nAmBAr.01「形となった妄想」
「遂に始まった、これが19の境地だ…。いや正確には19.9、か。ともかくおめでとうニパ君、そしておめでとうあーし。試練の魔窟への軟着陸成功ってとこだ。っとと、あれ、ハイタッチは無理そうか。ニパ君どう? 体に違和感は有りそうかなん?」
ローニャは一瞬ハイタッチに向けて手を構えたが、それに応じないでいる私に肩透かしを食らったようで前方にややつんのめった。
「あ、ああ…いや、何か可笑しいな、腕の自由が封殺されていると言うか。あの風と言っていいのか、空間の圧迫で腕の痺れが来たのだろうか…」
「それにここ随分暗いよね、あちきの頭のお星さま群が有るから照らす事は出来ているものの。歓迎するにしては侵入者に対するおもてなしのやり方だよね、全然フレンドリーさが無い。あ、あちき達は勿論言わば善玉菌だよん? でも前提として異物では有る。その異物感を上手い事抑えて怖くないよ、平気だからイバの奥底まで行かせてねって事で説得力を獲得しなきゃならない」
ニコニコとした顔を虚空に向けているがそこに幽霊バンドメンバーイバを空目している、と言う事なのだろう。
「ローニャの頭で踊っていた20が19へのカウントダウンを始めた事。それに奥底って言葉を組み合わせると、成人としてのイバと言うよりはイバ少年、もっと言えば極論赤ちゃんイバと向き合う事になるのかな、俺達は」
「その解釈、正鵠を射てるかもね。この一見洞窟でしか無い異空間は別称『アームロック化』、と言うらしい。何かその響きに大事な答えが封印されて居そうな気がしないでもないけどまだ考える段階じゃ無いか…ニパ君の腕が上がらなくなっている所がそのひとまずの特徴だけど、イバが子供の時の苦しみに関する妄想が形になった様な、そんな物なのかもね。よくやらない? 虫を虐めたら逐一そのやり方で自分も地獄でいたぶられるんだ、とか、銀河視点だと太陽自体物凄いスピードで移動していると言う事は何かの弾みで自分の移動だけが静止したら、地球の移動とのリンクが切れて突然宇宙に放り出されてしまう、とかさ、その手の恐怖系妄想」
思考の愛好家としての私は今日昨日に生まれたばかりではないのでその手の子供の悪ふざけめいた発想に関し否定は出来ない。勿論地球にそのまま生を受けた訳では無い私は虫を徒に弄んだ事、自転公転との直接的な結びつきの元地球圏内に鎮座していた事が無い、ただそう言うリアリティが無くともイバとの近似感覚が有る中でシミュレートした数多の状況の内訳にそれらが無かった訳では無い。
多分文中のニコニコ顔を引っ張って来てる そして腕が重いニパは当惑顔、と




