第6話 光魔法の映像
「何だお前は? 学園長たる私と王太子殿下の決定に異を唱えるというのか?」
「お前は……シシラとよく一緒にいた男だな。よくもまあ、そんな無能に肩入れできるものだな」
学園長とユームに嘲られながらもシュバリアは納得できないと叫ぶ。シシラとアビスの本当の学力と試験結果の入れ替えが今回だけ行われなかったことを知っている立場ゆえにだ。
「シシラは無能ではない! 確かに聖女のような希少な魔力属性ではないが彼女の光の魔法も素晴らしいはずだ! そもそもシシラに妹を虐げられるはずもないし、そこの聖女が口にしたような悪事を犯すわけがないんだ!」
「シュバリア様……!」
「黙ってもらおう。これはもうすでに教師陣で話し合ったことだ」
「うるさいな、さてはお前もシシラとグルだったのだな!」
シュバリアは立場なども気にせずに学園長とユームに訴え続ける。しかし、肝心のシシラはこのままではシュバリアの立場が悪くなってしまうと危惧した。
(まずいわ……私が追放されるのはいい。むしろ願ってもないこと。だけど、それでシュバリア様まで……どうしたら……そうだ、入れ替えの真実を明かすしかない! 今日、学園長が口にしたことを明かせばいいんだ!)
「光魔法【ライトメモリー】!」
シュバリアまで道連れになることを避けたかったシシラは、光魔法を体育館の天井に向かって放った。すると、怒り心頭の学園長の顔が天井に映し出された。
「「「「「ッッ!!??」」」」」
体育館にいる全員、つまり全生徒と全教師、王子と聖女とそして学園長すらも何が起こったのかと上を向いて騒然となった。誰もが動揺する中で、シシラとシュバリアだけは違った。
「シシラ、まさか!?」
「皆様、落ち着いてください! あれは私の光魔法【ライトメモリー】というものであり、私の過去の出来事を映し出す魔法です。何の危険もありませんから安心してください!」
シシラは大きな声で説明をした。体育館にいる生徒と教師の視線がシシラか体育館の天井に向かう。シシラの声は体育館にいる全員の耳に入ったようだ。ただ、シシラの思惑に気付いたシュバリアは違和感を感じた。
(不思議なほどにその声がよく通るな。シシラは拡声器の類を持っていない。そういう魔法も使ったのか? 光魔法にその類のものが?)
シュバリアが考え込むまもなく、天井に映る映像に変化が起こる。学園長の言動が再現された。
『シシラ・アリゲイタ! 貴様、どういうつもりだ!』
『? 仰る意味がわかりませんが?』
写った映像の学園長が怒鳴り、シシラは分からないフリをする。
「こ、これはっ!?」
シシラの言っていること、何をしようとしているのかを理解した学園長本人は顔を青褪めた。これからの映像の先は自身の言葉だからだ。ただ、何も分かっていない王子はシシラに向かって怒鳴りつけた。
「シシラ! 何をやろうとしているのか知らないが往生際が悪いぞ! 今更お前が何をしようとも、」
『分からんのか! 今回の試験についてだ! 何故、妹君の筆記試験を入れ替えなかったのだ!?』
「無……え?」
「「「「「はぁッッ!!??」」」」」
この場で、この状況下で、決して聞き捨てならない発言が響いた。




