表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

第八話 僕が僕であるために

最終回…><

 体に激しい衝撃が伝わる。僕はゆっくりと目を開け、周囲の状況を確認する。

 

(……どうやら現実世界に戻ってきたみたいだね)


 グラウンドに集まっている生徒達の様子からして、僕はセカンドワールドへ飛ばされる直前に戻ってきたのだろう。ここでふと後ろを確認する。セカンドワールドに飛ばされる前まではそこにいたはずの水島さんの姿が消えていた。もう彼女は役割を終えてしまった、ということなんだろうか?

 ゆっくりと深呼吸をしてもう一度周りに目を向けてみる。果てしなく広がる青い空、そこを優雅に泳ぐ薄い雲の群れ、そして僕を指さす生徒達……。それらはセカンドワールドへ行く前と全く同じ光景のはずだった。そのはずなのに、僕はこの光景に対して以前とは正反対の感想を抱いていた。以前の僕の目には世界はもっと暗く映っていただろう。どうやら考え方が変われば世界の色なんて簡単に変わってしまうらしい。なにより僕の心の中は揺るぎない自身への期待に満ち溢れていた。

 

 ───この景色をしっかり目に焼き付けておこう。そして何かあるたびに今日の出来事を思い出そう。これから続く長い長い物語の中で僕がブレてしまわないように。僕が僕であるために……。



* * *



(もう大丈夫みたいだね)


 水島有希奈は少し離れた場所から観月を見た後静かに微笑んで、新たに自分の役割を探すべく方向を変えて歩き出す。


(人はそれぞれ心の中で花を育ててる。でも花は水をやらなかったり栄養が足りなくなったりすると枯れてしまう。そんな花をもう一度咲かす手助けをするのが私の役目……)


 彼女は次なる目的地に思いを馳せる。彼女もまた彼らと同じように成長途中なのかもしれない。


(さて、次はいったいどんな花が咲くかな。楽しみだ)





 ───セカンドワールドの本当の目的は過去に戻って人生を再スタートさせるということではなく、過去が原因で千々こもってしまった人を更生させることである。ゆえにセカンドワールドでは、あえて現実世界とは別の選択肢を用意し、その後本人を十分に苦しめうる出来事を課すようプログラムされている。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ