表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超コミュ障の僕はいつの間にかモテまくっていた  作者: 草ったミカン
第0章 プロローグ
5/18

メアリー・スーン 後編

長くなりましたが、今回でメアリー編は完結です。

 クラリス・スーンがニューヨークにいたころ、年収億超えの超人気モデルだった。

 ドラマや映画にも時々主演としても出ており、モデルに詳しくない人でもクラリスの名前は知っているレベルだった。

 そしてそのクラリスによく似たクラリスの実の娘、メアリーも有名だった。

 物心ついたときには大人子供関係なく彼女をチヤホヤした。

 メアリーにとって、人気とは最早日常だった。

 そしてそれはどこに行こうが変わらない。

 たとえ日本に行こうが…。




「にしても滋賀君は本当にどこ行ったんだろうね?」

 メアリー(表の姿)は女子6人と机を並べて弁当を食べていた。

「うーん…あいつ何考えてるか本当に分からないからね。ね、麗華。」

 メアリーの隣の女子が麗華の肩をポンと叩く。

「へ!?あーうんせやな!」

「せやな…?」

 あいつの事考えてちゃんと聞いてなかったな。そうメアリーは察した。

「にしてもメアリーなんでそんなゴースト気になるの?私としては…」

 そう言って後ろを指さす。

 そこには

「メアリーさんはアーノルドじゃなくゴーストが好きなんだぁぁぁ!というかゴーストがアーノルドなのかぁぁぁぁ!どういうこと何だぁぁぁぁ!」

「落ち着け!てかアーノルドって誰だよ!?」

 壁に頭をガンガンぶつけながら泣き叫ぶ貴田とそれを止める男子達の姿があった。

「あっちの方が何倍も気になるんだけど…。」

「あーうん。確かにあれはめっちゃ気になるけどね。」

 メアリーがあまりにも涼太の話ばっかするものだから貴田が早とちりで暴走しているのだ。

「でもあれはうるさいだけでどうでもいいの。」

 だがばっさり切り捨てる。

「なんかね、このまま負けるのは嫌なの。えーと腑に落ちないって言うんだっけ?」

 メアリーは俯いて話す。

「ふーん…んじゃ手伝ってやるよ!」

 女子が立ち上がってドンと胸を張る。

「え?」

 メアリーはキョトンとする。

「要はあいつに負けてる気がするのが嫌なんだろ!だったら勝っちまおうぜ!」

 その女子は熱く言う。

「沙羅…いや沙羅さん!ありがとうございます!私勝ちに行きます!」

 メアリーも釣られて熱くなる!

「どうしたの沙羅?急に熱くなって?」

「いや、なんかこういう熱い友情みたいなの一回やってみたかった。」

 隣の女子とこそこそ話す沙羅。

「お前らあいつのこと追いかけるのか?」

 そこに茶髪の男子が入ってきた。

「どうしたの?急にこっち来て?」

「あ、いや。あそことは今関わりたく無くてな…。」

 茶髪の男子は貴田とその周りの男子の方を見る。

「うおおおおぉぉ…ぉ…。」

「おい…?貴田…?貴田!?貴田ぁぁぁぁぁぁ!?」

 貴田は倒れていた。

「あー…。まずはあいつが教室からいなくなるのをどうやって確認するかなんだけど。」

 メアリーは何事も無かったかのように対応する。

「あー、確かにあいつ早かったな。っても常にいないわけじゃないだろうしいるとき行きゃいいんじゃね?」

 茶髪の男子は普通の態度で言う。

「へ?どういうこと?」

 メアリーは聞き返す。

「どういうことも何も、あいつ別に教室から完全にいなくなるわけじゃないしそんときでいいんじゃねって。」

「そんな時があるの!?」

 ボーっとしていた麗華がガタッと立ち上がり大声で聞く。

 皆はボーゼンとする。

「お、おう。てか俺あいつを人狼に誘ったことあるし。」

「えーと、つまりここまで教室にいない状態なのは今だけってこと?」

 それを聞きメアリーは悩み始める。

(つまり…何か法則性があるってこと…?それとも本当に私を避けてる…?)

 メアリーは二分ほど考えた。

 そしてメアリーはニヤリとした。

「分かったわ…。」

「何が分かったの?」

「教室から出てても学校からは出てないのだから学校中探せばいるはずよ!」

 メアリーはどや顔する。

「そ、そうだったぁぁぁ!」

 麗華はその手があったかと落胆する。

「どう?私の名推理!中々のものでしょ!そうと決まれば早速探すわ!」

「よーし!私も!」

 メアリーと麗華はバッと教室から出て行った。

(…え?それ言って良かったの?)

 他の皆は一斉に思った。

 教室で捕まえるというルールかと思って言わなかったのだ。

(ま、いいか。)

 だがどうでもよくなり、そこからの会話から涼太の話題は出なかった。

「くっ…俺達が不甲斐ないばかりに…すまねぇ…貴田…。」

 他の男子もそんな感じで泣いており、涼太の存在は忘れていた。




 メアリーはその後5分で見つけた。

(やっぱり、ボッチは図書室がお似合いよね。)

 そこにいた涼太は一人で本を読んでいた。

「りょーた君。何読んでるの?」

 メアリーは入ってすぐ涼太に近づき、最初から馴れ馴れしく呼んでいく。

 そして手前に座り本のタイトルを読んでみる。

『僕の妹のミジンコと彼女のゾウリムシが修羅場すぎて辛いんだが』

 というタイトルだった。

(やべー…もしかして私の分からない日本語使ってる…?まさかWater flea(ミジンコ)とParamecium(ゾウリムシ)なんて使ってないよね…?)

 メアリーはセンスの違いにいきなり困惑した。

「へ、へー…面白そうだね!」

 だがメアリーは仲良くなるために乗って上げた。

 すると本を読んでいた涼太はバッと顔を上げた。

 そして前髪が上がり、厳つい目が露呈した。

「ひっ!?」

 涼太はジーっとメアリーの方を見る。

 メアリーは思わず怯む。

(ジャ、ジャパニーズマフィア!?仁義なき戦い今勃発!?)

 その怖さに思わず昔母から見せられてた映画を思い出した。

「…へぇ。」

 涼太はボソッという。

「あ、そ、その、ごめんなさい!適当に言ってすいません!」

 メアリーはガクブルしながら、指を押さえながら謝る。

(ゆ、指詰められるんだ…。)

 すると涼太は頭をおろし、しばらくプルプルしてから本をまた読み始める。

(た、助かったのかな…?)

 メアリーは思わず安心する。

(って!目的忘れてんじゃん!)

 メアリーは仲良くなるという目的を思い出し涼太の席の隣に移動する。

「ねぇ涼太君。私と友達にならない?」

 メアリーは直球で聞いた。

「……」

 だが涼太は本を持ったまま答えない。

「…そう。ダメってことね。」

 メアリーは机の下で拳をギュっと握りしめる。

(私の何がいけないの…ってこれじゃあの貴田と一緒ね。)

 メアリーは自分の自虐に思わず笑う。

(なんでだろ…?私はクラリスの娘。そして私は人気になるのに苦労したことがない。なのに、なのになんで。こんな男にフラれてるんだろ?そしてなんで)


(それを楽しんでる自分がいるんだろ。)

 

 メアリーはやっと自分の感情にふさわしい答えを出した。

 彼女にとって『人気』とは最早日常だった。

(それは場所、年齢、性別、人種限らずそうだった。)

 だがたった一人、それを破ってしまった男が日本にはいた。

(滋賀涼太は私の日常にはならなかった。)

 滋賀涼太はメアリー・スーンの非日常だった。

「そう…こんな景色もあったんだね…。」

 メアリーは呟く。

「涼太君…いや違うな。涼太!私はあんたの友達になってみせる!今はダメでも!どんな手を使ってでも!私はあんたを振り向かせる!だから覚悟しな!」

 メアリーは涼太に宣言する。

(さーて、月曜はどうしようかしら?楽しみになってきた!)

 メアリーは非日常と戦うことを選んだ。

 常にハッピーな、温室な日常を送ったメアリーにとってそれは新鮮で楽しいものだった。



「んじゃ帰りのHR始めんぞ。」

 メアリーは担任の言葉をあまり聞かず、次の涼太対策を考え始めていた。

「来週からはついに高校生活初のテストだぞ!中学とは全然違うから気抜くなよ。」

 だがその担任の言葉にメアリーはピシっと固まる。

「…え?」

 メアリーは汗をダラダラとかき始める。

「あれ…?テストって5月25日の月曜日からだよね…?でも今日は!」

 そう言ってメアリーはスマホの電源を付ける。 

『16:29 5月22日(金曜日)』

 スマホにはそう表示された。

(…あぁぁぁぁぁ涼太の対応してるうちにここまで来てたぁぁぁぁぁ!!)

 メアリーは叫びたい気持ちを抑えて心の中でそう叫んだ。

(っつ…滋賀涼太…やっぱあんた私の天敵ね…でも覚えてな!最後に勝つのはこの私よ!!)

 メアリーはじっと涼太を見つめた。

 メアリーはその後、地獄の勉強日間が待っていたという…。

僕の妹のミジンコと彼女のゾウリムシが修羅場過ぎて辛いのだが

レビュー:まさかのどんでん返し

 まさか主人公がミカヅキモでゾウリムシより小さいとは…。

 至る所に伏線が張ってあって読み返すとまた別の面白さがあった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ