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レイシーのぼうけん  作者: 偶像兎
第三章 少女と魔法のがっこう
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早速だけど大騒ぎ! Ⅵ

「ルダーマ型ですか! 最後に大きいのが来ましたね」


「ええ、まったく。ラスボスにはぴったりですよ! 準備は良いですか、会長?」


 二人は最初のモンスター乱入から休戦し、魔法を用いて共に襲撃者を殲滅していた。大物の登場に合わせてトウタとルナは背中合わせの陣形を解き、横並びになる。


「いつでも。それにモンスターが相手なら、思いっきりやっても構わんなッ!」


 ルナの手から一筋の水が発射される。それはただの水ではなく、魔法で圧縮に圧縮を重ねた凶器だ。水の触れた闘技場の壁は掘削機で掘ったように穴が開き、振りかぶれば地面が断層ができたように割れる。


「腕が多すぎるなあ、ちょっと切り飛ばしてやる!」


 彼女が手を一振りすると、大木と見紛うほどの大きさを誇るモンスターの腕に水の刃が食い込んだ。


「くそっ、なんて硬さだ!」


 ルナの額に冷や汗が流れる。岩をもバターのように切り裂く切れ味を誇る刃でも、この怪物には有効打にならないようだ。

 カウンターとして打ち込まれた怪物の拳をルナは横っ飛びに回避した。拳は地面を抉り、先ほどまで彼女が存在した場所に大穴が空く。一撃でも食らえばマッシュポテトのように潰れてしまうことは間違いない。


「やれやれ、これは骨の折れる戦いになるな!」


「会長、援護します! こういうときは、土と木属性魔法だ!」


 トウタはモンスターを攻撃せず、地面に土の壁と小さな木を生やした。巨大な体躯を持つモンスターは、足場がでこぼこしているとこちら以上に動きにくくなるだろう。同時に土の突起は屈めば人間が隠れられるくらいの大きさになっている。まずは攻撃を食らわないことから考えなくては、という彼の考えが作った陣地だ。


 その後、二人は土の壁に身を隠しながら攻撃を続けたが、モンスターへのダメージにはなり得ない。


「困った! このままでは我々の体力が先に尽きてしまうぞ」


「攻撃する場所を変えてみます! 例えば、あの目……!」


 トウタの火球がモンスターの頭部にある、四つの目の一つに直撃する。それほど威力も無い攻撃だったが、僅かに巨体が揺らいだのを彼は見逃さなかった。


「あそこです、会長!」


「うむ、よくやった! たたみかけるぞ、続け!」


「はい!」


 火と雷、水が弾幕のように飛び、モンスターの頭を覆った。モンスターは嫌がるように腕を振り回しているがこの物量を防ぎきれず、とうとう全ての目を潰されてしまうのであった。


「さて、この攻撃ならどうかな!?」


「会長、それフラグ……」


 攻撃で上がった煙が晴れる。モンスターの顔は何も無い真っ黒の塊になってしまったが、トウタの危惧通りまだまだ戦闘が可能のようだ。

 さらに、視界を失ったモンスターの攻撃は狙いこそ粗くなったものの、激しさは増してしまっていた。四本の腕をがむしゃらに振り回す攻撃もまるで石柱がめちゃくちゃに飛び交う嵐のようだ。地面に腕が当たる度、突き上げられるような地震が襲う。

 あまりの攻撃の激しさで、トウタが作った地形も地ならしされてしまった。


「そ、想像以上にまずい状況だぞ!?」


 屈んで飛んでいなして、攻撃を何とか躱しながらルナが叫んだ。


「もう一度地形を変えられないか!?」


「む、無理です……! それにこれじゃ、変えたところですぐ逆戻りになります!」


 トウタも敵の攻撃から逃れるのに必死だった。トウタはルナほどの反射神経や体術を身につけていないため、敵の攻撃範囲から逃れることでやり過ごしている。

 汗がだらだらと流れる。ルナとの試合、モンスターの討伐、そしてルダーマ型との戦い。魔法を使いすぎて、トウタの体力は底を尽きかけていた。


「……私があいつを引きつける! 君は休んで、魔法を使えるようにしろ!」


 トウタの疲労を見抜いたルナがトウタに叫ぶ。彼女も彼と同じように体力を消耗しているだろう。しかし試合用の剣では攻撃が通らない上、使える魔法はトウタの方が種類が多い。彼の持つ手札に賭けようという考えだろう。

 しかし、この状況で何を使えばいい? トウタは頭をフル回転させた。





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