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レイシーのぼうけん  作者: 偶像兎
第三章 少女と魔法のがっこう
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早速だけど大騒ぎ! Ⅶ

今回の更新は少し短くなります。申し訳ございません。

 ならされてしまった地面に隠れられる場所は無い。ルナの背後に上手く回りながら、思考を整理する。

 トウタが使える魔法は火、土、木、金、土属性の五つだ。

 まず、土属性と水属性を候補から外した。ルナの水の刃すらまともに通らなかったと言うことは、相当外傷に強い相手とみて間違いない。そんな相手に土塊をぶつけるのは愚策としか言い様がない。同時に彼は使える魔法は多くとも、使い方をきちんと勉強したわけではない。故に水属性の魔法で何とかなるなら、魔法学院主席のルナが既にやっているだろう。

 風を起こしたり植物を育てたりする木属性も、有効打は思いつかない。そうなれば、残るのは火属性か金属性だ。

 

「……そうか!」


 息を整えたトウタは、やがて答えを導き出したように声を上げた。冷静に、巨大モンスターの頭に狙いを定める。


「会長、離れて!」


 ルナが素早く飛び退いた先に、トウタは全身のエネルギーを込めて雷の槍を打ち出した。

 視力を奪われた怪物にこの雷の槍を躱すことは出来なかった。着弾すると、ばりばりという轟音と衝撃が崩壊した闘技場に鳴り響いた。


「うっ!?」


「きゃあ!」


 音と衝撃波で鼓膜が悲鳴を上げ、レイシーとレトリーは慌てて耳を塞いだ。ちらりとトルーデを見やると、魔法の余波でもうもうと立ち上る土煙や瓦礫も気にせず腕を組んで感心したように頷いていた。


「よし、次こそやったか!?」


「会長、またフラグですよ……でもまぁ、やれたかな」


 雷を受けたモンスターは痙攣した後、とうとうその巨体を地響きと共に、闘技場の地面に沈めたのであった。


「やった……」


「ふぅ、終わったか」


 トウタがへたり込む横で、ルナはぱんぱんと服についた汚れを払った。平静を装っているが、彼女も相当疲れているはずだ。

 ほっとしたのは彼らだけではなく、観客席で見ていたレイシーとレトリーもだった。


「よかった……! 怪我もなさそうだね」


「うん、うん! 二人の大勝利だよ!」


「ひひひ、あたしの手助けが要らないとはなかなかの上出来だね。面白いものが見られたよ」


 トルーデも上機嫌に拍手を送っている。


「さ、帰ろうかね。このことはあたしから衛兵の方に報告しておこう。モンスターはこちらで倒したってね」


「そういえば、どうして衛兵は来なかったんですか? これだけの大騒ぎだったのに」


「モンスターが大量に出現していた上に、逃げ惑う人でってんやわんやだったからね。街に溢れるのを抑えるのに必死で、闘技場の中にまで手が回らなかったんだろうね」


 トルーデはその混乱した状況を乗り越えてきたらしい。強いが無茶振りもあって型破りな人だ、というのがレイシーが彼女に対して抱いた第一印象だった。

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