第7話 暴露による混乱
教師にあるまじき言葉を口にした映像、『何故、妹君の筆記試験を入れ替えなかった』と映像の学園長が言った。これは先程までに王子と聖女が叫んでいたこととは矛盾していた。
「何だよこれ!? 筆記試験を入れ替えなかったって言ってたぞ!」
「王子様と聖女様の言ってたことと違うわ!」
「そもそも何で学園長が入れ替えなかったことに怒ってんだよ!?」
映像とはいえ学園長の言葉。その言葉が王子と聖女に比べれば軽いと思う者は多い。しかし、時と場所によれば状況は違う。例えば、場所が学園内で時が責任ある立場の時であるならば。
「ど、どういうことだ学園長!? アビスが訴えたことと違うじゃないか!」
「で、殿下、落ち着きを……シ、シシラ・アリゲイタ! 貴様!」
「何よこれ!? お姉様は何をしたの!?」
体育館で動揺が広がっていく。しかし、これはまだ序の口だった。
『それでしたら今回は無理でした』
『それをどうにかするのが貴様の仕事だろう!? 上の指示には従わんか!』
「やめろぉぉぉぉぉっ!」
「「「「「ええーッッ!!??」」」」」
体育館は再び騒然となった。生徒も教師も大騒ぎ。事情を知る一部の者だけがこの状況に絶句していた。映像の中の学園長は言ったのだから『上の指示』と。上の指示とは何者なのか、映像は続いているのですぐに答えが出る。
「ええい! シシラ・アリゲイタ!」
「学園長、お待ちを!」
「どういうことかご説明いただきたい!」
「お前たちは!?」
学園長がシシラに向かって走り出そうとしたが、二人の少年がそれを阻んだ。黒色の髪と黄色い瞳の眼鏡の少年と灰色の髪で灰色の瞳の長身の少年だ。学園長はこの二人をよく知っている。宰相の息子フォティン・ローチと騎士団長の息子タイーガ・オルフノク、二人とも王太子ユームの側近なのだ。
「そこをどけ! あの娘の魔法を止めねばならんのだ!」
「何故です?」
「何故って、このままでは、その……」
「何か都合が悪いことでも? この後の続きを知っているでしょうからね?」
「う……それは……!」
鋭い指摘を受けて学園長は言い淀む。今ここで『あの映像は事実だから都合が悪いので止める』とは言えない。その一方でシシラの魔法も止めたい。ただでさえ、今『筆記試験の入れ替えがなかった』ということが露呈してしまったのだ。これ以上続けば学園長自身も含め上の立場にいる全員が窮地に立たされる恐れがある。
「……こ、このままでは騒ぎになる。それを防ぐためだ!」
「確かに騒ぎになっていますね。聖女様の都合の悪い事実が露呈されたのですから。忖度していた貴方とともに」
「何!?」
「あの口ぶりからして不味いことなんだろ? あの映像が証明だ」
「あ、あれは……!」
「学園長! 王太子である私にも説明してくれ!」
学園長が無理矢理でも二人を退けて進もうと思った直後、未だに混乱する王太子が説明を求めてくる。ちょうどその時に、映像から新たな爆弾発言が飛んだ。




