第1章 3話
榊部長がプライベート用のスマホをマナーモードにするのを忘れていて急にメールの着信音がなって周りの乗客の視線を感じて「すいません」と謝ってスマホの画面を見たら、差出人が先ほど別れた岡部長代理いや岡君からだった。
件名に〈どうしよう〉と書かれていた。メールを開けて見ると〈榊部長、お疲れ様です〉といつもの癖で書いてしまっている事に少し笑みをもらした。
〈大変な事が起きました。バスに乗り込むと弥生が「いつも私の髪を切ってくれる友達を誘った」急に言ってきたから、挨拶しようと思ったが、榊部長も覚えておられると思うですが、その人が以前弥生以外に本気で恋してしまった星口めぐみさんでした。思わず僕は「初めまして」と言ってしまいめぐみも口裏を合わせたように「初めまして」って言ってくれましたのでその場はなんとかなりましたけど、弥生にはこの事は知られたくない。本当にどうしよう〉とメールに書かれていた。
メールを読んで岡君の事が心配なりすぐにメールを書き始めた。〈吉岡さんに星口さんの事を知らせたくは無いって思っていても、いずれ吉岡さんにばれると思うよ。その方が吉岡さんに嫌われて、岡君もお互いに深く傷つくと思うから出来るだけ早くに勇気を持って言った方が良いと思うよ〉と返信した。
昴はそれを読んで弥生の方を向きこのツアーが終わったら絶対に話すからと決心し、弥生がこちらを見ている事に気付き「昴、何よ。私の顔になんかついているの?」と言ってきたから昴は慌てて「いや、何でも無いよ」と言いメールを返信し始めた。
〈やっぱりそうですよね。弥生に正直に話した方が良いですね。でもここじゃ他の友人とか居るので話せません。このツアーが終わったら弥生に嫌われても、星口さんの事全部正直に話します〉と返信しスマホをポケットにしまった。
榊部長、岡君からの決意メールを読んで〈岡君、今まで積み重ねた絆が普通の人よりも岡君と彼女さんにはあると思うから、そんな簡単には壊れないと思うから自信を持って〉と返信した。