第2章 9話
彩月はスマホを見て海翔かと渋々と出たら海翔が慌てた声で「もしもし、彩月か? そこに昴居る?」と声を荒げながら聞いてきた。
「居るけど、今弥生の事で頭いっぱいだから」と言ったら海翔が「弥生が……弥生が……」と言って来たから、彩月も真剣になって「海翔、弥生になんかあったの。落ち着いて」と言ったら、深呼吸して「トレーラーに轢かれた」と言った途端彩月が急に立ち上がり「弥生がトレーラーに轢かれた……嘘でしょ」
それを聞いた昴は、すぐ彩月から無理矢理スマホを取って「弥生が轢かれたって冗談はやめてよ」と言ったら「冗談違うって、本当に轢かれて、今は意識が無い。救急車も呼んでいる」と言った途端、昴は立ち上がって病院に行こうと思って、カウンターにお金を置いて店を出ようとした。
昴の慌てっぷりを見て冷静さが感じ取れなかったから、彩月もパニックになっていて榊部長が昴に「どこに行くの?」と聞いたから、「病院」と言った瞬間、榊部長がやはり冷静さをまた失っていると確信をした。「どこの病院に行くの」と聞いたら昴は答えられなかった。昴からスマホを取って彩月が「どこの病院?」と聞いて、海翔もテンパっていて「まだ救急車を待っている状態だから分からない」 と焦って早口で言ってきたから、彩月が「聞き取れないからもう一回」と聞き直した。
ちょうど救急車が到着したから海翔は「救急車が来たから後でかけ直す」と言い残し、電話を切った。「ちゃんと言ってよ。分からないんだから」と言いつつももう切れていてプープーと携帯からなっていた。
救急隊員は救急車から降り、手早く弥生をストレッチャーに乗せ、そしてすぐにベルトで弥生を固定し救急車に運んだ。救急隊員が海翔とめぐみに「一緒に乗られますか?」と声をかけた。その時海翔が「星口さん、弥生と付き添ってください。それと昴の事も任しましたよ」と言ってめぐみに「これが岡昴の携帯番号だから、病院を教えてあげて。僕はここに残って警察の事情聴取を受けてから追いかけます」と言った。こんな形で昴の電話番号を知る事になり、複雑な心境だった。
めぐみが「これが私の電話番号です。事情聴取が終わったらここに電話してきてください」と言い星口さんだけ乗って救急車が発進した。
海翔は弥生の事を心配しつつも、今まで弥生に助けられている事海翔は昴の性格を知っているからこそ昴の事が心配で仕方が無かった。事情聴取を早く終わらせて病院に向かおうと思った。
救急車が来て、数分後にようやく警察が到着して、トレーラーの運転手と海翔と事情聴取をしていた。