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それから数日後、
僕はサッカー部に仮入部することにした。
小学三年生から続けてきたサッカー。
ポジションはフォワード
背番号の七番はずっと付けている。
県代表選手という
僕にはあまりに不釣り合いな
そして光栄な唯一自慢できることだった。
放課後に体験をしていると
見慣れている姿に目が行く。
「頑張れ!!」
大きな声で叫ぶ彼女は
高校生活初めての友達。
部活が終わり着替えを済ませる。
探したというほど探してはないが
彼女の姿を見つけると
思わず頬が緩む。
「マネージャーやるの?」
僕の言葉に彼女は
「そらくんのためじゃないからね、
残念でしたぁ」
なんて微笑む。
それからは一緒に帰ることも増えた。
話す機会も。
それをただ純粋に楽しいと
僕は思った。
一週間もしないうちに
僕より先に入部を決めた彼女は
ある日の放課後ふとこんな事を言う。
「選手とマネージャーになったらさ。
名前で呼んでもいいよー」
優海。すぐさま名前が浮かんだ僕は
恥ずかしさと驚きで
「別に」
素っ気ない態度か
それとも照れた態度だったのかは
その言葉を聞いた優海を見て理解する。
にやにやしている優海を放って
部活に参加した。
素直になれたら。無論、その時の僕は
素直なつもりだった。自分の気持ちを
理解していなかっただけで。
もしも、この時自分の気持ちに気付いていたら
後々の後悔や悲しみ、切なさを生まずに
すんだのかもしれない。
後悔先に立たず。とはよく言ったものだ。
この時の僕は、まだ子供だったのかもしれない。