nAmBAr.12「モラトリアム空間」
「おーい」
先の会話が有ってから割とすぐローニャは偵察に出て行き、そして私には黙考の時間が与えられたとそう言う流れなのだが、ようやくローニャは離れて行った方角の逆から戻って来た。
「そっちから戻って来るのは想定外だったな。何か収穫は有ったかい?」
「うんまあ無い訳じゃ無いよ、これだけじっくり回り道したんだ。反対側から戻って来る事になったのはその影響。で結論から言おう。宇宙の膨張って有るじゃん? あれの全く逆が襲って来るんだと思う、この空間は、縮小しつつある。そしてこの潰され塗り替えられ行く空間はスタート地点と言う嵐の前の静けさを代表してる。そう、思春期のモラトリアムみたいなもんであちき達が飲まれる所の荒波はもう迫っていると見てる」
「えーと、つまり最初の試練なんてものはこの地には端から存在しないと?」
「確証は無いけどね。でもちょっとそれ以上の事は考え辛いね、こうも思わせぶりに二人の覚醒が有った後でこの静けさが支配した空間なのではね。探検すればする程その思いは強くなった、でこうしてその思いを伝える為戻って来たと」
「なるほどね…とりあえずありがとう。君みたいに飛行してどうこうって自由の利く体では無いみたいなんで助かったよ」
ローニャはああ疲れた、と言いながら任務遂行の証として私の隣に座り天を仰いだ。頑張りの影響であろう、荒い息遣いが隣に居てよく分かる。
「とどのつまり時間だけは与えられているって事、いい機会だ、軽くデートしとこっか。それはそうと君はおしまいにしてよん。ろーにゃん、なんてのもアリかもね? 猫猫ごろご”ろニャー”ン?」
猫撫で声かつ上目遣いで右手に招き猫の姿勢を取り入れつつそんな事を言って来る。ハァハァと言う乱れた呼吸で言われるとなんだかドギマギさせられてしまい、私は軽く拒絶を示す事になった。
「ローニャ飛び越えてろーにゃんは難易度高過ぎるよ。分かった分かった、君は辞めるからローニャもそんないきなりアグレッシブに来ないでくれ」
「あはは、照れちゃって面白ーい。じゃデートの前に一回寝るね。あちきも夢の住人だった期間が長い人だから、この偵察任務だけでお役御免でもう目覚める事が無いなんて事だと悲しいね。その時は頑張るんだよん、ニパ君」
「お、おいおい冗談だろ? こんな世界にほっぽり出されてローニャと比べて能力も大分怪しい俺だけ残されたんじゃ何も出来ないに等しいぞ」
「あ、頼りにしてくれてるんだ。ありがとね、でも主役はやっぱりニパ君だよん、そりゃ地球視点だとイバが一番だろうけどあーしにとっての守るべき、守ってもらうべき人はキ・ミ」
そこで頬を突かれた。ローニャの認識と私の認識がズレて居ない事を教えられる。二人とも夢に揺蕩う期間が長く、そしてそこから目覚めそんな中でお互いがお互いを必要としている、と言う事だ。
「じゃ膝借りるね~おやすみ」
言うなりローニャは可愛い寝息を立てて眠りに入ってしまった。見た目よりずっと頑張ってくれた、と言う事なのだろう。この先もまだまだ長いだろう、私も私で体をローニャに貸したまま、デートだと言っていた話し合いの時間まで小休止をすることにした。
頭の浮いてるのが消えてる まあ膝枕上無理な演出だろうしな...自力で消せる設定(ぉ




