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僕は八年ぶりに生まれ育ったまちに帰ってきた。
久しぶりに帰ってきたまちは昔と余りに変わっていなくて正直驚いた。ここが田舎だからといってこれは変わらな過ぎだと思う。もう少しでもしかしたら僕が帰って来るのを待っていてくれたのかと莫迦なことを考えてしまう程だった。
駅前の寂れた古本屋。
人が疎らな商店街。
車の少ない静かな道路。
生徒数の少ない小学校。
まちに不釣り合いなゲームセンター。
おばさんが沢山いる昼間の公園。
昔優しくしてくれた近所のおじさんの家。
初恋のお姉さんが通っていたピアノ教室。
小さい頃犬に吠えられた小さな空き地。
友達と泥遊びをした広い田んぼ。
大好きな親友の家。
かわいかった幼馴染の家。
皆とお別れをした僕の家。
何一つ変わっていなかった。
思い出の中の景色そのものだった。
本当になにも変わっていない。
嬉しい程に変わってない。
笑ってしまうくらいに変わってない。
哀しくなるくらい変わってない。
泣きたくなる程変わってない。
僕はこんなに変わってしまってしまったのにこのまちは少しも変わってない。
どうしてだろう