ある双子の姉妹の物語
あるところに、王家の後継者問題で荒れる国がありました。貴族たちの権力争いは激しさを増すばかりです。
そんな中に、権力争いを全く気にしない家がありました。良い意味では、ありません。彼らは他の貴族たちにはない、絶対的な力があったのです。
それは、魔物と契約し、自らの使い魔とする魔法、召喚魔法を代々有してきたからに他なりません。
これは、努力でできるものではありません。魔物との特殊な繋がりが必要だからです。
召喚魔法を使える者を人々は、召喚師と呼びました。
彼らの家には双子の姉妹がおりました。
姉妹は真っ白な髪に黒い瞳を持ち、周りから浮いていました。
彼女たちが八歳となった、まだ肌寒い春の日。
家全体に衝撃が走りました。
姉妹には召喚魔法が使えないことが分かったのです。
彼女たちは、家の恥として森に捨てられてしまいました。
そのとき着ていたドレスは、無理矢理脱がされ、みすぼらしい布切れ一枚、裸足でした。
多くの魔物が生息する森に捨てられた姉妹。彼女たちは身を寄せ合い、寒さを凌ぎました。
しかし、ここは、魔物の巣窟。
周りから獣の鳴き声••••••いえ、悲鳴が聞こえてきます。
とうとう、姉妹は死を覚悟しました。
目の前に姿を現した狼の魔物は、血の付いた牙を姉妹に晒します。
お互いにお互いを庇い、姉妹はギュッと目を閉じました。
••••••••••••••••••いつまでたっても、覚悟した痛みはきません。
双子の姉は、目をゆっくりと開けました。そして開いた目を、更に大きく開き、丸めて。
----------------狼の死体を、その目で見ました。
自分たちを食べようとしていた魔物の隣に立つ、誰か。黒尽くめの者は、姉妹の方へ身体を向けました。
左腕が、ない。その異質な何かに、姉妹の身体がビクッと震えました。
そんな自分たちに向かって、黒い、人の形をした何者かは歩みを進めます。。
姉妹の一歩手前で立ち止まると、深く被っていたフードを取りました。
ぁ、と思わず声が漏れます。
とても美しい、少年でした。
艶めく美しい黒髪には天使の輪が光っています。潤んだ真っ赤な瞳はルビーのようです。輪郭はマフラーに隠れ見えませんが、とても整っていることが分かります。
彼は、固まったまま動かない姉妹の目線の高さに合わせるように膝をつきました。彼はルビーのような瞳で二人の少女を見ます。そして、言いました。
-------------貴女方、とても面白い力を持っていますね、と。
彼が浮かべた微笑みは、とても美しいですが、同じくらい、妖しく、恐ろしいものでした。
姉妹は少年に恐怖を覚ました。しかし、同じくらい、何かを期待しました。
それが何に対する期待なのか、姉妹はまだ、知りません。