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窓の向こう

作者: 新町ジル

 粉雪の舞う空港から、僕を窓際に乗せた飛行機が飛び立ってゆく。


 最大推力のエンジンが、駐車場に停まる車を点描に変え、大地を絵画の様に変えてゆく。


 上昇を続ける飛行機は、雪雲をかき分け、やがて巡航高度に達する。


 窓の向こうには、夕陽によってバラ色に染められた雲海と、藤色に星が輝く空が広がっていた。


 それを眺めながら、こんなことを思った。


 飛行機に乗るなんて、ありふれたこと。


 その飛行機に乗れば、誰だって観覧者になれる景色なんて、取るに足らないもの。


 けれど、それは、飛行機がありふれた存在である時代に生きているからだ。


 地球球体説や地動説を唱えた偉人たちも、この窓の向こうの景色は想像できなかったはずだ。


 空を目指した飛行家たちにとって、この窓の向こうの景色は、人生を捧げるに足るものだったはずだ。


 かつての奇跡が日常になっている。


 そんな時代に、僕たちは生きているんだ。


 飛行機は降下を始めた。


 窓の向こうには、雪の街灯り。


 十三才の一人旅が終ろうとしていた。









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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして。真咲透子です。  ひとつひとつの表現がとても美しい作品だと思いました。詩という難しいジャンルだと思いますが、テンポがよく、うまくまとまっているように感じました。情景が思い浮かべ…
[一言] こんにちは、悠遊ゆるりです。『思い出をくれた君へ』を読まさせていただいたんですが、気に入ったので違う作品も読まさせていただきました。正直これで終わってほしくないと思うほど好きな文章でした。情…
2015/03/19 22:48 退会済み
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