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無償の想い……  作者: GTマニア
第一章 再会
8/50

第1章 5話

 喫煙室のドアが開いて、めぐみが入ってきた事に気付かなかった。めぐみは昴がまだ私の事を気付いていないし、昴をからかおうと思ってそろりそろりと近づいて、昴の肩をつついた。煙草を吸う知り合いが居ないと思いながら後ろを向いたらめぐみが笑顔で「岡君、久しぶり、六年ぶりだね」と言った瞬間、昴は下っ腹から上へ上へと泥水が湧き上がっているような焦燥感にかられた。それを見ためぐみは「焦らなくて大丈夫だよ。岡君と私だけの()()()()だから」と二人きりを強調しつつ言って少し動揺させてからの安心させるようにめぐみの後ろに本当に誰も居ない事を見せた。

 少し落ち着き「星口さん、本当に久しぶりですね。さっきは弥生が居たから『初めまして』って言ってしまいごめんなさい」と頭を下げて謝っていたらめぐみが「謝らなくても良いよ。それより頭上げて。ここガラス張りだから頭下げているところ誰かに見られたら昴君がやばいじゃない」と笑顔で言いつつ昴君全然変わっていないなと思いつつ電子煙草を吸い出した。

「星口さん、美容師の夢かなって良かったですね。弥生が星口さんのお店に通っていてびっくりしましたよ」と素直に昴は知らない間で敬語で言っているとめぐみが昴と距離が遠くなったと感じつい「何よ、昴君私達は友達だから()()()()の時は敬語はやめてよ」と言って「私も驚いたよ。まさか弥生ちゃんの彼氏が昴君だったのさすがにびっくりしたよ」と明るい表情で言いつつも、心の中では私に告白した時、弥生ちゃんが居たと思うがどんな想いで昴君、私に気持ちを伝えただろう思った瞬間、気持ちの中に火を炊き付けられたような切ない思いになっていった。

 人の表情に敏感な昴は心配な表情で「めぐみちゃん大丈夫?」と聞いて、めぐみはすぐに「この通り大丈夫」笑顔を作って答えた。

 あの頃を思い出したように「懐かしい。めぐみちゃんと一緒にダイビングしたの僕が二十の時でしたよ。もう七年も経つのか」と年齢を感じていたらめぐみが「そうだよ。『来年も一緒に泳ごう』って言って別れたのに翌年もその翌年も昴君ダイビングに来なかったから寂しかったよ。もう一回ぐらい昴君と一緒に潜りたいな」と言いながら煙を吐いていた。

「約束すっかり忘れてた。ごめん」と素直に謝りつつも、昴の心境はめぐみのおかげで弥生が居たから、めぐみの事を忘れようと思ってしばらくダイビングツアーを参加しなかった。

 これ以上ここに居たらなんだか気まずくなると感じ「弥生も待っている事だからそろそろ戻るわ」と言い、煙草の火を消しつつめぐみに「弥生達の前ではめぐみちゃんと初対面の事にしといてくれる」と頼んできたから「どうしようかな?」と意地悪に言って昴の困った表情を見て軽くジャブぐらいは入れたから今のところはこれぐらいにしておこうと思って「良いよ。そういう事にしといてあげる」と言いつつも昴にも聞こえない小声で「今はね」芝居がかった笑みで昴が喫煙室から出て行く姿を見ていた。二人の楽しそうな会話をしている姿を彩月に見られているとは昴は気付いていなかった。何気ない表情でバスに戻ったら、弥生が先に席で待っていて「お帰り」と笑顔で迎えた。それを聞いた昴は「ただいま」と何気ない表情でいつも通りに返した。

 少し遅れて、めぐみがバスに戻ってきて弥生がめぐみに「めぐみちゃん、私達より遅かったから何していたの」と聞いたらめぐみは「自販機でブラックコーヒーを飲んでいた」と言った途端、彩月はめぐみが嘘をついていたからイラッとしたが、次の休憩の時に昴に聞こうと思い今は呑み込んだ。

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