第2章 6話
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コーフボール大会の当日の夜、弥生が彩月に先に帰らせて悪いと思ったから、電話をかけた。彩月の携帯が鳴り、携帯を開けてみると弥生から電話だったから「今日はお疲れ。昴とゆっくり話せたの?」とわざとらしく聞いた。
「今日の昴おかしかったよ。『海に出るから危ない事があるかもしれないから私にもう心配かけたくないので、連絡しないでほしいよ』と言ってきたから、私は昴君の事ほっとけないし、これからも心配かけて」と言った。
二人の仲睦まじい会話を聞けて彩月は弥生に幸せになってほしいと思った。ふと二人は付き合っているのかなって思って弥生を茶化すように「昴君と付き合っているの?」と聞いたら、意外な答えが返ってきた。
弥生は普通に「彩月ちゃん、どういう事?」って答えが返ってきたから、彩月はずっこけた。彩月はどう答えようか迷ったがが余計な事は言わない事しようと思って「いや、何でも無いよ」と笑いながら答えたら、弥生が「何よ」と聞いてきた。
彩月は仕方なくこう答えた。「これからも昴とけんかしたらあかんよ」と言ったら弥生が「言われなくても分かってるよ」と言い二人は楽しく会話を続けていた。
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彩月は昴に「弥生はあの時から昴の事が好きだったと思うよ。ところで弥生は昴と星口さん知り合いだったの事知っているの?」と聞いた。
「もちろん知らないよ。今日初めて星口さんと会っていると思い込んでいる。ばれたら弥生との関係が壊れるのが怖かった。星口さんがあんな事言ってしまったから、弥生からも自分からも逃げちゃった」と言いながら手を顔に当てた。
彩月は昴はやはり弥生が居ないと「あかんたれ」だなと溜め息をつき「弥生は昴と星口さんとの関係、もう分かっていると思うよ。昴から正直に話してくれるのを待っている」と彩月も昴の背中をさすっていた。
「彩月や榊部長のおかげで少しは落ち着きました。ありがとうございます」と頭を下げた。「だけど、今は弥生に会ったらまた自分を見失うから会いたくは無い」と言ったので二人は表情が曇った。