第48話 VS悪魔4
「おい、害虫どもの様子がおかしくないか?」
「害虫たちが悪魔に集まっていくぞ!」
「「「「「っっ!!??」」」」」
その場にいた害虫フィロキセラの大群が倒れたパラドキサに群がり、一つにまとまっていった。そして、その姿を大きく変えてしまう。
「キエエエエエッ!!」
パラドキサとフィロキセラの大群は巨大なカマキリの怪物に変貌を遂げたのだ。
「「「「「うわああああ! 化物だあああああ!」」」」」
「あ、悪魔が害虫たちと合体したのか!?」
「な、なんてことだ! 逆転されたのか!?」
「こ、こんなことが……!」
謁見の間の天井にまで達するほどの巨躯を前に誰もが絶句した。希望が絶望に変わったとその場にいた殆どの者が思ったが、シシラやガミオ達は戦う意思を捨てることはなかった。
(ここでこの怪物を倒さなければならない! 両国の未来を守るためにも!)
シシラは魔力を練り直して、障壁を強化しようか攻撃魔法を繰り出そうか考えたが、カマキリの怪物となった巨大パラドキサは思わぬ行動に出た。
「キーエエエエエッ!!」
「えっ、怪物が後ろに下がっていくぞ? シシラ様じゃなくて?」
「おい、もしかしてシシラ様から逃げてないか?」
「いや待て! 謁見の間の壁を壊してるぞ! 外に逃げるんじゃないか!?」
巨大パラドキサはシシラから背を向けて謁見の間の壁を破壊し始めた。壁を壊して王宮の外に出るつもりのようだ。
「逃げる!? だとしたら、外で暴れ出すかもしれないですわ!」
「シシラ! 下がれ! 危険だ!」
ガミオは追いかけようとするシシラを止めた。そして、その判断は正しかった。壊された壁の瓦礫がシシラとガミオの前に落ちてきたのだ。ガミオが止めていなければシシラは潰されていたところだった。
「……あ、ありがとうございますガミオ殿下……」
「このくらい当然だ。君を死なせられないからな」
「殿下! シシラ様! 大丈夫ですか!」
ギューキが仲間の騎士たちとともに駆け寄ってくる。シシラが周りを見ると、害虫と悪魔との戦闘、更に瓦礫の破片で多くの怪我人が出ていた。ジュンメウキ王国の国王と宰相は無事のようだが、王子ユームは気絶していた。公爵夫妻と聖女アビスは震えて縮こまっている。肝心の巨大パラドキサは謁見の間から出ていった。
「悪魔が謁見の間から出たようです。このままではこの国の貴族街に現れるでしょう」
「不味いな。悪魔の姿を見れば人々はパニックになる。今から追いかけて食い止められるだろうか……」
ガミオや多くの者達がすでに戦いで疲弊しきっていた。魔力も残り少ない状態にもなっている。今から追いかけて戦って勝てる見込みは薄いとこの場にいる誰もが思った。
聖女の姉……だったシシラ以外は。
「追いかけましょう。このまま悪魔を逃がしたら取り返しのつかないことになります」
「シシラ、しかし……」
「私に考えがあります。どうか皆さんの残った力を貸してください」
シシラの魔力も少ない。それでも彼女は戦うと宣言した。




