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超コミュ障の僕はいつの間にかモテまくっていた  作者: 草ったミカン
第1章 一年一学期編
8/18

熱愛記事騒動 ②

  新聞部部室に入ると一人の男がソファで紅茶を飲んでいるのが見えた。

「おやぁ?客ですか…どうぞお入りください…。」

 その男はねっとりとした喋り方で話しながら手招きする。

 そしてメアリー、恵理、麗華、涼太の四人は彼の誘導のまま机を挟んで彼の向かいのソファに腰かけた。

「ようこそぉ新聞部へ…今日はどんなご用事でぇ…?」

 恵理はその喋り方を聞いてる内にイライラが溜まっていった。

「あのー!私たち抗議に来たんですよ!」

 恵理はイライラを隠しきれていなかったがなるべく冷静に対応としていた。

「抗議ぃ…?はて…どんな内容でぇ…?」

 男は知らないふりを通していた。

「今日のふざけた記事についてよ!メアリーと涼太いる時点で察しなさいよ!」

 恵理の言葉を聞くと男は大袈裟に納得した素振りをする。

「なぁるほどぉ!そういえば本日の大スクープの張本人のメアリーさんと滋賀君がいますねぇ…。ということは今日のスクープのぉ…えーと…。」

 男は考えるそぶりをして

「何を抗議しに来たんですか…?」

 と真顔で答える。

 恵理はそれを聞いた瞬間ブチ切れて机をバーンと叩きながら立ち上がる。

「あんた!?そこまで言って分からないってどういうことよ!?」

 恵理は今にも胸ぐらを掴みそうな雰囲気だった。

「止めなさい恵理。あいつはそういうやつなの。」

 メアリーはそんな恵理をなだめる。

「そんなやつって…。」

「彼は新聞部部長の新藤 千秋。あえてイライラさせるような事をして自分に暴力を振った人物を記事にするというやり方を得意としてる人よ。にしても相変わらずだね。」

 メアリーはいつになく静かな態度で新藤を紹介する。

「おやぁ…私のことをよく知ってますねぇ…いやー私の代わりに私の紹介をしてくれるとは流石私の友人だぁ…。」

「えぇ友人の紹介するのは友人の役目ですもの。とう当然よこのぐらい。」

 新藤とメアリーはお互いに笑いあった。

「この二人本当に友人なの…?」

 麗華はボソッと涼太に問いかける。

(どう考えても違う…。)

 涼太は苦笑いする。

「…ちっ。めんどくさい奴のようね。」

 恵理は渋々ソファに再び腰かけた。

「まあその様子だと私たちが何を抗議しに来たのか本当は分かってるんだよね?」

 メアリーは新藤に話しかける。

「えーとぉ…今日の記事についてってのは分かるんですがぁ…。」

 新藤は自分の顎を触りながら首を傾げる。

「すいません…本当に何しに来たんです…?」

 新藤はまた真顔でしかもねっとりしてない言い方でそう言った。

「あんた…ここまで来てまだ惚ける気なの!?」

 恵理はせっかく抑えた怒りがまた出そうになった。

「あ、いえいえ惚けてるんじゃないんですよ。」

 新藤は真面目な顔で答える。

「いいですかぁ…。あなた方が今日の記事に文句があるというのは分かるんですよぉ…。で、その文句をここに持ってきたというのも分かるんですよねぇ…。」

 新藤は人差し指を立てながら説明する。

「いちいち動きがうるさいな…。」

「多分それも作戦なんだろうね。」

 恵理と麗華がボソボソと会話する。

「でも私が分からないのはそっからなんですよねぇ…。」

 新藤は唇を尖らせ目を丸くさせ、大袈裟に惚けた表情をする。

「ど、どういうこと…?」

 麗華が素直に聞く。

「えーとぉ…答えるために質問何ですけどぉ…あなた方今日の新聞どう思いましたかぁ…?」

 新藤は例の新聞をひょいと取り出し四人に問いかける。

「どうって…悪意の塊よ!こんな分かりやすいコラ画像で悪質な嘘の記事で…。」

 恵理は新藤に答える。

「そう…!そうなんですよぉ…!」

 新藤は指を指しながら答える。

「この記事に信憑性なんてまるで存在しない…信じる人はよっぽど純粋な人だけ…情報を伝えるという本来の役目を全く果たしていない…それでいて悪意だけは感じられる…

。」

 新藤はここで一息つく。

「つまり…これはただメアリーさんを攻撃するための物なんですよぉ…。」

 新藤はいつもよりねっとりさを増した喋り方でこういった。

「な!?じゃあ余計怒るのは当たり前じゃない!?」

 恵理は怒りよりわざわざその事を本人が堂々と言ったことに対しての怒りの方が大きかった。

「えぇ…ですから文句をここに文句を持って来たことは分かるんですよ…。」

「?…どういうことなの?」

 新藤の言ってることに麗華が疑問を持った。

「つまりですねぇ…別に抗議して何がしたいのかってことですよぉ…。」

 新藤は髪の毛の先をクルクルさせて遊ぶ。

「何がしたいか…?」

 麗華は余計何が言いたいのか分からなくなった。

「はい…例えばですよぉ…ただ怒りを持ってきたということなら私たちは謝罪をしますよねぇ…でもそれであなた方はそれで収まります…?」

 新藤の言ったことを想像して恵理は歯をぎりっとさせた。

「土下座されても嫌だね。そう言ってる時点であんたには誠意は無いんでしょ。」

 メアリーは冷静に答える。

「まぁそうですね…ではあなた方の求めている可能性を一つずつ想像しましょう。」

 新藤は新聞の裏にボールペンで書きながら説明する。

「まず…①訂正文を私たちが出すこと…これは全く意味がない…なぜなら元から信憑性など皆無な記事ですから出そうが出さまいがあまり変わらないですからねぇ…②何か物を請求する場合…分かりやすく言えばお金とかですかねぇ…正直私たちが拒否したらただあなた方が怒るだけで終わりですしね…。③二度とこういう記事は書かないことを約束させる…これに関しては本当に何も意味ないんですよねぇ…二度と被害者はでないという正義心が強い方なら喜ぶと思いますがあなた方がそうじゃない場合はただただメアリーさんを攻撃した方が攻撃だけして終わりという何ともバッとエンド臭い話ですしねぇ…」

 新藤は紙にそうやって書いていった。

「そして…まあこれはいいでしょう…。」

 ④を書こうとして新藤はボールペンでざっざっと訂正する。

「つまり…私たちが新聞部に何言っても私たちが納得するような答えにならないってこと?」

 麗華が悲しそうな表情で訴えかける。

「えぇ…そういうことですね…。」

 新藤はにっこりと答える。

「あんた…本当に最悪ね。」

 メアリーが睨む。

「それが記者ってもんですよぉ…。」

 新藤はにやりとする。

「例え嫌われようが記事のために外道な事だってする…まあそれが全てと言ったらそれはそれで違いますがね。」

 新藤は冗談を言ったようにクスリと笑う。

「っ…最低!」

「そうですか。それはざぁんねん…。」

 恵理の罵倒に対し、彼は大袈裟にがっかりした態度を取る。

「っ…!」

 それが全く意味ないよと言ってるのと同じな事は皆気づいていた。

「さて…何もしないってのもそれはそれで後味が悪い…それじゃあ謝罪と③はやっておきますかねぇ…すいませんでした。新聞部を代表して謝罪します。今後このような記事は書かないよう心がけます。」

 彼は誠心誠意謝ってますよアピールをし、煽った。

「本当に…どうしようもないの…。」

 麗華は涙目になるほど悔しい気持ちでいっぱいだった。

「…それは…違います…。」

 涼太はボソッと答えた。

「え?」

 麗華はずっと静かだった涼太が突然喋り驚いた。

「僕らの要求は…こちらです…。」

 そう言って涼太は筆記用具入れからボールペンを取り出しさっき新藤が訂正した④の横に書き始めた。

「…ふーん。」

 そこにはこう書かれていた。

『④記事を書いた張本人に会う』


 最近更新が遅くてすいません…。

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