一粒目
「雨かよ…」
生徒会副会長として活動を始めて早2ヶ月。ようやく毎週のようにある会議にも慣れ始め、今日もいつものように遅めに昇降口に出て思わず漏れた言葉がそれだった。
傘は持ってきてはいたがなんとなく気分が落ちる。
俺は松村晴人。よくはるひとと間違えられるが、はるとである。
ふと隣を見るとカバンの中を必死になって探している女子がいた。どうやら傘がないようだ。
「…これ、使って。」
「え!?いえ、大丈夫です!」
「いいから。おれん家すぐそこだしさ」
「あ、ありがとうございます…」
カバンを頭にかかげ、足早にバス停に向かう。家がすぐそこなんて嘘だ。めちゃめちゃ遠い。
バス停についた。今さっきバスが行ってしまったようだ。遠くの方が光っている。
「…痛い。」
「えっ?うわぁ!?ご、ごめん!」
いつの間にか女の子の足を踏んでしまっていたようだ。全く気づかなかった…
「…お前、雨は好きか?」
「え?なんで…」
「雨は好きかと聞いているんだ。」
「うーん…どっちかというと嫌いかな。ジメジメするし、なんとなく気分が落ちる。」
「そうか…」
心なしか、その女の子は悲しそうだった。
雨がやんだ。星が瞬いている。
「…ねえ、君の名前は…あれ?」
あの子はいなかった。現れた時と同じように音もなく…
「…なんだったんろう…」
ぽつりと呟いたその言葉は雨上がりの星空に消えていった。
生まれて始めて小説を執筆しました。
雨の日に、ふと思いついた夢の中のような話を書いてみたかったのです。
ご意見などありましたら参考にさせていただきますので、よろしければコメントなどよろしくお願いします。