第7話 地球人達の村で
硬直して研二達を見上げていた子供の一人が突然大声で悲鳴を上げながら逃げて行くと、残された子供が今にも泣きだしそうな表情で研二達を見つめていて、レイラが前に出て来て笑顔で子供の頭を撫でながら、
「ごめんねぇ、私達今旅をしているんだけど、訳があって追われてるのぉ、仲間も熱を出して苦しそうだしぃ……ゆっくりと休める場所ってあるかなぁ?」
と優しい口調で微笑みながら言うと子供は顔を赤らめて俯いた後元気よく顔を上げて、
「だ、だったら、私の村に来てよ‼ 村には……」
そう途中まで言うと後ろから子供の名前を呼ぶ声がしたので全員でそちらを向くと、地球人の女性と複数人の男性が走って来ていて、近づいた女性は子供を抱きかかえると男性達が銃を構えていたので、驚愕といった表情で見つめていたテレンス達を庇うように美月と研二が前へ出ると、一瞬眉を動かして二人を見つめていた男性の一人が怪訝な顔つきで、
「君達2人は……地球人か? なぜ宇宙人と一緒にいるんだ、奴隷商の仲間か!?」
と最後の言葉は困惑気味になっていたのでテレンスは彼らの恐怖を和らげようと思い、晴久をアミディオに託して両手を上げながら前へ出て来て自分達には戦う意思がない事を示すと、始めは驚いたがテレンスの気持ちを感じた男性達も銃を降ろし、顔だけを動かして付いてくるように指示すると先へ歩いて行き、ホッと息をついた一同は地球人達の後ろに着いて行き向かった先はうっそうとした森の中で、そこには木で出来た建物が大きな湖を囲うように円を描いて建っていて、さらにその建物の周りには大勢の地球人達が生活をしていて、それを見て驚いたテレンス達に気付いた彼らは恐怖と驚きの混じった表情で騒ぎ出し、一斉にテレンス達を連れてきた男性達を問い詰めていると奥の方から老人が杖を突いて近付いて来て、
「皆の者、静まらぬか‼ 神の御子様の御前じゃぞ!」
そう一括すると先ほどまで騒いでいた地球人達が一斉に静まり返ったので老人は満足気に頷くと、杖を突きながらテレンス達に近づいて来てアミディオの背中で眠る晴久の腕に触れながら、
「危ない所でしたのぉ、じゃが安心くだされここは姫巫女様のお力で悪意を持つ者は近づけませぬ、そなた達も疲れたじゃろうて、ここで少し休みなさい」
と顔のシワを深くしてにこやかにテレンス達にもそう言うと老人の隣で立っていた男性に合図を送り、彼は晴久に会釈をしてからアミディオの背中から晴久を抱えてどこかへ連れて行かれ、残されたテレンス達は女性に案内され一つの家に入るとそこにはベッドが5つ置いてあり、驚いて目を丸くする彼等に家を案内した女性は笑顔で、
「御子様の御友人にも特別なおもてなしをと姫巫女様から仰せ使われていますので何なりと」
そう言った後に隣の部屋を開けレイラと美月を案内してから頭を下げて、
「それではお食事までお寛ぎくださいませ」
と言って部屋を出て行き最初は全員無言で立っていたのだがふとアミディオが、
「ど、どういう事なんだ? なんでこんなところに地球人達がいるんだよ?」
そう困惑しながら言っていると顎に手を当てながら考え込んでいた研二が小さな声で、
「まさか……」
と呟くと答えを待つテレンス達を見回してから、
「おそらく昨日の晩に晴久君がこの村の姫巫女という人物に夢の中で逢っていた可能性がある、実は彼が眠っていた時に彼とは違う波動を感じたんだ」
そう眉根を寄せて説明すると言葉を失い呆然と立ち尽くすテレンス達だったが、突然扉がノックされ全員が身体を跳ね上げていると外から、
「姫巫女様が御子様の御友人にお会いしたいと申しておりますのでご案内いたします」
と女性の声がして顔を見合わせた後研二が大きな声で、
「分かりました、今出ます」
そう答えるとテレンス達に頷いて大丈夫だと伝えてからドアを開け外へ出ると、屈強な大人の男性が大勢いてそれを見た研二以外のメンバーは驚いてアミディオが怒りをあらわにしながら、
「な、なんだよ! これじゃあ俺達を信用してねぇみたいじゃねぇか‼」
と怒鳴るように言うと一番屈強そうな男性が前に出て来て、
「当たり前だ、いくら子供だろうと宇宙人を信用するバカな奴はこの村にいない」
そう見下ろして言われたアミディオはさらに腹が立ったのか怒鳴ろうとすると、慌てて研二が前に出て来るとアミディオの肩を掴んで、
「落ち着いて、みんなが怖がってしまうから」
と静かに言って止めるとアミディオは周りを見回してから怒りが消えていったのか、
「……わりぃ」
そう間をおいて謝ると先ほどの男性が鼻で笑うと、
「宇宙人をここまで飼いならすとは、凄い坊ちゃんですねぇ」
とバカにしたように言うと研二が男性を睨みつけながら、
「それ以上私の友人を侮辱するとどうなるか知りませんよ……?」
そう低い声で言うと男性は怯えたように体を跳ね上げて目をそらすと無言で先を歩いて行き、一同が黙って着いて行くと他の建物とは違う大きく頑丈な建物に入って行き、扉には縄を編んで中央に白い紙をねじったようなものが付いていて男性がドアの前で恭しく一礼してから、
「姫巫女様、御子様の御友人をお連れ致しました」
と言うと少しの間があいてから少女の声で、
「どうぞ、お入りください」
その声に驚いた一同は顔を見合っていると扉が開き中へ入ると、白く前を紐で留めて袖の部分が広い変わったシャツに赤いプリーツのかかったスカートのような服を着た10歳前後の少女が、左右に小さな枝葉が入った花瓶と奥には小さいが立派な建物と鏡が置いている台の前に綿の入った布の上に座っていて、研二だけは納得したという顔だったがテレンス達はとても驚いたような顔をしていて彼女は微笑みながら、
「お待ちしておりました、ご無事でこの村に来ていただけて喜ばしい限りです」
と言うとテレンス達に椅子を勧めて座るまで待つと、
「晴久さんとお呼びするのですよね、彼は今我々の療養の元快方へと向かっていますのでどうぞご安心ください」
そう彼女が言った後研二を見つめてまた間をあけてから、
「あなたですね、晴久さんと逢っていた時に感じた波動の方は……お名前は?」
と言われた研二は彼女の目を見ながら、
「香月 研二です、私もあなたの波動を感じました……そこでお尋ねしますが晴久君が先にあなたの夢の中へ接触したのですか? それともあなたが先に?」
そう真剣な表情で尋ねると少女は目を瞑ってしばらくしてから、
「私が先に晴久さんの夢に渡って話をしました、彼は地球人達の奴隷制度をあなた方と変えるために旅をしていると話していたのです、それといつも自分を助けてくれる仲間を助けたいという思いで無理をしてしまい、あなた達に謝りたいんだとも話してくれました……」
と一同は少女の言葉を静かに聞いているとふいに扉がノックされテレンス達が振り返ると外から、
「御子様がお目覚めになられました」
そう女性の声がして少女は立ち上がると、
「それでは晴久さんのいるお部屋へ参りましょう、ご案内致します」
と微笑みを絶やさずに言うとテレンス達も立ち上がり少女に着いて行くと、建物の一番奥の部屋へ入り一つしかないベッドには晴久が申し訳なさそうにクッションに背もたれて座っていて、一番先に美月が涙を浮かべながら前に出て来て晴久に近づくと、
「お、お兄ちゃん……良かった、元気になって……!」
そう言いながら手を握っていると晴久は困惑気味に美月を見上げると、
「ごめん、心配かけて……」
と微笑みながら言うと後ろにいる仲間にも微笑んで、
「テレンス達も、心配かけてすまなかった」
そう言って頭を下げると近づいて来た仲間とも握手をしてさらに結束を固め合うと、その後も晴久達は地球人の村に留まり静養をして3日が経ってから村人達と感謝の握手で挨拶をして、食料などを受け取ると見送る村人達に手を振り返しながらまた前へ進んで行く一同はもう近くまで来た都市へと向かっていた。




