第8話 都市へと到着して
地球人の村を出てから5日が経ち道を歩いて行くほど宇宙人が増えて行き、晴久以外のメンバーも指名手配を受けているため全員フードを深く被って歩き、翌日の昼頃に首都サーベルへ到着して外壁の高さに圧倒されて立ち竦んでいると、後ろから馬に乗った6人ほどの軍人が一同を見下してせせら笑うように、
「見ろよあのフードの奴ら、絶対田舎者だぜ? 外壁を見ただけであれじゃあ中に入ったら腰抜かすぞ! まったく、都市に住んでも馴染めないですぐに田舎へ帰っちまうくせに、入るのは止めて田舎へ帰ったらどうだ?」
と大きな声でゲラゲラと下品に笑いながら言うと行ってしまい、腹が立った晴久は誰にも気付かれないように俯いて能力を使い地面に小さな穴をあけると、よそ見をしながら軍人が乗っていた馬の脚がハマってバランスを崩して転び、先ほどまで笑っていた軍人は振り落とされて腰を強く打ち悪態をついていると、違う軍人がフードを被った集団を見るとひとりが仲間に小声で叱られているのを見て不意に見えたオッドアイに、不信を覚えた彼は仲間の軍人に言ってもう一度見やるがフードの集団を見失ってしまい、慌てて探すが大勢の都市へ向かう者達で見えないため上官に無線で知らせた後負傷者を医務室に連れて行ってから、軍の全精力で探すため都市の中心にある軍城の広場で空気銃を空に向けて撃たせ、都市への出入り口は全て閉じられ物々しい雰囲気に包まれた街は騒めき出し、その様子を出入り口の内側にある茂みに隠れて見ていた晴久達は顔を青ざめているとアミディオが小声で、
「お前があんな事するから状況が悪化しちまっただろ!? これからどうすんだよ⁈」
そう言っていると突然後ろから男性の声で、
「それでは我々について来てもらおうか、犯罪集団の若者諸君」
と言われ慌てて辺りを見回すと銃を構えた軍人に囲まれていたので、驚きの余り呆然としているとテレンスが突然呻き声を上げて倒れると、助けようと近づいたレイラとアミディオも呻いて倒れてしまい晴久と研二、美月だけが残されたのだが3人とも苦しそうに息をしていて、銃を構えている赤い軍服を着た集団の中央に立つ青い色の軍服を着た男がほくそ笑むと、
「我々では君達には勝てないからね……少し仕掛けを施したんだ、少しの間眠っていてくれ」
そう白い手袋を外しながら言って指を鳴らすと頭痛がひどくなり残された二人も気を失ってしまい、最後に気を失った晴久は男の残忍な笑みを薄れて行く意識の中見ていた。
晴久が次に目を覚ましたのは質素な部屋にあるソファーの上で、困惑しながら座っていると自分の足が鎖でソファーの脚につながれている事に気付き、さらにフード付きのコートは脱がされてシャツとズボンもキレイなものに変えられており、さらに困惑していた晴久は突然扉が開いて入って来た藍色の軍服を着た男に驚いていると、軍人は冷たい笑みを浮かべながら彼を見下ろして、
「目が覚めたみたいだね、晴久君?」
そう言って近付くと晴久は恐怖に怯えながら、
「よ、寄るな! 俺の……俺の仲間はどこにいるんだ、なんで俺だけこの部屋で鎖に繋がれてるんだよ⁈」
と一気に捲し立てると彼は冷たい笑みを崩さずに静かな口調で、
「君の仲間は一人ずつ大きな手錠をかけて牢に入れさせているんだ、今逃げられるととても困るからね……だから君にも枷をつけさせてもらったんだ、そう……私は君と手を組みたいんだ」
そう言われた晴久はさらに警戒を強めて、
「手を……組む……?」
と震えつつも睨みつけてそう言うと軍人は、
「まだ名乗っていなかったね、私はスヴェン・オーリスなんの変哲もない宇宙人だ、だからこそ君が使える自然干渉の能力が欲しいんだよ」
そう言われた晴久は驚いて目を見開くと、
「どうして……俺が使える能力を知っているんだ?」
と緊張の面持ちで尋ねるとスヴェンは目を閉じると、
「私は君が培養液の中で眠っていた時から知っているよ、あの時君と目が合った事もね……」
そう懐かし気に言うと目を開き晴久の頬に優しく触れながら、
「今でも思い出すよ……やっと身体が出来て眠っている君が、私に気付くはずのない君が私の声で目を覚まし見つめる君の瞳に……興奮したんだ! そのオッドアイに! その時私の研究は間違いではなかったんだと思えた‼ 超能力研究において能力値が高い検体には心身共に影響が出る、君のその瞳と記憶は私の夢だった検体なんだよ‼」
と興奮して途中から声を荒げて話すスヴェンを震えながら見上げる晴久に目を細めながら、
「震えなくても君を殺すとは言わないから安心してくれ、ただ私の指示に従って動いてくれればいいんだ、その前に少し治療を施すけどね」
そう再び冷たい笑みに戻すと晴久は震える声で、
「ち、治療って……何を……?」
と尋ねると静かな声でスヴェンは、
「なんてことは無い、君の脳が発している脳波を我々の持っている機器に取り込んで変換した後チップにして君の脳に入れるだけだよ、君はその時眠っているし怖くはない」
そう微笑みながら言うとさらに震えだす晴久を冷たい目で見下ろしていると、突然扉が勢いよく開きスヴェンが見やるとそこには息を切らせて立っているテレンス達がいて、スヴェンは驚愕と言った表情で立ちあがってテレンス達に指を差すと、
「な、なぜ貴様らがここにいるんだ!? 一人ずつ手錠をつけて牢にぶち込んだはずなのに……‼」
と顔を青ざめながら言うと自慢げにテレンスが、
「僕達を甘く見ると痛い目を見ますよ? 閣下」
そう言って親指を立てて下に向けるとニヤリと笑いレイラが横から出て来て悪戯っぽく微笑むと、
「晴久さんは怖がりなんだからぁ、あまり泣かせないでくださいよぉ」
と言ってから晴久にも微笑むと彼は慌てて目元をぬぐい赤い目で、
「お、俺は泣いてない!」
そう言うとアミディオがすかさず、
「嘘つけ! 俺らが来た時震えて泣いてたぜ! それに目が真っ赤っだ」
とからかうように言うと研二が間に入って、
「まぁ、今はそれくらいにしないとあの人もそろそろ限界みたいだし」
そう言ったあとスヴェンは突然気でも狂ったかのように叫びだしテレンス達が臨戦態勢に入るとそれを見たスヴェンは晴久の首に腕を回して締め付けると頭に銃を突きつけ、
「動くんじゃねぇぞ、ガキ共が! 近づけばこいつの頭をぶっ飛ばす‼」
と怒鳴りながら言うと動けずに緊張するテレンス達を見て晴久は意を決したように口元を結ぶと、能力を使って自分の中にある静電気を強くすると、案の定スヴェンは呻いて晴久を離しその瞬間にテレンスとアミディオが走り出し、先に出てきたアミディオが銃を持った右手を蹴って銃を手放させると次にテレンスがスヴェンの腹を思いっきり蹴りつけ彼は気を失いその場で倒れた。
その数時間後に目を覚ましたスヴェンは腕を後ろに回すようにして手錠をかけられ、辺りには奴隷制度廃止運動をしていた宇宙人達が大勢集まり、その中心にテレンスがいて彼はスヴェンが目を覚ました事に気付いて近づいて来ると、
「どうですか? 奴隷のように腕を縛られる気持ちは、単刀直入に言います今すぐに奴隷制度を廃止にしてください!」
そう真剣な表情で言うがスヴェンはしばらく間を開けてから、
「無理だ、と言ったら?」
と俯きながら言うとテレンスは大きくため息をつき、
「仕方がないのであなたには職を辞してもらってその後は僕達がこの地球を守ります」
と言われたスヴェンは驚いて目を見開いた後嘲るような笑みを浮かべ、
「貴様らのような能天気共が連盟のじじい達をどうにかできると思うなよ、そのうち足元をすくわれる羽目になる、俺はそれを先に逝ってみててやるよ‼」
そう言って声をあげ笑った後突然震えて苦しみだすとすぐに口から泡を吹いて死んでしまい、テレンスが呆然としていると軍城にいる残りの軍人を見回っていた晴久がアミディオと走って来て、
「テレンス! 軍人が一人毒を飲んで……」
と切羽詰まったような表情で途中まで言うとテレンスが壁際でうずくまっている事に気付き驚いた晴久は、
「テレンス‼」
そう大声を上げて近付くとテレンスの足元に嘔吐物が落ちていて、晴久は目の前で人が初めて死ぬ光景をみたテレンスの気分が悪くなった事を悟り黙って背中をさすると、数分で落ち着いたテレンスは晴久の腕に触れて、
「もう……大丈夫だよ、ありがとう晴久」
と微笑みながら言うと晴久は安心したように、
「よかった……立てるか?」
そう言って手を差し伸べてテレンスを立たせると晴久は遠くを見つめながら、
「あの時……助けに来てくれてありがとう、もし……来てくれなかったらと思うと震えるくらい怖かった、本当に……ありがとう」
と言って昔の事を思い出したのか目に涙を浮かべている晴久の手を力強く握ると、
「大丈夫だよ、晴久! もう君に酷い事をする人はいないんだ、これからは僕達が今までしてた事と同じ事が出来る、人として生きられるんだよ」
そう微笑んで言うと晴久は嬉しさの余り泣き出すので慌てるテレンスに追い打ちをかけるようにレイラ達が戻って来て、
「あっ! またテレにぃが晴久さんを泣かせてるぅ‼」
と指を差して言うのでさらに慌てるテレンスを見て笑い出しそれを見た晴久も笑い出すので、3人で大笑いをしていると後ろから、
「あ、あのぅ……すまないが、テレンス・モンティスというのは誰かな?」
そう宇宙人男性に声をかけられテレンスが前へ出ると、
「僕がテレンスですけど、貴方は?」
と尋ねると男性は緊張しながら、
「あ、あなたのおかげで自分達の目標が達成しました! 本当にありがとうございます‼」
そう言ってテレンスの手を握ると彼は最初驚いた顔をしたがすぐに微笑んで、
「これは僕だけの功績じゃないですよ、仲間がいたからできた事なんです‼」
と明るい表情で言うと晴久達と目を合わせて微笑み合い仲間と手を繋ぎ合った。




