第9話 追放は歓迎
一方、肝心のシシラはシュバリアと合流していた。
「シシラ、君は……」
「シュバリア様、ご安心ください。今日ここで学園長とアビスを暴きます。シュバリア様にご迷惑をかけないをかけたくありませんから」
「まさか、俺の立場を守るためにこの魔法を?」
「私が追放されるのは歓迎できますが、私を庇ってシュバリア様まで道連れにするわけにはいきません」
シシラは自分が悪く言われたり追放される分には問題ないと思っている。しかし、シュバリアまで巻き込むのは望んでいない。だからこそ、今日の午前中に起こったことを魔法の映像として映したのだ。シュバリアの抗議の声どころではなくなるように。
「追放されるのは歓迎だって? 君はそこまで……それなら……」
「シュバリア様?」
(光魔法が希少で優れていることは分かっているが、このようなことまで……学園で力を見せずに遊んでいるアビスとは大違いだ。そして、シシラは学園どころかこの国に愛想を尽かしている……)
シュバリアはシシラの『追放は歓迎』という言葉を聞いて考え込む。シシラとよく話しているため彼女が不遇な扱いを受けていることは分かっていた。だからこそ、彼女が本気で家や祖国に未練がなければ……シュバリアはとある提案を持ちかけるつもりだった。そして、今がその時だ。
「シシラ、この件が終わった後でいいんだ」
「え?」
「もし君が本気で家や祖国に未練がなければ……」
「「「シシラ・アリゲイタ!」」」
シュバリアが大事なことを伝えようとしたところで、三人の教師が迫りくる。彼らは学園長と懇意にしている教師、つまり取り巻きのような立場にいる者たちだ。様子からして目的はシシラの妨害だと分かる。
「シシラ、下がっていてくれ。妨害はさせん」
「シュバリア様……」
「せめてこの場で君を守るだけのことはさせてくれ」
シュバリアはシシラの盾になるかのように彼女の前に出る。彼の後ろ姿を見てシシラは思い出す。留学生の魔術師シュバリアは魔法も剣も長けていた。すでに一般の騎士よりも強いと言われている。だからこそ、シシラを邪魔するものがいても追い払えることができるという自信があるのだろう。
(私を守ろうとしてくれるのは嬉しい。だけど、あの人達にも真実を語ってもらわないと)
「【ライトトーク】」
「「「っ!!??」」」
シシラは三人の教師たちに向けて光魔法を放った。驚く三人は何をされたのかと思ったが特に痛くも痒くもなければ状態異常を感じなかったため、ただの目くらましだと思ってシシラに向かって怒声を浴びせた。
「シシラ・アリゲイタ、お前なんてことをしてくれたんだ! あんな『本当のこと』をバラしてしまうなんて!」
「あの『我儘な聖女』の無理難題をこなしてきたくせに今になって逆らうというのか!」
「『学園長の本性』まで暴きおって、妹と両親の要求してきたことを………あれ?」
三人の教師たちはとんでもない発言をしてしまった。彼らは映像のことを肯定するような発言をしてしまったのだ。しかも、聖女の性格が悪いような発言までしていた。大きな声で発言してしまったこともあり、近くにいた生徒たちが耳にして彼らに注目する。




