第8話 疑惑の目
『貴様の両親の公爵夫妻も容認していることだろう! 親の意向すら無視するというのか!?』
『そう言われましても……』
『妹君、聖女アビスの分まで課題をなし、試験結果も貴様が完璧に仕上げる! それが私と貴様の両親で決めたこと! もう忘れたとは本当に無能だな!』
「「「「「なんだってーッッ!!??」」」」」
多くの生徒が何度でも驚かされることになる。
殆どの生徒と教師が学園長と聖女アビスに目線を移した。その目は疑惑に満ちて、中には怒りを顔に見せる者もいるしまつ。すでに映像が事実だと確信している考え方をしているものも多い。
「そういえば聖女アビスが勉強しているところなんて見たことがないな。いつも王太子殿下と一緒にいるけど」
「それって殿下と浮気してたってことなんじゃ……姉の婚約者だからって思ってたけど、浮気なの?」
「そもそもパワハラで有名な学園長らしい映像だったし、事実なんじゃないか? 公爵夫妻も豪遊してるって有名だから性格悪そうだし」
「聖女の仕事で忙しいって言う割には遊んでばかりいる印象があるし、勉強なんかしてないんじゃないの? 成績がいいのって嘘なんじゃ……」
疑惑の目を向けられる学園長とアビスは慌てふためいていた。どう対応すればいいか分からず、オロオロしている。何も知らなかった王太子にすら疑われてしまっているのだから。
「どういうことなんだアビス! 君の両親は何を考えているんだ!?」
「ゆ、ユーム様、落ち着いてよ!」
「何を言ってるんだ! 映像とはいえ学園長が、」
『アビス嬢は聖女とはいえ学力がない! それを隠すためにも貴様には聖女の分まで課題をクリアし、試験結果を完璧に誤魔化さなければならないくらい分かるだろ!』
「うぇっ!? 課題をクリア!? それもシシラがやっていたのか!?」
「いや、これは……!」
「学園長も何をしているんだ!? シシラのもとへ行く前に説明しろ! これは不正そのものではないのか!?」
「で、殿下……これには深いわけが……」
『すでに貴様の両親からたんまり賄賂をもらっているんだ! アビス嬢の成績が落ちてると言われてはうるさいんだぞ! どうしてくれるんだ!』
「はぁっ!? 賄賂だって!?」
「「こ、これは、その……!」」
学園長もアビスもシシラを止めたいと思うが、混乱する王太子に問い詰められ、その側近二人に行く手を阻まれてしまう。すぐにでもシシラを止めたいのに止めることはできない。




