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彼氏とはなんだろう。

彼女とはなんだろう。

もしかしたら

考えたことがある人もいるかもしれない。

僕は考えた。

そう僕は考える側の人間だった。

幸か不幸は分からない。

気にしない方が幸せなのかもれない。

それでも僕は、優海を幸せにしたいと

心から思っていた。


これは、何気ない普段…日常のある日のこと。

学校の授業のHRで

何についての話し合いでもいいという

日があった。

僕達高校生の気になる話といえば

恋愛が大半を占めるだろう。

僕達も例外ではなかった。


[恋人とはなんだろう]


それが話し合いの題材になった。

飛び交う意見に

思わず優海を見た僕を

見つめ返す優海。

付き合い始めて間もなかった僕達は

きっと頬を赤らめていたことだろう。

それでも僕も彼女も

真剣にこの題材に向き合っていた。


ある男の子が

《俺は彼女の為に死ねる。》

そう言い放った。

クラスがどよめく。


僕はどうだろうか。

そう思った。瞬間的に。

もはや思うという時間すらかからなかった。

できる。と。

それは多分、僕がまだ死ぬことはない

というあまりにも非現実な事だったから

なのかもしれない。

それでも彼女の為になら。

そう思ったのは事実だった。


それがこの題材の答えでも

話し合いをした趣旨でもない。

ただ僕の根底にある

彼女の幸せを考えた上での、

僕にとっての答えではあった。


これをきっかけに

僕は恋人とはなんだろうか

考えるようになった。

そして気付いた。

考えた先にある答えよりも

考える事が大切だと。

彼女にとっての幸せを考えてあげること。


未熟な僕の見出した答えに

僕自身も納得だった。

これから先に彼女がいないなんて

考えられない。


落ち込んだ時に慰め合う。

寂しさを埋めるために抱き合う。

温もりを感じるために手を握る。

それらはきっとなくてはならないもの

かもしれないけれど、

それを本題にするのは間違っている。

僕は過ちを犯す前に

気が付くことができた。


優海の幸せそうな顔を思い浮かべると

笑顔になっていた。なにも不思議には思わなかった。


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