nAmBAr.20「宇宙でも天国でも無く」
「あ、おはようニパ君。どう? 変な気起きなかったかなん?」
私は目を瞑ってその場をやり過ごしていたのでローニャの起床に気付いたのはそう呼び掛けられての事だった。
「ああおはようローニャ。いやそう言う発想が無いとはまあ健康な男子だから決して言えないんだが、でもそう言うカオス方向に流れるのはこの世界においてまずプラスには働かないと予感めいた物は有るな。アダムとイブの逸話が有るじゃ無いか? あれの禁断の果実相当の禁忌だと言う気がする」
「ごめん起きて早々からかい交じりでこんな事言っちゃって。でも言い忘れたなと思ってさ、あちき達は試練の徒として自己を律して行かなきゃならない立場だって事。勿論その行き過ぎない範囲としての埒外ではむふふな流れを期待してくれても有り寄りの有りかもね?」
「はいはい、期待しないで受け流しておくよ、有り寄りの無し位のスタンスで…」
「ヒュー草食系。でさ、偵察中思い付いたこの世界の呼び名なんだけど。ユニバス・ヘブーンってのどうかなん? ユニバースでもヘブンでも無い、異界感出ててなんだかゾクゾクしない? 二人の心音だけがベースラインとしてブンッブンに響く、だだっ広い観客無き音響空間って感じで。うわ空し~。何気にニパ君の二番手成分もニバで入ってるしさ」
「また突飛な発想に行きなさるな。それに二番手成分に関してはそれ元からじゃ無いか」
「あはは、まあ凝縮の後強調されてるって事で。で、略してユニへブ、ユニバン。ユニバス・ヘブーンやユニへブはそのままこの世界って事でいいと思うんだけど、ユニバンはユニバンで別の意味持たせたいんだ。じゃじゃーん、今日この日があちき達と言う二人エアベース"ユニ"ット、デュオ・"バン"ド結成の瞬間だよん。それにユニ番、つまり一人歩きもままならない唯一な一番手イバを二人で協力してどうにかしましょーってな主題も浮かび上がるしね」
「エアですら敢えてのギター無しか、エキセントリックさに痺れるねぇ。でもそこはイバも入れてやろうぜ、どうせ幽霊だろうがメンツはメンツだ、本来的な意味では幽霊はこっち側なんだがな」
「オッケー、タンバリン係だね」
「ははっ、タンバリンソロの時は演奏止めてやろうか」
「さっらし者~サドッ気マックスじゃんやるねぇ」
徹底したこの弄られキャラ化をイバの奴が見て居たらどう思うだろうか。だがこれから襲い来るだろう不可避の事象群に対する心労が二人にここまでさせている面はある、もし見ていると言う超常が有るんであれば、どうかそこは大目に見て欲しい。
「でもさ、あのイデア発言笑った時の反論で語尾の”よー”に”ん”がついてなかったじゃ無いか? ああ言うの可愛いよな、ちょっとした必死な時の余裕無い一面見れたみたいで収穫だったな今にして思うと」
「むむっ、ニパ君もなかなか恋の手練れに育ちそうな雰囲気有るね、次の人生とか有ったらもしやが有るんじゃないの~ん?」
「ほら、法則外れたっぽい”ん”が出たよ。そう言うとこだよ」
「うぐ、またまた上手く反論出来んかったわ…」
ぽてっ、と自分の頭を小突くローニャ。我々の”デート”は、その平穏が切り裂かれる前の宴としてその後も暫く続いた。




