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希望へ  作者: 桜本 結芽
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第六話  海を渡って‼

 朝の風が動き始め明るさが訪れた頃に目を覚ました一同は食事を取った後支度を済ませて歩き始めると、しばらくして近くの街オルペクールへ着き門の中へ入るとアミディオとレイラは必要な食べ物や水を買うためにこの街では比較的大きなスーパーに入り、テレンスはフードを深く被った晴久達三人を守るために残って店の前で立っていると一人の酒に酔った中年の男性がよろめく足取りで近付いてくると、

 「なんだぁ? お前ら見ない顔だなぁよそ者か⁈」

 と俯いている晴久の顔を見ようとしゃがむとテレンスが男性の肩を掴んで、

 「おじさん、僕達は旅人なんです、不躾な事はしないでください」

 そう笑顔で言うと手に力を込めたので男性が痛みで顔を歪めると、テレンスは突き放すようにして放し派手に転んだ男性は立ち上がると怒りの表情で、

 「てめぇ、ふざけやがって! このクソガキが‼」

 と怒鳴りつけるがテレンスの射るような冷たい視線に気圧され息を飲むと、愚痴を呟きながら去って行きその直後に出てきたアミディオが呆れたような表情で、

 「あんまり問題を起こすなよ? ただでさえ指名手配なんかされてるんだから……」

 そう小さな声で言うとテレンスは不機嫌そうな顔で、

 「べつに、あっちが先に絡んできたんだ、自己防衛だよ」

 と言うなり速足で歩いて行く彼に慌てて晴久も付いて行って早々に街を出たのだが、テレンスが無言で歩いていて重苦しい雰囲気の中晴久がアミディオに小声で、

 「何でテレンスは怒っているんだ? やっぱりさっきの事で……?」

 そう尋ねるとアミディオはため息をついた後遠い目をしながら、

 「あいつは見た目が優しそうに見えるけど実はかなりキレやすい性格で、あいつの親父さんともよく喧嘩して殴り合ってたからな、その分強くなって俺はいっつも喧嘩すると負けるんだよ」

 と言ってまたため息をつくと横からレイラが美月と一緒に近づいて来て、

 「お兄ちゃんはパパを怒らせては殴り合てたんだよぉ、本当に仲が悪いよねぇ」

 そう半ば諦めたような声と表情でレイラが言っているとテレンスが急に立ち止まって振り返ると、

 「父さんと僕は考え方が根本的に違うから喧嘩になるだけだよ、それに父さんが奴隷商を僕に継いでほしいのはわかるけど、僕は沢山の人達を助ける医者か弁護士になりたいんだ、でも……そんな仕事は気の狂った奴がする仕事だって言い張るから毎回喧嘩になるんだ、だから僕はなにも悪いことは言ってないよ」

 と口調に怒気を混じらせて言うとアミディオは諦めたように両手を肩の上まで上げ、晴久はため息をつくとテレンスは拗ねたように振り返ると、

 「もうこの話は終わろう‼」

 それだけ言うと速足で歩いて行くのでその後ろを慌てて晴久達も付いて行き、夕方近くになるとレイラが何かに気付き鼻をしきりに動かした後嬉しそうに、

 「海の臭いがするよぉ‼ やっと漁港に着いたんだぁ‼」

 と飛び上がりながら言うとテレンスとアミディオは微笑んで拳を合わせていて、美月は目に涙を浮かべ晴久と研二も一息ついたその時だった、晴久が突然顔を強張らせてそれに気付いた研二が話しかけようとした瞬間彼にも未来が見え喜んでいる仲間に深刻な面持ちで、

 「みんな、喜んでいる中すまないが多くの殺気が我々に近づいている、ここを早く出ないとまた戦う事になりそうだよ」

 そう冷静な口調で説明すると仲間を見回し頷いて晴久を見て彼も頷くと、追ってから逃げるために晴久が先を読んで先頭を走りだし、しばらく走ると海岸へと出てしまいアミディオが憤慨といった表情で、

 「浜辺に出て来てどうすんだよ!? もうすぐ追いつかれちまうぞ⁈」

 と言って後ろの服から胸筋がはみ出ているむさくるしい男が四人ほど下卑な笑みを浮かべて近付いて来るのが見え、追い詰められたテレンス達は晴久を見やると彼は落ち着いて海を眺めながら集中していて、晴久が目を閉じると海の水が動き出しそのまま片腕を上げると海が唸るような音を立てて真っ二つに割れそれを確認すると驚きで茫然としている仲間を振り返って、

 「早く行こう! 俺の力も長くはもたないから‼」

 そう叫ぶように伝えるとテレンス達に頷いて先を走って行くと、彼らも付いて行き最後尾のアミディオが海の壁へ入ると割れていた海が元に戻り、後ろから来ていた数人の男が海水に飲み込まれ成すすべもなく溺れて行くのを晴久達は感じながらも走り続け、数分後やっと陸地が見えさらに走って対岸に着くと全員がへたり込んで息を荒くして呼吸を整えていると、力を解いて仲間の誰よりも苦し気に汗を流している晴久に研二が、

 「大丈夫か、晴久君? 長時間力を使っていた様子だったけど……?」

 と瞳に心配の色を浮かべて尋ねると、

 「だ、だい、じょう、ぶ……だ……! 心配……をかけて、すまない……」

 そうかなり苦し気に言って立ち上がろうとするが膝に力が入らないのか、倒れそうになって咄嗟にテレンスが支えるとそれを見た研二は眉根を寄せて、

 「やはり今はどこかで休もう‼ 今から近くにある空き家を探してくるよ」

 と言うと歩きかけた研二に晴久は食って掛かるように、

 「で、でも……少しでも早く進まないと、余計に危険になるかもしれない……」

 そう言うと研二は振り返り近づくと突然晴久の頬を握り拳で殴りつけ倒れ込む晴久に、

 「こんな近い未来も読めない君がいても邪魔なだけだ、今すぐに空き家を探してくるよ」

 そう言って踵を返すと歩いて行きその後ろをアミディオが付いて行き、晴久を起き上がらせながらテレンスが呆れたように微笑むと、

 「素直じゃないなぁ……研二さんはどうしても晴久を休ませてあげたいみたいだ」

 と言うと立ち竦んだままのレイラと美月に頷くとホッと息を吐いていて、しばらくすると戻って来て近くの空き家へ全員で入り晴久を眠らせたすぐ後に苦し気に息をする晴久に気付いたテレンスが額に手を当てると険しい顔つきで、

 「すごい熱だ、早くなんとかしてあげないと……」

 そう研二に言うと彼は真剣な面持ちで、

 「我々が出来る事は彼が自分で体力を回復するまで待つことだよ……大丈夫、彼はとても強いからすぐに治るよ」

 と言っていた研二も心配そうな顔で晴久を見てからテレンス達に、

 「君達は先に休んでくれ、ここは私が見張っているから」

 そう言ってドアが見える位置まで行くと座ってドアと向き合い、テレンス達も紙やら布やらをかき集め体を包み込んで横になった。


 翌朝テレンスは晴久が気になって目を覚まし額に手を当ててみると、まだ熱はあるが昨晩より呼吸が楽になっていてホッとするのも束の間、研二がアミディオ達を起こして真剣な面持ちで、

 「今からこの建物をでるからなるだけ音を立てずに支度をしてくれ」

 と言われ突然の事に驚くメンバーだったがすぐに冷静に物音一つ立てずに支度を済ませると、テレンスが晴久を背負い晴久の荷物とテレンスの荷物はアミディオが持ち、家を出て裏にある山に入り歩き続けて頂上に着くと、すぐ下には先ほどの空き家が見えたので見てみると追っ手の仲間が火炎放射器で建物を燃やしていて、男はとても楽しそうに笑いながら家を焼いていたのでその光景を背筋が凍るような青ざめた顔で見ていると研二が、

 「見ない方がいいよ、君達には辛いことだから……きっと地球にはあの宇宙人みたいな人達が殆どみたいだ、君達のような宇宙人はごく稀のようだね

 そう言うと茂みに向かって行くと物音がしたので慌てて見やると、そこには地球人の子供二人が腰を抜かしてへたり込んで研二達を見つめていた。

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