第2話 街で出会った問題児
テレンス達が旅へ出てからすでに1週間が経ち着実に歩みを進める3人の前に四つ目の街が現れ、今まで来た道とこれから行く道を話し合っていると窓の外からざわめきが聞こえたので、気になった3人が見に行くとそこでは人の輪があり中心には大人の男性とまだ幼さの残る少女が喧嘩をしていて、なにやら男性が押され気味で顔のあちこちに殴られた後があったのだが男性は未だ血気盛んに殴りかかるが、少女は簡単にそれを避け力いっぱい男性の腹を殴り呻き声を上げて倒れるとそのまま気を失ってしまったので、冷ややかな表情で見ていた少女の顔にテレンスは心当たりがあるのか急いで輪の中へ入り驚きの混じった大きな声で、
「レイラ! どうしてこんな所にいるんだ!?」
と言って少女の腕を掴むと彼女はとても嬉しそうに、
「テレにぃー! 会いたかったよぉー!」
そうテレンスに抱きつきながら言うと上目遣いで睨みながら、
「どうして私も連れてってくれなかったのぉ? 寂しかったんだよぉ!」
と言いながら抱きつく腕に力を込めるとテレンスは痛みで少し顔をしかめながら、
「し、仕方なかったんだ、先を急ぐ旅だったんだから」
そう言ってから辺りを見回すと、
「と、とりあえず近くの個室があるレストランへ行こう、ここでは話せないし警備兵が来るかもしれない」
と言うのと同時にエルベルトが、
「もうすぐ来るから早く行こう」
そう小声で言うとテレンスは頷きレイラを連れて近くの個室レストランへ入り、昼食を取っているとそれまでずっと黙っていたレイラが、
「それでぇ? どうして私を置いて旅に出たのぉ?」
また上目遣いで尋ねるとテレンスは困ったような顔で、
「これは簡単に話せる事ではないし遊びでもないんだ、レイラは母さんの所へ帰った方が良いよ、父さんが怒り出すしね」
そう言って微笑むがレイラは頬を膨らませながら、
「そんなの嫌だよぉ、てゆうか私はママに言われて来たんだよぉ? 今帰ったら私がママに怒られちゃうよぉ」
と怒るというより悲しげな表情で言うとテレンスはまた困った顔でため息をつくと、エルベルトを見て彼が頷くのでまた大きなため息をつき、
「わかった、ただし彼のことは誰にも話してはいけないよ?」
それを聞いたレイラは満面の笑みを浮べ、
「やったぁ! ありがとうテレにぃ!」
と両手を上げて喜んでから、
「でもママから全部聞いてるよぉ? で、今はなんて名乗ってるのぉ?」
そう突然尋ねられ驚くテレンスとアミディオとは違い、落ち着いた様子でエルベルトが名乗り左手を差し出すとレイラは微笑みながら、
「エルベルトさん、よろしくねぇ!」
と握手を交わしながら言うとそれを見ていたテレンスが小声で、
「分かってたなら教えてくれてもよかったのに……」
そうため息をつきながら言うとエルベルトは少し怯えたように、
「す、すみません……忘れていから」
と言いながら震えるエルベルトに気づいたレイラはテレンスに避難の目を向けながら、
「エルベルトさんをいじめちゃだめなんだよぉ! テレにぃ」
そう言うとテレンスは、
「い、いや……いじめてるわけじゃ……」
と慌てながら答えるとずっと見ていたアミディオは突然笑いだし、
「お前ら本当に面白いな!」
そう言いながらさらに笑い続けてしばらくすると涙に濡れた目を押さえながら、
「ところでチビ、お前どうやってここまで来たんだ?」
と尋ねるとレイラはいたずらっぽくウインクしながら、
「実はパパの電動スクーター内緒で借りて来ちゃったぁ!」
そう言うと呆気にとられた顔のテレンスとアミディオを見て、楽しげに笑うレイラは静かに見守っていたエルベルトに気づき見返すと彼は微笑み、
「お兄さんを心配して来るなんて、優しいんですね……」
と言うとレイラはみるみる顔を赤らめ俯くのでそれを複雑な表情のテレンスと、落ち込んだ表情のアミディオに気づいたエルベルトは俯き、ボソボソと何かを言っていると突然顔を上げ真剣な面持ちで、
「もうすぐここに警備兵が来る、きっとレイラさんを捕まえるためだと思う……早くここを出たほうがいいです!」
そう口早に伝えると4人は頷きその店をすぐに出て街を出る為エルベルトが先導して歩く事数時間後、なんとか人気のない門から出る事に成功してホッと息をつく4人だったがまたエルベルトが、
「俺達の逃げた道が気付かれました、あと俺の事も……」
と淡々して伝える彼を見たレイラは顔を青ざめながら、
「どうしてそんなに冷静でいられるのぉ? 捕まったら殺されるかも知れないんだよぉ?」
そう震えながら言うと、
「お、俺だって怖いです、なにせ見つかれば拷問を受けて死ぬんだから、それを今まで何人も見てきたんだし……」
とエルベルトはレイラよりも震えながら言うと、テレンスはそっと彼の手を握りながら、
「大丈夫だよ、僕達がいるじゃないか!」
そう優しく微笑んで言うとエルベルトの震えは次第に落ち着いていき彼も微笑むと、
「……ありがとうございます」
と小さな声で言うと目を瞑りすぐに開くと、
「もうすぐそばまで来てる、逃げるなら今です!」
そう言うと荒野へと足早に歩いて行き4人は急いで街から離れていったが、その時の4人はまさか自分達が指名手配を受けているとは思いもせずに先を歩んでいった。




