メアリー・スーン 番外編
すいません…。メアリー編は前回終わりだと言いましたが、今回が本当の終わりです。
(思ったよりいいな。)
中間テストが近くなり、涼太は図書室で勉強していた。
(と言ってもユウが邪魔しなければこんなとこでやってないんだけどな。)
妹に邪魔されたため家では上手くできず、彼は図書室でわざわざやっていた。
(にしてもここは本が思ったより多いな。何があるんだろ?)
涼太は席を立ち少し本棚を見渡した。
(へーラノベもあるんだ。…ん?)
ラノベコーナーで立ち止まる。
(こ、これは!?『幼馴染のミジンコと彼女のゾウリムシが修羅場過ぎて辛いんだが』通称『幼ミジ』!?)
彼はこれがあることに対し興奮していた。
ちなみに下の涼太の心の中は最後の1文読めば大丈夫だ。
(小説投稿サイト小説家になれるんじゃない?にてマイナーながらも連載。マニアにのみの人気作だったのだが、ある日タイトルだけ読んだ有名人が呟いてファン共が得に読まず適当に評価!そして評価点だけ見た出版社が適当に出版!結果評価した人の半分も購入せず、総売上数50部を記録し最速生産中止になったあの幻の『幼ミジ』!?すげー!普通は図書室どころか本屋にも置かれていないぞ!?)
ネット上の評価でしか見たことの無いものを見つけ涼太は勉強の事など忘れ、本を読み始めた。
(滅茶苦茶面白いんだけど…。)
少し読んで涼太は頭を抱えた。
(え、ネットだとあれはクソとか言う人結構いたんだけど…すっごく面白くね?)
ネットなどやはり信用出来ないなと改めて思った。
(にしてもそろそろ戻らなきゃか…さて借りますか。)
涼太は本をパラパラと捲りだす。
(…あれ?)
お探しのものが無いとまた捲りだす。
だが
(…ここ図書カード無い?)
涼太は気づいた。
図書カードは涼太にとってありがたいシステムだった。
借りたい本の図書カードに名前を書いて出すという、会話しなくてもいいシステムだったからだ。
だが、ここにはそれは無く涼太は冷や汗が垂れた。
実を言うと、本の最後についているQRコードをカウンターにある機械に通し、学年、クラス、出席番号の4桁(涼太は1年4組13番だから1413)を入力すれば借りられるという会話しなくても出来るものだったのだが、涼太は気づかない。
(…仕方ない。授業の合間合間に行くか…。)
こうして涼太は授業が終わるたびに図書室に行くのだが、これによってクラスメイトが振り回される事を涼太は知らなかった。
(えーと…どういう状況だ?)
涼太は混乱していた。
まず、隣には麗華。
そして後ろには何故かメアリーが電柱に隠れていた。
(まーメアリーさんはバレバレ何だけどね…。にしても何でメアリーさんが?宮野さんならこの前のお礼ってことで分かるんだけどメアリーさんはどういうことだ…?)
メアリーは電柱に隠れながら涼太達をジーッと見る。
そしてたまに怒り出す。
(…メアリーさんは僕から見て化物級のコミュ力を持っている。宮野さんに話しかけたいけど僕のせいで近づけないという線は無さそうだな。…近づけない理由は…男女二人という光景に何か勘違いしているという線が恐らく正しい…。)
涼太はそういえば貴田君がフラレたって噂が流れてたなってことを思い出す。
そしてメアリーが何人もフッてきたということを思い出す。
(ん?男を何人もフッて…そして僕らの今の状況に怒っている…!?)
そして涼太は推理する。
(そうか…メアリーさんは宮野さんが好きなんだ!)
全くとんちんかんな答えを。
(それなら僕達のこの状況に怒る理由も男をフリ続ける理由も納得行く!そう…女が本当は好きで、可愛い宮野さんを僕が奪った…となると大変だ!この勘違いのせいで悪質なイジメを受けかねない。)
そう思った涼太は麗華とすぐ別れた。
涼太はメアリーが怖く、会話に対応出来なかった。
だが麗華は一緒に帰れただけで満足していた。
(さて読みに行くか。)
と席から立ち上がると消しゴムが後ろに落ちた。
(おっと拾わなきゃ。)
と、素早く後ろの消しゴムを拾った。
隣で涼太が消えたと勘違いし、口が開きっぱなしの女子がいるのだが涼太は気づかず、そのまま教室を出る。
(まさか主人公がミカヅキモだったなんて…。)
涼太はラノベの続きが気になっていた。
廊下で何か騒いでいるのだが、そんなのも気にならないぐらいだった。
教室はパニックになっているのだがそんなのは無関心で図書室に向かう。
(ううっ…ゾウリムシさん…。)
涼太は本を読みながら泣いていた。
(あー面白かった。てか最近寝不足だから眠いな。)
涼太はここで勉強しなかった分は結局家で深夜行っていた。
(まーいいや。そういえば主人公がミカヅキモだとしたらあのシーンの意味変わるよな。)
涼太はパラパラと捲り、違うところを読み直していた。
(やっぱり…主人公はここで本当は一度死んでいたんだ…!凄いなこのトリック!)
涼太は興奮していた。
目の前にメアリーがいたが自分に用があるとは思っていなかった。
まさか自分に何か話しかけていたとは気づいていない。
「へー…。」
(ここで幼馴染はもう気づいていたんだ。…ん!?ってことは…っつ!?友達を本当に殺したのは幼馴染!?)
涼太は思わずぷるぷる震えだした。
(何だよこれ!?一見ただの珍しいだけでストーリーは普通のラブコメなのにわかって読めばサスペンスホラー!?課長封結先生は天才かよ!?)
感動で震えていた。
この時の一喜一憂でメアリーはビクビクしていたのだが、涼太は知らない。
(おー!てことはここはこうで!ここもこうで!マジかよ!てことは)
「涼太君…いや違うな。涼太!私はあんたの友達になってみせる!今はダメでも!どんな手を使ってでも!」
いつの間にか隣にいたメアリーがいきなり大声で言い出した。
(え!?何!?)
涼太には何がなんだか分からなかった。
「あなたを振り向かせてみせる!」
(よく分からないけどもう見てるよ?)
ここで涼太は周りの状況に気づく。
(やべー…図書室でメアリーさんと僕がうるさくしたことになってる…?)
後ろを見たら図書委員長が涼太をジーッと見ていた。
「だから覚悟しな!」
(うん覚悟しました。)
言いたいことを言ってメアリーは去っていき、涼太はその後すごく怒られた。
「そっか…意外だったな。」
図書室の外で一人がニヤニヤしていた。
「まさかあのメアリーさんがゴーストのこと好きだったなんて…。」
眼鏡の女子がカメラをナデナデする。
「大スクープ!頂きました!」
2回も間違えて消してしまい、モチベーションだいぶ下がってたけど書けたぁ(感動)