第1章 2話
「めぐみちゃん、来てくれて良かった。隣に居るのが私の彼氏だよ。昴自己紹介してよ」と言い昴の腕を引っ張ってめぐみの方に向けた。
めぐみは昴君の姿を見て会えないと思っていたのに弥生にこのツアーに誘ってもらって昴君に会えた事に嬉しさがあったが、弥生ちゃんと昴君の幸せそうな雰囲気が嫉妬感に変わっていた。
久しぶりと言おうと瞬間、弥生が居るからその言葉を呑み込んで「初めまして、弥生ちゃんの彼氏の岡昴です。いつも弥生がお世話になっています」とようやくの思いで言葉にした。めぐみは昴君の表情を読み取り、久しぶりと言いたかったが昴君の事も考えて「初めまして、弥生ちゃんの友達で美容師の星口めぐみです。よろしくお願いします」とめぐみも表情を隠すように頭を下げた。
「弥生ちゃん、私は一番後ろの席に座るね」とめぐみは言った瞬間「何でよ。私達の隣の席まだあいているよ」と席に指を指した。
昴は、星口さん美容師の夢が叶って良かったなと思いつつも、昴とめぐみの間に気まずい空気が流れ、先に口を開いたのはめぐみだった。昴は外を向いてこれからどうしようとパニックっていた。
「やっぱり一番後ろの席の方が落ち着くから後ろの席に行くね」と言い残し後ろの席へ行った。「分かった。また後でね」とめぐみに話してから、昴がなんかおかしい事に気付いて「昴、さっきまで元気だったのに、急にどうしたの? 昴」と心配した表情で聞いた。弥生が呼んでいる事にようやく気付き、「ごめん、ごめん。ちょっと考え事をしてただけ」と言ったら「私に話す事で気持ち楽になるんだったら話してよな。付き合ったこそだから何でも話すって約束したでしょ」と弥生の優しい笑みで昴に言った。
「ありがとう、仕事の事を少し考えていただけ」って言ったら「仕事の事は忘れてまずはこのツアーを楽しもうよ」と言われ昴は無理していつもの笑顔を作っていた。その後ろで海翔と彩月は岡岡コンビの会話を聞いて笑っていたが、彩月だけは弥生の友達のめぐみが来てから、昴がなんだかおかしいなと感じていた。
めぐみは昴君に始めまして違ってちゃんと久しぶりと言いたいなと思いつつも、それぞれの想いを乗せて観光バスは箱根へ出発した。京都駅を出発して、昴はスマホを取り出し、弥生に気付かれないようにある人にメールを送信した。