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闇 第六話 初、地下迷宮(ラビリンス)へ

 あの武道大会から6年が経過した。

 武道大会後にギルドで仲間を募ってみたが誰もが<死神>の名前を恐れて近づいてくれなかった。

 突然だが俺は母国の<グリモワール帝国>に来ている。もちろん顔は魔法で変えている。お尋ね者だし元王子だから顔もこの国の住民には割れてるんだよ。

 さて、今回俺がわざわざ捕まるリスクを冒してまでここに戻ってきたのはこの国の<第六地下迷宮(ゼクステンス)>に挑むためだ。


 地下迷宮は危険度順に1~14までの数が名前についている。すべての地下迷宮は全10階層と言われている。まぁ誰も攻略に成功したことないからわからないことが多いらしい。

 地下迷宮は国から管理されていて入場料で国が潤う仕組みらしい。また倒したモンスターの素材や稀に発見される宝箱の中身は冒険者ギルドで買い取ってもらえる。


 今回は初めてなので様子見だけにとどめるつもりだが、できれば壁がほしい。一応迷宮前広場でパーティーの仲介も行っているらしいので少し見ていくか。


 「こちら5人で剣士募集!2人ぐらいで頼みたい」

 「私たちのところに魔法使いの方入っていただけませんか」


 と自分のパーティーにほしい人材を探している奴らや


 「火と風を上級まで使える俺を誰でもいいから入れてくれ」

 「剣や盾、防具にポーション何でもありますよー」


 と自分を売り込むものや商売してるやつもいる、とてもにぎわっている所だ......と周囲を観察していたら


 「あ、あの、障壁使いは要りませんか......」


 と小さな声で自分を売り込んでいる少女がいた。フードを深くかぶっているし身長も低いため誰からも相手にされていない。

 障壁か...興味があるな、どの魔導書にも乗ってなかったし何かしらのアレンジ魔法か?話しかけて聞いてみよう。

 あ、ちなみに今の俺は20代前半の優しそうな男の姿をしている。


 「すいません」

 「ひゃい!、な、なんですか!?」

 「驚きすぎですよ、何もしませんって」

 「ご、ごめんなさい。なんでしょうか?」

 「あ、障壁使い、と言われていましたよね」

 「そうなんです、私は魔法障壁を張ることができるんです!!他に何もできないですけどね」

 「失礼ですがその魔法障壁の強度は?」

 「信じていただけるんですか?」

 「まぁ、はい」

 「強度は魔級までなら3回は防げます、わたしのMPですと10回張り直せますので30回までなら」

 

 なるほど、案外使えるかもな。


 「フム、わかりました、では私とパーティを組んでくださいますか?」

 「え?いいんですか!?」

 「はい、もちろんです」

 「ありがとうございます!!」


 少女はしっぽがあったらものすごい速さで動いてるのではないか、というぐらい大喜びだった、というより実際しっぽが大はしゃぎしていた。


 「失礼ですがお嬢さんは獣人なんですか?」

 「あ......はい、まぁそんなところです」


 しまった、この空気を何とかしなければいたたまれなくなる。


 「あ、あのよろしければ名前を教えていただけませんか?」

 「はい、私の名前はシャルです」

 「シャルさんですね、私はトラ......トラリスです」

 「トラリスさん、ですね、よろしくお願いします」


 適当に名前を考えてしまったがまぁいいだろう。さてでは早速


 「では地下迷宮に行きましょうか」

 「え、もう行くんですか?」

 「様子見だけですよ、2階層目ぐらいまで見たら引き返しましょう」

 「わかりました」


 というわけで俺たちは受付に何の装備もせずに向かった。


 「では身分証明書の提示をお願いします」


 さっそく積んだ、持ってるのはギルドカードだけでギルドカードは偽証不可能、どうしよう......


 「私、身分証明書持ってないんですけど......」

 「でしたらこの水晶に手を当ててください、犯罪履歴が表示されます、犯罪を犯していなければこの場で地下迷宮でのみ使用可能な身分証明書を発行します」

 

 よし、俺もこれに便乗しよう。


 「私も身分証明書を持っていないのですが」

 「はい、では同じように水晶に手を当ててください」

 「......はい、これが身分証明書です、では製作料として大金貨2枚いただきます」

 「わかり......は?大金貨2枚だと?ぼったくりじゃねぇか」

 「いえ、適正です、そもそもその年になって身分証明書も持たずに装備すらしていない人を怪しまないわけがありません」

 「わかりました」


 まったく、とんだ出費だ。


 「では行ってらっしゃいませ」


 くそ、あいついつかぶん殴ってやる......とか思っていたらさっそく敵さんの登場だ。

 

 スライム×3


 は?レベル低くね?と思った奴いるだろ、確かにただのスライム3匹なら緩いわ、でも1匹の大きさが5mぐらいあるんだぜ。なのに核の大きさは10cm、メンドくせぇ

 『火 煉獄(インフェルノ)』魔級の魔法をさっそく使ったが、オーバーキルだったか。

 

 「すごいですね、魔級を無詠唱で」

 「それなりに努力しましたからね、さぁ、次に進みましょう」

 

 二階層目ではめちゃくちゃ早いトロルと遭遇した。すぐやつけたけど。

 

 という感じで進んでいったが2階層までは簡単にクリアできた。

 あとから聞いた話だとあのスライムは中級までの魔法をはじくし、武器も効かない強敵らしい。トロルはタンクが3人がかりで押さえながら嬲るのがセオリーらしいが魔法障壁の前には無力だった。スライムに関しても魔級以上の魔法しか使わないから関係ないけどな。


 「さて、3階層への階段を見つけましたがどうします」

 「今日は帰りましょうか、明日も頑張りましょうね!」


 この時俺たちは帰り道であんなことになるなんて思いもしなかった。

 


 

お読みいただきありがとうございます。


ヒロイン出してみようかとしたんですが難しいですねww

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