第3章 10話
帰りの電車の中、彩月とめぐみに心配かけたなと思ってそれぞれメッセージを送った。〈弥生に説得されて、このまま働く事を決めたよ〉と送信したらすぐにめぐみから〈良かった。安心した〉と書いてあった。しばらくすると彩月からも〈やっぱり弥生はすごいな。昴の事を動かす事が出来るのは弥生しかいない〉と書いてあって、みんなに心配をかけた事に申し訳ないなとつくづく思った。
家に帰ると、弥生ととうとう婚約をしたんだなと思うと、中学校の約束よりも重みを感じる昴であった。
金曜日の夜、弥生に「明日急に午前だけ出勤しないと行けなくなったから病院に行くのいつもより遅くなりそう。本当にごめん」メールを送信した。弥生からすぐに返信が「仕方が無いよ。昴、無理をしないで」とたったの一言だが、充分の愛情が弥生から伝わってきて明日も頑張ろうと思えた。
翌日、いつもだったら昴が居ているが今日は仕事だなと仕方が無い事と思いつつも早く来てほしいな思う弥生だった。病室の窓を見ていたら、病室のドアがノックの音がした。昴ではないと思えたら「どうぞ」と元気ない声で答えた。
「弥生、調子はどう?」と彩月が入ってきて「弥生ちゃん、大丈夫?」と言いながらめぐみも入ってきた。弥生は驚いて「二人ともお見舞いありがとう」とお礼を言った。
めぐみが「あれ、昴君まだ来てないの。いつもだったらもう来ているのに」と弥生に聞いた。「土曜だけど急な仕事が入っていつもより遅くなるみたい」と答えた。「そうなんだ。忙しいだね」とめぐみが答えた。
彩月は、めぐみと弥生の会話に驚きつつ「星口さん、昴の事さっき『昴君』と呼んでいたけど、弥生はそれでいいの?」と聞いた。
「いいよいいよ。だいぶん前に昴とめぐみちゃんの関係二人から聞いたよ。めぐみとも和解もしたからめぐみちゃん、昴の事呼びやすい呼び方でいいよ」とめぐみの方へ向きながら笑顔で言っていた。
「ありがとう」とお礼と言い「弥生ちゃん、昴君が会社を辞めようとしていてどう説得して辞めさなかったの? 教えて」と聞いたら、彩月も「私も聞きたい」と言い弥生は顔が赤くなりがらも「仕方ないな」と言いながらも先週の事を語り始めた。
「話す前にめぐみちゃんにはお礼を言わないといけないね。めぐみちゃんの言葉で自分自身から逃げていた事気付かされたよ。めぐみちゃん本当にありがとう」とめぐみの手を握ってお礼を言い、めぐみは「何も言ってないよ」と返した。
「彩月、めぐみちゃん」と言い弥生は一呼吸して彩月が「いい加減に教えてよ」としびれを切らし弥生に言った。
「分かった分かった言うね。退院したら、昴を支えたいから私京丹後市に移り住む事決意したよ」と言ったら。彩月とめぐみがつい大きな声で「ええええ」と言ったら弥生が「ここ病室だけど」と注意すると二人は口を押さえ「ごめん」と言って彩月が「昴と結婚するの?」と聞いた。
弥生は素直に頷いてめぐみが「弥生ちゃん、おめでとう」と言い「ありがとう」と嬉しそうに返した。
めぐみがすかさず「昴君からどんなプロポーズを受けたの?」と興味本心で聞いた。弥生は「プロポーズは受けてないよ」と普通に返した。めぐみはわけが分からない表情をして「どういう事?」と弥生に聞いたら、彩月が「めぐみが昴に逆プロポーズしたでしょ。それしか考えられないもん。二人らしいけどね」
「そうだよ」と言うとめぐみが「どんな逆プロポーズをしたの? 教えてよ」と聞いた。弥生は「内緒」と言ったが彩月が「親友なのに教えられないの? 昴には黙っておくから教えて」めぐみも「昴君に絶対に言わないから教えてほしいよ」と二人に問い詰められた。二人の勢いに負けて溜め息を吐いて「『十年後、二十年後もおじさん、おばさんになっても……』と私の正直な気持ちを伝えたよ」と顔を赤くしながら言うと彩月が「弥生らしい言葉だね。昴の嬉しそうな表情が浮かんでくるよ。とうとう岡岡コンビが結婚か本当におめでとう」と彩月はほっとした表情に出ていた。
「二人ともありがとう。まあこれからは大変になるが昴と二人で乗り越えて行きたいよ」と言ったら、彩月が「またまた弥生の惚気が始まった」と言い弥生は頬を膨らまして「もう。もう話さない」と言い彩月の反対方向へ顔を向けた。めぐみは「弥生ちゃん、まあまあ」と場を和ませていた。




