新たなる出会いってコト? Ⅴ
あけましておめでとうございます。本年は無理なく更新を続けていきたいと考えています。よろしくおねがいいたします。
「ヴァレリオン家……って、地方領主だよね。どうして……」
「あ~ら! あなたがルーランド執政官のご子息様ね! 噂に違わぬ凜々しさだわ!」
「姉さん、言葉遣いが失礼だよ! それはともかく、私達の力がご必要ならいつでも仰ってくださいな。これでも王都には顔が利く方でございますのよ」
「何を、あなたこそ妹のくせに姉の私に敬語を使いなさいよ! コルベスのやつ、何が王都に王子の連中を入れないだよ。あっさり入れてしまって! それに引き換え、この屋敷は丈夫そうで良いわ!」
「いくら姉さんだからって人前でそんなことを! だいいち、コルベスと手を結んだのは姉さんのアイデアでしょう!」
「何を! あんたこそコルベスがやられた時は怖がって、私から離れなかったくせに!」
「そもそもここに頼ろうと考えたのはあたしのアイデアでしょ! 姉さんはそれに乗っかっているだけのくせに!」
「言いたい放題言って! あんたなんてコルベスといっしょに裁かれればよかったのよ!」
「むきーっ、いくら姉さんだからってもう許さないわ!」
「どうかね、僕の人脈は?」
「どうって……うるささ8倍増しってカンジ」
ゴウラの説明に寄れば、二人ともそれなりの貴族らしいがあまりに品性がない。金髪の女は微妙な劇を見せられているときのような、複雑そうな表情を浮かべていた。
「……で、これでどうやってトウタを倒すの? ぶっちゃけ、ちょっと難しいと思うけど」
「聞いて驚け、この方々は今度王立魔法学院に編入するのだ。クラスは3だ」
「え? この人たち、そんなに魔法うまいの? ゴーちゃんはクラス5だし下だけど、普通はクラス3ってまあまあだけど……」
「そんなわけないだろう。コネというやつだ。職員にも顔が利くのだよ」
「……それでいいのかなあ、この学校」
「何事も一枚岩では無いという事だな。お前もボクの伴侶を目指しているのなら覚えておけ。それよりも、次の作戦だ! ボクは今度、あのにっくきトウタに決闘を申し込む」
「え!? 唐突すぎるよ……! それに決闘だなんて! 怪我だってまだ治ってないのに、もう危ないことは……」
「大丈夫だ。これは野蛮な喧嘩ではなく決闘だ。つまり、こちらからルールを指定できると言うことだ!」
「この前道ばたでその喧嘩をしてたの、ゴーちゃんじゃん……で、どういうルールなの?」
彼女は知っている。こうなってしまったゴウラは止められない。せいぜいやりたいようにやらせて、満足させるしかないのだと。
二人が話している間も、女二人のやかましさが途絶えることはなかった。
レイシーは食堂に来ていた。
隣にはトウタとレトリー。別々の授業を受けていても、三人で合流して昼食をとるのにも慣れてきたところだ。
「レイシーちゃんとトウタくんは、昼からは魔法実践の授業があるんだよね。どんなことやってるの?」
「ああ。俺の場合は各属性魔法を使う先生がいつも4人くらいで見てくれるんだが……先生同士で喧嘩をすることも多くて、授業が止まることも多いよ。ちゃんと授業が進んでいれば、いろんな使い方や応用を聞けてためにはなるんだけどな。レイシーは?」
「わたしは……なんていうか、格闘技、かな。トルーデ先生と一対一」
「あの先生と一対一なんだ……厳しそうだね、お疲れさま。本当に疲れてたら、無理しなくて良いからね!」
「ありがとうレトリー。本当に駄目そうだったら、夕食とかレトリーにお願いしようかな……そうそう、レトリーの方はどんなことやってるの?」
「俺も気になるな。何せ、二人ともクラス0だからな」
「ええーと、私達はねえ。理論で学んだことを活かして、実際に魔法を発現させる練習をしてるよ。私はまだトウタみたいに炎は出せないけど、この前ちょっとだけ石を温められたんだ」
「ほんと!? レトリー、すごい!」
「ありがとう、レイシーちゃん。……私、強くなるね。今度は私がみんなを守れるように」