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光 第五話 依頼消化の日々

「はぁっ!!」

地面を蹴って間合いを詰め、猪みたいなモンスターに剣を叩き込む。

「おし!クエストクリアだな!」

剣を納めハイタッチ

6年近くやってると勝利の儀式…って程でもないけど…板についた感がある。

「ソインが重力魔法で足止めしてくれるから助かるよ~」

街に向かって歩き出す。

もし僕が危なくなったら空間魔法でワープさせて助けてくれるらしい。

……今のところは一度もないけど。

「いやいや、剣って凄いよな~……かっこいいし」

「かっこいいって……」

苦笑。

猪をソインが担ぎ上げ、ギルドへ歩み始める。

「あはは……早くランク上がるといいよな~」

因みに今は二人ともC。

ソインの方が先にギルドに入っているから上がるのが早いはずなんだけど僕が時々ソロで依頼を受けて、差を埋めるようにしている。

「そうだね~……」

まだまだとは言えギルドの中でも少年たった二人でCまで!と結構噂になっているらしい。

時々他のパーティーから応援を頼まれる。

そのなかには例の三人組も含まれていたりする。

ソインは今にも重力魔法で押し潰しそうな顔をしていたけど、僕が受けておいた。仲良くしておけばそのうちいいことが、ね?

ソインは良いやつだけど…ばか正直なところがある。

「…で、どこがいい?」

「えっとどこって?」

「次のクエストだよ…ちゃんと聞いとけよ」

ソインが数枚の依頼書をひらつかせる。

「あ、ごめん…」

ばか正直って言ったバチが当たったらしい。

「ソインの好きなところでいいよ」

「……たまにはイヴォが選べ」

「…これ」

「あ、今適当に選んだだろ!絶対適当だろ!!」

抗議。

「別に…選んだんだからいいでしょ!?」

「うんいいよ」

「いいのかよ!っていうかここにあるってことはもう全部受けてるんだよね!?」

「うんそうだよ」

「じゃあ選ばなくてもいいじゃん!!」

はぁ…。

「まぁまぁそう怒るなって…。次は…狼型のモンスターみたいだな」

ソインの手から依頼書を奪い取る。

「ふ~ん……ん?」

「どうした?」

「これ…誤植かな…依頼100頭って見えるんだけど…」

「いやまさか…………んん」

んん。

「……依頼主に確認してみようか」


数刻の後。

「ほんとに100頭かよ…」

「なんでそんなの受けてきちゃったのさぁ……」

「報酬高かったからよくみないで…」

そりゃぁ…高いでしょうね。

依頼主は肉屋だった。

どこぞの貴族に注文されたそうで、肉屋も困っていたらしい。

「まぁ…運ばなくていいだけ不幸中の幸いかな…」

「だな…流石にワープしきれねえよ…」

「…とにかくちゃっちゃと倒しちゃお」



生息地域と教わった草原に到着。

本当に100頭も居るのだろうか……。

「…お、あれか?」

ソインの指差す先を見る。岩陰に…いた。

数匹が寝そべっている。

あまり昼間は動かないのだろうか……。

「じゃあいつもの、よろしく」

「おうよ」

ソインの返事を聞き、剣を抜いて岩影の狼に忍び寄る。

「……我が敵を拘束せよ 重力 グラビティ」

ソインの呪文が作戦開始の合図だ。

地面を力一杯蹴って一気に間合いを詰め、急所に剣を叩き込む。

狼は断末魔をあげる暇もなく絶命。

「4頭か…まだまだだな」

一旦ソインのところまで戻る。

「他の奴はどこに居るんだろうな……ん?イヴォ、今の聞こえたか?」

遠くから微かに狼の遠吠えが聞こえた…ような。

「うん…多分」

「行ってみるか、ここで待ってても獲物は来ないだろうしな」

「そうだね……あっちかな?」

遠吠えの聞こえた方に向かう。

「あの窪地の辺りじゃないか?聞こえ方からすると」

「あー…なんか岩もごつごつしてるし居そうだね」

目に付くところには居ないので、窪地の真ん中に降りる。

北側半分が崖になっていて、中に降りると結構広い。

「さぁて…どこにいるんだ~?」

ソインも降りてきてキョロキョロしている。

「……!」

さらりと吹いた風。

……獣の匂いが混じってる。

風上を見ると狼が窪地の縁に…数えきれない程。

「ノルマ…達成できそうだな」

「うん……」

再び一陣の風が吹く。

すると狼たちは、風に乗るように駆け、あっという間に窪地を囲んでしまう。

静かに、一瞬で。

「おいおい…狼がこんなに頭良いなんて聞いてねえよ…」

自然とソインと背中合わせになる。

「……ソインの方から来るやつだけ動き止めてて」

両腰から剣を抜き、構える。

「任せとけ」

崖の頂上に立つ1頭が吠える。

それに呼応したように狼たちが一斉に斜面を駆け降りてくる。

「…我が剣に風の力を!風舞 ブラーゼンタンヅ!!」

両手の剣が風に包まれるのを感じながら地面を蹴る。

風を隅々まで行き渡らせるように…舞うように滑らかに。剣技にイメージは重要だ。

まずは正面からの一群を屠り……そして右に!

「はぁぁぁっ!!」

巻き起こった砂ぼこりが収まる前にソインの元へ。

「半分……いや、三割は…っ」

徐々に視界が晴れてくる。……四割、かな。

「イヴォ!そろそろこっちも!!」

「うん!」

ソインの数メートル前方には2,30頭の狼がひしめいている。

「これだけ密集してれば…」

近寄ってくる狼を凪ぎ払いながら集団から距離をとる。

「…我に灼熱の裁きの鉄槌を!炎の鉄槌 ブラントブレインド!!」

三段跳びの要領で空に高く跳び、剣を平行に揃えて集団の真ん中目掛けて叩き込む。

自分を中心に炎が広がり、狼たちを巻き込んでいく。

「…あと何頭?」

炎が消えたのを確認してから立ち上がってソインに声をかける。

「多分依頼は達成してるが…あと30頭ってところか?」

いつの間にか狼たちは崖の上のに集まっている。

「……」

目測で数を数えていると例のリーダー格の狼と一瞬目が合った。

と、思った瞬間狼たちは登場したときと同じように音もなく走り去ってしまった。

「ふぅ…終わったみたいだな……」

「うん……」

あの鋭い目付き……まさか、ね。

いくらあの神が適当でも、まさか獣には転生させないはず…。

「おい…イヴォ」

倒した狼を数えていたソインが青い顔を上げる。

「さっき草原で倒したやつ入れても……99頭しかいねえ」

「……えぇぇぇぇぇぇ!?」

最後までお読みいただきありがとうございます。

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