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Un1BAss HeABo0on -20102-  作者: 篠崎彩人
Un1ty.20「老若天女」

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3/10

nAmBAr.10「一億の兄弟姉妹」

挿絵(By みてみん)

 私には一つ、一番手の生命を救う事になると言う究極命題の他のもっと小さな括りとして言える事が有った。20歳と言う峠を一番手は超えていると言う事実、裏を返せばこの彼が育ち到達した年齢が残した物のこちらの世界での在り処が私の最初の到達点と言う事になる。彼の20歳到達を象徴する様な、それを中心とする何らかを乗り越えてみせる事で更に生命救済への道のりが狭まるのだと言うその確信が有った。

 もっと言えば私が彼の脳のリンクと分け隔てられて誕生した年齢は彼の20歳より先の分岐で、である。何歳かは不明だが何処かで彼の命の死へのカウントダウンが始まり、じゃあどうするかとなった時の防衛機構としての二番手、私の覚醒への働き掛けがありそして私が蝉の幼虫期を抜けて誕生した。最初から喋れ、思考出来、喜怒哀楽を発揮し、そして何より、歩き走れてジャンプ出来るこの身体で。彼の救済に向けての条件が揃っているとは言える、果たしてそれが予定された様に上手く行くかどうかは置いておいて。彼の年齢と同期している、と言う前提では有るが私の予想では30歳は行っていないと思う。溌剌として、闊達自在な精神に感じる。まだ折れた事の無い新木の枝と言うか、瑞々しい感性が迸る様でいて異様な、世界に対し向かう所敵無しとでも言うべき若さに特有の圧倒的な高揚感が有る。この強引なまでのハイさが無いと道々萎縮してしまう位強烈な道のりが待っているにしても、私はもうそれでいいとさえ思う。彼と連なり世界を理解した在り様で異世界にて覚醒状態を齎され、この後何かの不幸で望まぬ死にこの身を浸す事になろうが何しようが、蝉の短き生を叫んだ、精一杯生の喜びを甘受出来たとそう勝ち鬨を上げこの世界に別れを告げる事が出来る。私の立ち位置すらもぎ取る事の出来ない三番手、四番手その他一億の兄弟姉妹達の事を思えばそれ以上を期待するのも罪とでも言うべき大層な御利益ごりやくだ。

 が、その満足感は危ういかも知れない、まだまだ生きて居たい彼にしてみればそんな物では全然足らず、「待ってくれ、それで私の進行の妨げとなる様な障壁を建造しないでくれ、助けてくれ、私と同化していた日々に少しでも情がまだ残って居るなら、手を貸してくれ、これからの日々を謳歌しようと言う私に全てを賭けてくれ」、そんな声が聞こえて来る様な気がしないでもない。二番手としての喜びの器は、地球の一員としての彼が持つ強欲の器と比べるにはいささかサイズ感も、そもそもの容量を満たす所の満足感と呼べる物も随分と質が違うのかも知れなかった。

更に大活躍蝉くん

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