第3章 14話
病院から出て久しぶりに弥生が新鮮な空気を吸い「なんかこの感じ久しぶり」と言い「早く京丹後に行きたいな」と言ってきたから昴が突っ込むように「まずは京都に戻らないと」と笑いながら言うと話を割って入るように彩月が「お二人さん私の事忘れてない?」とわざとらしくすねた表情をしていた。
弥生は「ごめんごめん」と笑いながら謝り「別に良いよ。岡岡コンビはいつもこうだから」と言いながら新横浜駅に向かった。新横浜駅に着いて、新幹線に乗るまで駅員さんに案内された。駅員さんが他のお客様に「すいません、車椅子が通ります」と大きな声で言われる度に弥生は、案内されるのはありがたいと思うが申し訳なく思いながら、一四時五十九分発の新大阪行きののぞみ三七一号に乗り込んだ。
そして彩月が「車掌さんにちょっと聞いてくるわ」と言い車掌さんのところに行った。しばらくすると彩月は車掌さんを連れてきてに一編成に一つしか無い多目的室を開けてもらい、三人で多目的室に入った。弥生は新幹線にこんな部屋があることに驚きながら「新幹線にこんな部屋がある事を初めて知ったよ」と周りを見ながら言った。昴も「ついこないだまで僕も知らなかった。彩月が教えてくれたんだよ」と言い「そうなんだ、彩月ありがとう」と自然にお礼の言葉が出た。
昴が窓から弥生と彩月の話し声が聞こえないなと思い、弥生の方に振り向くとちょうど彩月がジャンパーを膝掛け代わりかけて昴に人差し指を立てシーってする合図を送った。
彩月が小声で「久しぶりに外へ出て疲れたと思うから、京都駅に着くまで寝かせてあげよう」と昴に言い「そうだな。久しぶりに病院の外へ出て嬉しそうだったから。退院のお迎えは僕達で良かったのかな?」と不安な声で言ってしまった。
「何言っているの。未来の旦那さんいや、もう旦那さんかな」と茶化しながら言い「私や昴がお迎えで良かったと思う」と昴に言った。
「あんまり茶化さないでよ」と言いながら昴は恥ずかしくなり、隠すように窓側に顔を向けてショルダーバッグからワイヤレスイヤフォンを出そうとしていた。それを見て彩月が「ごめんごめん、でも昴と弥生がとうとう結婚か、長かったような感じした」
「そうでもないよ。弥生と出会ったのは幼稚園頃だけど、正式に付き合ったのついこないだ感じがする。五年かな。これから言う事を誤解しないでよ」と念を押して「弥生が事故にあって、改めて守ろうと思ったから、思い切ってプロポーズをしようと思ったら弥生に先に言われちゃった」
「多分、めぐみちゃんが背中を押したと思う」と言った瞬間、あのめぐみちゃんが弥生の事を背中を押した事にさすがの昴はびっくりしてもう一度「めぐみちゃんが本当?」と聞き返した。
「うん、本当だよ。私、詳しくは知らないけど弥生が「めぐみちゃんに、大切な事を気付かされた」と言っていたから」と答えたら「そうなんだ。意外だな」と言いながら、まさかあのめぐみちゃんが弥生の事を背中を押すなんて未だに信じられなかった。