【短編版】《殲滅の魔女》は虚弱体質【連載版始めました】
ーーーー魔境。
そこは人間が生きられないほど魔力濃度が高く、その魔力に侵された魔獣の住む土地。
高濃度魔力の土地で生まれた魔獣は普通の獣の何倍も大きく、その地に適応できない人間などひとたまりもなくなぶり殺しにする、はずだったのだが。
「……ぇぃっ」
小さな掛け声と共に出現した豪炎が、少女の目の前に迫る魔獣を焼き払った。
それと同時に少女の腰まである黒髪があまりに高い魔力濃度に反応して揺らめき、黒い瞳が赤く染まる。
「……ょぃしょっ」
舌っ足らずな声は酷く幼いのに、現れた暴風はカマイタチとなって自分よりも何倍も大きな魔獣を切り裂いた。
「……とぉっ」
一方的な殺戮を、それでも生き延びた魔獣へと、氷の刃が差し迫る。
ぴきぴき、ぱきん。
戦場には似つかわしくない澄んだ音をたてて、凍りついた魔獣が崩れ落ちた。
少女の発する魔力に引き寄せられて集まった魔獣を事も無げに一掃し、
「……かえり、ます」
通信魔導具に小さく小さくそう言った。
普通ならば大人の魔術師が5人がかりで相手をする大型魔獣を三体同時に相手取り、一切の攻撃を受けずに倒したとは思えないほどひ弱な声で。
『了解。魔石回収部隊を向かわせる。帰投せよ』
団長の言葉を聞いて少し身構えるが、今はとにかく帰りたい。
「《殲滅の魔女》キアラ・レンツァー魔導師へ、敬礼っ!」
すぐ後ろの転移陣には、今自分が倒した魔獣から魔石を採取する為の部隊が来ている。
「……っ」
魔獣は怖いと思わないのに、人間は怖い。
そんなキアラは仲間であるはずの部隊の人とすれ違うことすら怖くて、逃げるように早足で通り過ぎた。
キアラにとって、魔獣を倒すのは簡単だけれど、人間と関わり合うのはこれ以上なく難しいのだ。
尊敬、羨望、畏怖。
様々な感情を見せる支援部隊に背を向け、魔法兵団本部へと転移する。
「……ふぅ」
空間が揺らめくこの間だけは、少しばかり気を抜いていられる。
絶対に誰も入ってこられない、キアラだけの魔力空間だから。
そうして転移が終わり、次に顔を合わせた人物を見て、先程の部隊に会った時よりも更に逃げたくなった。
「ガハハハ! 今日も大手柄じゃあないか! 《殲滅の魔女》殿はさすがだなぁ!」
この金髪碧眼の無駄使いとも言われる、筋骨隆々男は魔法兵団の団長、アルベルト・グライナー。
キアラを魔境に連れていった張本人にして、今の彼女の直属の上司だ。
「いやはや、本当に素晴らしい戦果だな!
これでまだ16歳だと言うのだから驚きだ。既に俺より強いんじゃないか?」
裏表のないおおらかな性格で魔法兵団を束ねる団長は皆に慕われている。
「……」
でも、キアラはやっぱり人と話すのは苦手だからうまく言葉が出てこない。
グライナー団長は親しみを込めて近い距離で話をするから余計に怖い。
「大丈夫だって、そう避けるなよ! それよりな、ベルクフォル元帥閣下に呼ばれているんだ。
お前、今からヒマだよな?」
週に一度呼ばれる『仕事』が終わったから、早く帰ろうとしていたのに、まだ続きがあるらしい。
ベルクフォル元帥閣下と言えば、キアラが不本意ながらも所属している魔法兵団の更に上、軍部の最高司令官でこの国の王弟殿下だ。
キアラは昔から虚弱体質な上、最近では毎日薬を使わないと身体が維持できない。
その薬代を稼ぐ為にも、仕方なく軍に所属しているが、そんな自分の特性を知った上で利用してくるベルクフォル元帥がキアラは苦手だ。
「……。」
「じゃ、行くぞ〜」
キアラの無言の抗議なんて気にもとめずに歩き出されたので、仕方なくついていく。
グライナー団長はベルクフォル元帥が怖くないのだろうか。
キアラは人と関わることが怖いけれど、それ以上にベルクフォル元帥が怖い。
理由は分からないけれど、何となく怖いのだ。あのアイスブルーの瞳に、自分の何か深いところまで見透かされているような心地がするから。
「ベルクフォル元帥閣下、キアラ・レンツァー魔導師をお連れしました」
「入れ」
低くいかめしい返事を聞いてから、グライナー団長が静かに部屋に入る。
嫌々ながらもここまで来てしまったからには仕方がないので部屋に入ると、キアラの苦手なアイスブルーの視線が突き刺さってくるような気がした。
「キアラ・レンツァー魔法伯、任務ご苦労。
《殲滅の魔女》の名に恥じぬ働き、流石は我がガレス王国の魔導六師にふさわしい」
「……」
こくり、と頷いただけだがキアラにとっては精一杯の返事だ。
そもそもキアラは生まれつき強大な魔力を持っていて、その魔力に押しつぶされそうになっていた。
それを助けてくれた錬金術師の師匠には感謝しているけれど、自分の魔力を利用しようとしてくる元帥閣下は苦手だ。
魔導六師の地位も、《殲滅の魔女》の称号も、キアラが望んだものじゃないし、レンツァー魔導師、なんて呼ばれても、誰それ?といった感じしかしない。
キアラはただ、誰の迷惑にもならずに静かに生きていたいだけなのだ。
なのに、ベルクフォル元帥はキアラに色々な肩書きと地位を付けて、話を断れなくしてくる。
今回もきっとそうだ。開口一番自分を褒めるなんて、絶対に裏がある。
キアラの人間不信は筋金入りだけれど、それすらも上回るほどの人物なのだ、元帥閣下という人は。
「なに、そう身構えるほどの話ではない。レンツァー魔導師にとっては些細な任務だ。
魔法学園に通う第3王子を秘密裏に護衛をするように。
護衛していることが本人に気づかれないよう、また周りの生徒にも魔導六師《殲滅の魔女》だと悟られ無いように動きなさい」
「……ぇっ」
言葉に出すことが苦手なキアラでも、流石に抗議したくなる内容だ。
そもそも自分は学園生活から一番縁遠い性格だと自負している。
その上、やったこともない護衛任務、しかも誰にも分からないように極秘で、だって?
そんなのいくらなんでも無理に決まってる。
キアラは心の中ではそう思うのに、口からは言葉が出てこない。
「……ぁの、……ぃゃ……」
「急な極秘任務で戸惑うかもしれぬが、貴殿とて軍人。準備はグライナー団長以下貴殿の部下にも申し伝えておるゆえ、心配はいらぬ。
来週から新入生として入学出来るよう手配させたので、準備を間に合わせるように。
以上だ」
「……ぇっ」
いっそ不気味なほどにこやかな、珍しすぎる元帥閣下の微笑みに恐怖しか感じない。
子供が3人も居るとは思えないほど若々しく整った顔面は、キアラじゃない誰か他の人に使ってあげてください、と言いたい。言えないけど。
「失礼致します」
頼みの綱のグライナー団長が退室していくので、慌ててついていくしかない。
こんな時でも何も言えず、断れない自分が嫌になる。
実際の所、軍の研究所に所属して基礎材料や設備を使わせてもらっている上、魔境での戦闘任務の報酬も貰っているキアラは立派に軍人扱いだ。
たとえ16歳の少女だとしても。
そんな彼女は軍の頂点である元帥閣下の命令には背けない。
「……ぅぅっ」
出来ることと言えば、頭を抱えてうずくまることくらいか。
「キアラ、元気がねぇな! 仕方ねぇ、俺が連れて帰ってやるよ!」
キアラの出来る精一杯の抗議もグライナー団長の前では効果がなく、軽々と抱えあげられて魔法兵団の本部へと連れ帰られるだけだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「うわぁああん、アシェ〜! どうしよう〜!」
軍本部のベルクフォル元帥の所からほうほうの体で逃げ帰ってきたキアラ。
兵団本部へは行かずにその隣、錬金術師の塔にある自室に帰ってきてようやく、声を出せたのだ。
「ん、きあら。次は、どこいくの?」
人間相手にはろくに話せないキアラだが、今この部屋にいるのは人間ではない。精霊だ。
アシェの会話はキアラ並に下手くそだけれど、見た目だけは綺麗なお姉さんといった感じで、水の精霊らしく水色の髪をしている。
年の割に身体が小さいことを気にしているキアラは、アシェの身体がちょっとだけ羨ましい。
どこがとは言わないけれど、ちゃんと発育しているのが特に。
そもそもアシェは、キアラから漏れ出す魔力に惹かれて集まった低級精霊が、キアラのためだけに形作った存在だ。
まだ産まれたての精霊だけれど、話し相手としてはこれ以上の存在はない、と思っている。
それに、調薬の手伝いもしてくれるし。
「分からないよぉ。元帥閣下は魔法学園に行って、極秘で護衛任務をしろって言うんだけど、そんなの、無理だって!」
「きあら、つよい。だから、大丈夫!」
「いいねぇ、アシェは。自信があって。
強いだけじゃ、他の人と仲良くすることなんて出来ないんだよ?」
むしろ、強すぎれば仲間に入れてもらえなくなる。それは今までの経験から嫌という程知っていた。
成長と共に増え続ける魔力を制御しきれず、意図せず傷つけてしまった時の嫌な記憶が甦る。
自分に突き刺さる恐怖の視線や、あからさまに避けられる辛さも。
「でも、アシェ、よわい。きあらは、つよい。
ありがと」
そう言って、キアラよりも大きな手のひらを差し出す。
「魔力ね、はい、どうぞ」
「わーい、ありがと」
見た目は大人なのに、アシェにとっての食事であるキアラの魔力を貰った姿は、完全に子どものよう。
それを見ていると、昔むかし、まだ魔力が溢れ始める前のことを思い出す。
キアラには両親が居ないけれど、代わりにおばあちゃんが育ててくれた。
身体の弱いキアラを必死に看病してくれて、ここまで育ててくれた薬師のおばあちゃん。
自分にとって、おばあちゃんとの記憶はとても暖かくて大切なものだ。
特に、おばあちゃんが亡くなった後の、村での扱いが酷かったから。
おばあちゃんが亡くなってからしばらくは皆が大事にしてくれた。
でも、その頃からキアラの魔力が多くなりすぎて制御出来なくなり、村の人々を巻き込みはじめたのだ。
攻撃しようなんてこれっぽっちも思っていないのに、キアラを助けようと差し出された手を魔法で傷つけてしまう。
「痛いっ!! キアラ、なんでこんなことするのよ!」
今でも鮮明によみがえる記憶。
優しい隣家のお姉ちゃんが、自分にそう叫び、鋭い視線を向けてきたこと。
人に近づいたら、きっと自分が傷つけてしまう。
そうしたら、キアラに憎悪の目を向けてくるのだ。
だから、誰とも会いたくない。話したくない、近づきたくない。
そうすれば、自分も、相手も、傷つかずに居られるから。
「きあら、どしたの?」
「……大丈夫。ちょっと、昔のことを思い出しただけ」
心配そうにアシェが見つめてくれているのが嬉しい。魔法の効かない精霊だから、自分と一緒に居られるんだ。
それから、師匠に拾って貰った。
軍属の錬金術師だけれど放浪癖のある師匠は、貴重な素材や人材を見つける役目があるらしく、キアラのことも軍で預かるようにしてくれた。
それだけじゃなく、日に日に増える魔力に押しつぶされそうだったキアラに薬を与えて調薬を教え、自分の身体を維持出来るようにしてくれたんだ。
「きあら、くすり、いる?」
「うん、欲しい。そろそろ点滴しないと」
毎日朝と夜に点滴を打ち、朝昼夜の3回薬を飲まないといけない不自由な身体でも、キアラが生きられているのは師匠のおかげだ。
同じ薬師でもおばあちゃんとは全然違う気味の悪い男だけれど、師匠のことは信頼している。
『アヒャヒャヒャ、お前の身体は面白いね。際限なく魔力があるくせに、そのせいで身体が張り裂けそうだなんて!
いいかい、調薬をきちんと覚えなさい。そして、欠かさずに薬を使うこと。
じゃなかったら、お前は自分の魔力に食い破られて死んでしまうよ!』
ヒョロガリの身体と白衣を揺らして、特徴的な笑い方をする姿を思い出しながら、自分に点滴を打つ。
この点滴薬自体はキアラが調合しているけれど、素材や設備は軍のものだ。
ちなみにこの部屋は師匠のものだけれど、どうせ1年のうち八割方は旅に出て居ないから、キアラは勝手に自分の部屋だと思っている。
つまるところ、キアラは軍の援助なしには生きられない。
いくら任務が嫌だと思っても、体力のない身体では薬の素材を自分で集められないのだから、要求を飲むしかないのだ。
「……それが分かっているから、ベルクフォル元帥も無茶を言うんだろうなぁ」
「きあらは、げんすいのこと、嫌いだねぇ」
気楽に微笑むアシェの綺麗すぎる顔に、今だけちょっと苛立った。
人間のこと、分からないくせに、って。
人間のことが分からないからこそ、勝手に愚痴っている自分のことは棚に上げて。
任務が嫌だと駄々をこねていても、あっという間に始業式の日になってしまった。
「アシェ〜、どうしよう〜」
用意された荷物を持って、朝から指定の制服に着替えて。それだけしても、やっぱりぐだぐだ言いたくなるのが、キアラの性分なのだ。
「きあらのふく、きれいだよ? きあらは、好きじゃない?」
「まあ、綺麗だとは思うよ」
キアラが日頃来ているのは、着古したローブだ。
お調子者の師匠が、『アヒャヒャヒャ、やっぱり魔女にはローブですよねぇ〜!』と与えたものをずっと着ている。
でも、この制服は同じローブでも全然違った。
そもそもこの国では『魔法がよくできる奴が偉い』という風潮が強いため、王立魔法学園は最難関クラスの学校だ。
平民でも魔力が強ければ入れるが、魔力が強いと貴族と結婚することが多いため、遺伝的に貴族が圧倒的に多い。
だから、魔法学園の制服はとてもおしゃれなのだ。
いつものローブとあまり変わらないように見えるのに、赤いラインが入っているだけで、こうも綺麗に見えるものかと関心する。
きっと、裁断とかも全然違うんだろう。
「あのね、アシェ。私はしばらく帰ってこないけど、大丈夫?」
「えっと、ごえい、にんむ?」
「そうそう。覚えててくれたんだ。いつ帰ってこれるか分からなくて。帰れるのは多くても週に1回で、下手したら半年くらいかかるかも」
「えっ、きあら、薬は? なくなるよ?」
「調薬は学校の設備を使わせて貰えるから大丈夫。
でも、私は平民として入学するから、使用人を連れて行けないんだって。だから、アシェは一緒に行けないの」
「半年? 長いねぇ。……ニンゲンじゃなかったら、いっしょに、いられる?」
「人間じゃない、って?」
「えっとね、えっとね……っ、とうっ!!」
綺麗な大人のお姉さんが、宙返りとともに蝶の姿に変わった。
「わっ!すごいよ、アシェ。こんなことも出来るんだ」
「きあらが、つよいからだよ。できるように、なったの」
手のひらよりも大きな蝶で、輝くような透明感のある水色がとても綺麗。
もちろん普通よりは大きいけれど、使い魔だと言えば誤魔化せる範囲だと思う。
何より、多くの人の中で過ごさないといけないのなら、アシェが付いてきてくれることは心強い。
魔女らしい黒の三角帽子を被ると、そのリボンの所にアシェがぴとりと乗ってくれる。
ひとりきりじゃない、そう思えるだけで、キアラの心はほんの少しだけ軽くなった。
嫌だ嫌だと言い続けても仕方がない。
命令された任務である以上、逃げられないのだから、出来るだけ波風立てずにやり過ごそう。
そんな後ろ向きな決意を固めつつ、ようやく学園へ向かって歩き出した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「……ぅぇぇ、どうしょぅ……」
キアラは早速迷子になっていた。
というか、人が多い所を避けて歩いているうちに、どこへ行くのか分からなくなってしまったのだ。
「おい、君! 新入生だろう、講堂はこっちだ」
「……はぃぃっ」
短い赤髪に青色の瞳は気が強そうに吊りあがっているし、とてもガタイが良くて筋肉ムキムキだ。団長みたい。
怖そうな人だけれど、きっと上級生だろうから、大人しく従おう。
キアラは人との関わりが苦手だけれど、トラブルを起こすつもりは毛頭ないのだから。
それでもこの人に手間をかけさせてしまったことが申し訳ないし、嫌なことを言われたらどうしよう、と思うから、なるべく距離を開けて歩く。
「ああ、すまん。歩くのが速かったか」
「……」
キアラが近づきたくないから離れていただけだが、そんなことは知らない相手は歩幅が小さくて追いつけないと思ったのだ。
手間をかけている上に歩くのが遅いなんて、益々申し訳なくなるけれど、何と言っていいのか分からなくて困る。
結局は何も言えなかったのだけれど、少し眉を上げただけでそのまままた歩き出して、入学式の会場まで連れて行ってくれた。
「ここが集合場所だ。列はどこだろうか……名前は?」
連れてきてくれただけでなく、列の場所まで探そうとしてくれる。
「……ぃぁら……」
でもキアラは自分の名前すら満足に言えなくて。
「えっ? 何と言った?」
聞き返す言葉と共にずい、と身体を寄せられて反射的に逃げてしまう。
「あぁ、悪い。だが、そこまで怯えなくても……。名札はあるか?」
人に近づかれるのが怖いキアラが逃げただけなのに、この人が謝るなんて。
本当に申し訳なくなってきた。どうしよう。
「キアラ、か。平民なのに王立魔法学園に入れるなんて、優秀じゃないか。列はこっちだな」
名前で振り分けられているらしく、そこまでキアラを案内してくれた。
「よし、ここだ。じゃあな、頑張れよ」
青色のツリ目はキツい印象があったけれど、とっても優しい人だった。
「……ぁ、ああ」
ありがとうございました、ってお礼を言いたいのに、うまく言葉にならなくて。
不審そうな視線を感じていたたまれなくなって、大きく頭を下げた。
お礼の気持ちはきっと伝わるし、視線からも逃げられるから。
次に頭を上げた時にはもうその人は居なかった。
きっとキアラのような人の相手で忙しいのだろう。
でも、この学園で初めて会った人が怖い人じゃなかった。
それだけでキアラは少しだけ嬉しい気持ちになれたんだ。
式典、というのは大体つまらないものだとキアラは思う。
魔導六師のお仕事で、討伐凱旋パレードや新年祭に呼ばれることもあるが、偉い人の言う事は聞くのがめんどくさくなる魔法がかかってる。
入学式もそうだったので、ろくに聞いていなかったのだけれど、偉い人が3人くらい話した後で出てきた人の顔は、ちょっと頑張って覚えようとした。
「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
生徒会長のルーレスト・フォン・ガレスです。
今日から仲間が増えることを、心から楽しみにしていました。
3年間よく学び、よく鍛え、より強い魔法使いとなれるよう、共に切磋琢磨して高めあっていきましょう。
ようこそ、魔法学園へ!」
短く簡潔な挨拶をしたのがキアラの護衛対象、第三王子のルーカス・フォン・ガレスだ。
2年生だと聞いていたが、3年生ではなく彼が生徒会長とは、周りに気を使われているのか、もしくは彼自身に人望があるのか。
まぁ両方かな、なんて適当な推測をするキアラだった。
でも、王族だということを抜きにしても華のある人だと思う。
金髪碧眼で完璧な王子様の雰囲気を放っているのは、どこぞの金髪碧眼無駄使い団長とはえらい違いだ。
年の割に小柄なのでキアラは少しだけ親近感が湧いたし、怖くて怖くて護衛対象を見ることも出来ない、とまではならなさそうで何より。
先程の挨拶で入学式は終わりで、次の場所に移動するらしい。
その間も人ごみの中なので緊張しているキアラに、
「ねぇ、あなたも平民出身なのよね? 今からクラス分けの試験って、すごく緊張しない?」
「……ぅ……ぁあぅ……」
隣の女の子が、話しかけてくる。
嬉しい、と素直に思うのに、それよりも大きな気持ちは『嫌われるのが怖い』だ。
「そんなに緊張しなくても、私も平民出身で、カリナっていうの。
今年の新入生には3人しか平民の子がいないんですって。もう一人は男の子だから、女子は私たちだけなのよ。
だから、仲良くして欲しいの!」
「……ぅぅ」
「話かけられるのは苦手なの? 私も苦手だったけど、この学園はお貴族様ばっかりだから、練習した方がいいと思うわよ」
こくり。
そんなこと、キアラも分かってるけど、簡単にできたら苦労はしてない。
でも、キアラが魔力を暴走させてしまうことを知らないからだとしても、話しかけてくれた事は嬉しかったから、精一杯の返事として深く頷く。
「あなた、そんなので詠唱できるの?」
カリナの言っている内容はずけずけとしているけれど、口調と表情は心底キアラを心配しているものだ。
「……ぇぃしょぅ?」
「そんなまさか、魔法学園に入学するのに詠唱を知らないって、そんなことある? 筆記試験はどうしたのよ。
それに、これから魔法の実地試験よ。あなた、どうやって受けるの?」
そもそもキアラは入学試験なんて受けていない。
まともに受けていたら多分合格出来なかったのだろうな、と何となく思う。
だって、カリナの言う事が正しいなら、キアラは何も知らないのだから。
どう返事をしようかキアラが困っている間に、移動が始まったらしい。
前の人から順に進むから、心配そうにしてくれるカリナと一緒に付いていった。
行った先は大きな広場で、列を崩して前に寄せられ、先生の話を聞く。
村の初等学校を途中で離れて以来、学校から遠ざかっていたキアラにとって、久しぶりの事だった。
「これから入学時試験を実施します。魔力量測定と実技試験で、この結果でクラス分けを行いますので、良い成果を出すよう、期待しています」
前に出て話し始めたのは銀縁メガネと引っ詰め髪の、見るからに厳しそうな女教師だ。
「魔力量測定は、こちらの専用魔導具に手を置きなさい。下手に魔力を流そうとはしないこと。
次に実技試験は、各々得意な魔法を行使しなさい。的に当てられたらなお良いですが、得手不得手があるでしょうから他に必要なものがある時は申告するように。質問は?
ーーーーでは、始めます」
簡潔明瞭な説明ですぐに始まった試験内容に、キアラは大焦りしていた。
数年前、団長に魔力量測定をされた時、キアラから漏れ出す魔力でうっかり魔導具を壊してしまったので。
お調子者の師匠も流石に固まっていたし、国に数台しかない魔導具を壊した、と言われたキアラはとても怖かったのだ。
貴重なものを壊したら怒られるし怖がられる、と。
幸いにも団長は『普通に使っていて壊れるような弱い魔導具が悪い』と言って怒らないでいてくれたが、今壊すのはとてもマズい。
キアラは目立たず騒がず、平穏無事な学園生活を送りたいのだ。
そうしないと、極秘任務にも支障が出る。
キアラが悩んでオロオロしている間にどんどん列が出来ていって、結局1番最後になってしまった。
でも、これはこれで悪くないのでは、とキアラは思う。
他の人のやり方を見て、考える時間があるんじゃないだろうか。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
とにかく今1番大きな問題は魔力測定機を壊さないようにすることだ。
(どうしよう〜。アシェと話が出来たら、「全力で魔力を食べて!」って頼むのに……)
(きあら、どしたの?)
(えっ!?)
アシェとは普段、普通に話をしているし、念話で伝わるとかいうミラクルは起こっていないはずだ。
(今、きあらと、あしぇ、とっても近い。ちょっとだけ、おはなしできる)
なるほど。
キアラの帽子に止まっているアシェとは、人間の姿では不可能なほど近くに居る。
その効果が出ているということだ。
(あのね、アシェ。あそこに魔法の石があるでしょ? あれに私が近づいたら、めいっぱい魔力を吸って欲しいの。
そうしないと、漏れ出す魔力で壊しちゃうから)
(ん〜? きあらの魔力、ぜんぶ、あしぇのもの。いつでも、ずっと)
キアラは知らなかったが、アシェが精霊の姿を持って契約してから、ずっとアシェはキアラの魔力を吸い続けている。
アシェが近くに居れば、魔力が漏れ出すことはあまり無い。
(じゃあ、大丈夫なのかな。
でも、あんまり長く触っていて、ちゃんと計測されたらそれはそれで困るよね。一瞬触るか触らないか、くらいにすることにしよう)
アシェとの話が終わってキアラが一安心した頃、一人目の試験が始まった。
「コンラート・エルデ、魔力量78。実技に移りなさい」
女教師にそう言われた少年は、的の前まで進み出て長い長い呪文を唱えてから、炎の球を生み出した。
『弾けろ、炎っ!』
「おお〜っ」
生徒たちから歓声が上がったので、きっとあれは凄いことなのだろう。
でもキアラにとってはまた難しい問題が出されたも同然だった。
(えっ、あんなに小さい魔法にしなきゃいけないの!?)
そもそもキアラは魔法の練習なんてした事がない。
「えいっ」と言えば勝手に出るものだし、言わなくとも勝手に出てしまうこともあるくらいだ。
それを魔境で乱れ打ちするだけなので、威力をコントロールしようとしたことがない。
どれほど威力を絞ればあの大きさの火の玉になるか、分からなかった。
それに加えて、師匠の言葉を思い出す。
『アヒャヒャヒャ、お前の魔法は本当に大きいねぇ。普通、魔境では、魔法の威力は3分の1ほどになる。
逆に言えば、お前が王国内で魔法を使えば、魔境の3倍の威力が出るんだ。
自分の魔法で死にたくなけりゃ、きちんと覚えておくんだな』
ヒョロガリ白衣がウネウネ動く気味の悪い姿もついでに思い出してしまったが、アドバイス自体は役に立つ。
いつもの3分の1の魔力でいつもと同じ。
それよりももっと小さくしようと思ったら……。
(もうこれ以上出来ないくらいに小さい魔法にしよう)
キアラはそう心に固く誓う。
成績が悪いのは別にいい。
ただ、自分の魔法で周りを傷つけてしまうことだけが怖かった。
「次!」
色々と考えている間に、もうキアラの番が来てしまった。最初の少年以外ろくに見れていないが、もうやるしかない。
「魔力測定を」
女教師に言われて魔導具に手をかざす。
(触らないように、ほんのちょっと、ちょっとだけ……)
意識したおかげで、手のひらが魔石を掠めるくらいに出来た。
「キアラ、魔力量75。実技に移りなさい」
魔力量75。
最初の少年よりは低いし、何より魔導具を壊さなかった。
よし、OK。と自分に甘めの判定を出しつつ実技の的の方へ行く。
キアラは知らないが、魔力量70と言えば軍属魔法使いの合格基準だ。
まだ15歳で、これからの3年間でまだまだ伸びる余地のある子どもの値としては破格。
コンラート・エルデは天才と名高いのに、それに匹敵する魔力量を見せつけたことになる。
「……ぇぃ」
そうっとそうっと、ほんの少しの魔力だけで魔法を使う。
今まで一度もやったことのない小細工をした魔法は。
ぽすっ
気の抜けた音をたてて少し煙が上がっただけだった。
「受験者キアラ、無理に短縮詠唱にしなくても良い。魔法を行使するように」
教師の厳しい言葉に焦る。
というか、これで判定してくれても良かったくらいなのだが、失敗したと見てリトライさせられるらしい。
「……とぉっ」
ぼふっ
さっきよりは多めの魔力を込めたつもりだが、それも失敗してしまう。
火の玉を出したいのに、出たのはやっぱり煙だけ。
教師の厳しい視線はそらされないので、まだ続けさせたいようだ。
(ええい、もう仕方ない。いつも通りやろう。
アシェ、もしも他の人に被害が行きそうなら、全部魔力を吸ってね!)
(うんっ!)
他の人の前で普通に魔法を使うなんて、一人では怖くて怖くてとてもじゃないが出来ない。
でも、暴発した魔力をアシェが吸ってくれるなら、キアラは魔法が使えると思う。
「……ょぃしょっ!」
いつも通りに使った魔法は、魔境よりも大きくなるはずなのに、むしろ小さくなった。
威力としては半分くらいで、一人目のコンラート・エルデよりは少し小さい。
「ええっ!?」
エルデの時は皆が期待して見ていたから歓声が上がったが、さっきから何度も失敗しているキアラがこんなに大きな魔法を使えるとは誰も思っていなかったから、上がったのは驚きの声だった。
(……よしっ!)
でも、キアラは他人からどう見えるかを気にする余裕なんてない。
誰にも怪我をさせず、恐怖の目で見られていない。悲鳴が上がらなかった。
それだけでおっけー!と、またまた自分に甘めの判定を付けた。
だが、現実はそこまで甘くない。
「ねぇ、キアラちゃん! あなた凄いじゃないの。詠唱をしないって、短縮詠唱が使えるって事だったのね!」
「……ぅぅ」
試験が終わったので先程の講堂に戻る途中、早速カリナに声をかけられた。
「キアラちゃんなら、学年一位を狙えると思うわよ。一緒に頑張りましょうね!」
何だか知らないが、仲間意識を持たれているようだ。
でも、キアラはどう返事をしていいか分からず黙り込んでしまう。
「おい、お前! どこの中等科の出身だ!」
いきなり真後ろから怒鳴りつけられて、怖くなったキアラは咄嗟にしゃがみこんでしまった。
「あのねぇ、エルデ君? あんたと違ってキアラちゃんは繊細なのよ? 女の子に怒鳴るなんて、どんな教育を受けてきたのかしら」
何も出来ないキアラの代わりに隣のカリナが返事をしてくれる。
というか、どうも二人は知り合いみたいだ。
「ふん、平民風情には分からんだろうな。だが、主要な学園の中等科にも、魔法塾にも居なかったのにその成績だ。どこの出身者か、気になるだろう」
カリナと二人で話しているので恐る恐るキアラは顔を上げた。エルデ、と呼ばれたのはキアラが試験の参考にした一人目の少年だった。
「何とか言えよ」
キアラに突き刺さる視線は、よく言えば向上心に溢れた、悪く言えばプライドが高そうなもの。
(ああ、そういうこと)
キアラはその視線に覚えがあった。
軍に入ってすぐの頃、小さな身体のくせに魔境で活躍するのが気に食わない連中のなかで、特に負けん気の強い人から浴びせられたのと同じものだ。
キアラが魔導六師の座と《殲滅の魔女》の称号をもらう頃には突っかかってこなくなったが、それまでは面倒だった記憶がある。
そして、キアラができる唯一の対応方法は。
(逃げるが勝ちっ!)
尚も喧嘩を続けるカリナとエルデ君を放置して、すさささっと足を速める。
庇ってくれたカリナにお礼も言えないのが申し訳ないが、キアラには対応しきれない。
「おいっ!」
少年の声を背中に受けながら講堂へ向かうしかなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
喧嘩をしている二人から逃げて早足で講堂の入り口付近に着いたものの、キアラは中へは入らずに手前の所で待っていた。
なぜならば、
(カリナちゃんに、お礼を、言いたい……っ)
そう思ったから。
キアラは10歳の時魔力暴走が抑えられなくなって生まれ育った村を離れたが、それまでは普通の子どもだった。
おばあちゃんは優しくも厳しい人だったので、お行儀のことをきちんと教えられた。
そんなキアラの常識に照らせば、カリナにはお礼を言いたいのだ。
(あっ、カリナちゃん、一人だ……)
キアラは結構目がいいので、遠くの人混みの中に居るカリナも見つけられる。
まだエルデと言い争っていたらどうしようかと思っていたが、彼女は一人だった。
「…………ぁあ、ぁぁあ」
ありがとう、その一言が言いたいだけなのに、上手く言葉が出てこない。
「あら、キアラちゃん。どうしたの? エルデなら気にしなくって良いわよ。
あいつ、プライド高いからキアラちゃんのことを気にしてるだけで、相手にする必要なんてないわ」
キアラがまごまごしている間に、カリナが話し始めてしまったから、完全に機会を見失ってしまった。
(……ぁあ、また言えなかった)
カリナはキアラを怖がっていないし、嫌ってもいない。少なくとも今のところは。
なのにお礼ひとつ言えないなんて、自分はなんて駄目人間なんだろうか。
「キアラちゃん、どうしたの? 行きましょ」
ほぼ席が埋まった講堂でも、カリナはちゃんと自分と隣同士の席を見つけてくれて、キアラにとってそれがとてもとても嬉しかった。
師匠に連れられて村を出て以来、久しぶりにこんなに優しくしてもらって、やっぱりちゃんとお礼を言わなくては。
「……ぁあ、あ」
「静粛に。入学時試験の結果発表と、クラス分けを行います」
キアラなりに精一杯勇気を振り絞って声を出したけれど、それは教師の言葉で遮られてしまった。
(……失敗した、失敗した、失敗したっ!)
先生に怒られたし、カリナには変な子だと思われたかもしれない。どうしよう。
「では、まずは結果発表です。呼ばれた者は前に出るように。一位、コンラート・エルデ」
「はいっ!」
(うぇえっ、あの人一位なのか!)
なんでキアラに突っかかって来るんだ、と思っていたけれど、ちゃんと実力はある人だったのか。
しかも、学年一位に相応しく、前に進み出る足取りも自信に満ちていて、魔導六師の仕事で新年祭に出る時のキアラとは全然違った。
「二位、キアラ」
(……ん?)
最初は聞き間違いかと思った。
キアラとしては、目立たず騒ぎにならず、平凡に試験を終えられたと思っていたが、どうも違うらしい。
「キアラッ!」
教師が苛立ったような声音でもう一度キアラを呼んだので、慌てて立ち上がろうとする。
ガタガタッ
びたんっ
焦ったせいで椅子に足を引っ掛けてしまい、大きな音と共に転んでしまった。
(わあぁああ、どうしよう〜!!)
痛いし恥ずかしいし、注目されちゃってるから起き上がるのも恥ずかしい。
もうこのまま一生うずくまっていたい。
みんなの視線が自分に突き刺さるような気がして、膝を強くぶつけた痛みなんて感じないくらいに恥ずかしい。
「キアラちゃん、大丈夫?」
そんなキアラに、カリナは声を掛けてくれた。
「そんなに急がなくても大丈夫よ」
優しくそう言って、手を差し出してくれる。
その動きは、昔むかし、キアラの対人関係トラウマの元になってしまった隣家のお姉ちゃんによく似ていた。
転んだキアラに差し出される優しい手のひら。
それが嬉しかったのに、魔力が暴走していたキアラは炎を浴びせてしまったのだ。
『痛いっ! キアラ、何するのよ!』
まだ、お姉ちゃんの声が耳の奥底でこだまするかのよう。
だけれど。
今のキアラは、あの頃とは違う。
魔力暴走はほとんど起こらなくなったし、今日一日誰にも怪我をさせなかった。
キアラは、この手を取ってもいいだろうか。
せっかく仲良くしてくれているカリナを、傷つけてしまわないだろうか。
キアラは怖かった。
他人に近づくことが。
自分のせいで、誰かを傷つけることが。
傷つけてしまった相手に、拒絶されることが。
でも。
やっぱり、キアラは誰かと一緒に居たい。
カリナが差し出してくれているこの手のひらが、キアラにとってこれ以上ないほど嬉しいから。
そっと、カリナの手のひらに、自分の手を重ねた。
きゅ、と握られたその手を、床にへたりこんだキアラを起こすように引っ張ってくれる。
「……ぁあ、ありがとうっ」
その言葉は、カリナの目を見て言えなかった。
どんな視線が自分に向けられているのか、確かめるのが怖くて。
「ええ、どういたしまして」
でもカリナはそう優しく返してくれたから、弾かれたように彼女の顔を見た。
その表情は確かに優しく微笑んでいて、仕方ないなぁ、と言わんばかり。
村にいた頃の恐怖、拒絶の視線。
軍の中での畏怖、羨望、尊敬の眼差し。
そのどれとも違う、キアラ自身のことを対等に見てくれているカリナの瞳が、本当に本当に嬉しかった。
「ほら、行っておいで」
カリナがそっと背中を押してくれて、さっきまでの緊張が嘘のように、すっと一歩を踏み出せた。
他人の視線を浴びるのは怖い。
でも、自分の魔力を持て余していた10歳の頃と比べたら、キアラは確かに成長している。
それを実感できたのは、きっとカリナのおかげだと思う。
(……お礼、ちゃんと、言えた)
舞台の上にあがって、二位の証であるピンバッジをもらったことよりも、カリナにお礼を言えたことの方が何倍もうれしい。
こんなに多くの人の視線に晒されたら、いつもなら縮こまってしまう。
けれど、今日だけは胸を張って立っていられる。
助けてくれた人にお礼を言えた、たったそれだけのことはほとんどの人にとっては何ら難しいことでは無い。
でもキアラにとっては、魔境で何十体もの魔獣を倒すよりも、ずっと価値のある成果だった。
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《殲滅の魔女》は虚弱体質
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