第45話 VS悪魔1
「「「「「うわああああっ! 害虫だーっ!」」」」」
突然現れた大量の害虫フィロキセラに対して、ジュンメウキ王国側の兵士や騎士たちは恐怖心から狼狽えたが、バッファロード王国から来たシシラとガミオの護衛の騎士達は即座に戦闘にかかった。勿論、シシラとガミオも同じことだった。
「【ライトバフ】! 【ライトディメンション】!」
「聖女を中心に味方同士で固まれ! 害虫を駆除しつつ身を守り合うんだ!」
「「「「「おうっ!」」」」」
シシラが味方を援護しながら魔法で害虫を駆除し、ガミオや騎士たちも迫りくる害虫と戦う。そんな姿を目にした国王ジョケアは自国の騎士や兵士に向かって叫んだ。
「何をしておるか! 悪魔や害虫に恐れている場合ではない! これは国の危機なのだ! 隣国の騎士と聖女だけに戦わせるでない! 我が国を守るのだ!」
「「「「「おうっっ!!」」」」」
国王が命令しただけあって、さっきまで狼狽えていたジュンメウキ王国側の士気が上がった。だが、聖女アビスとその両親は違った。
「よ、よるなぁっ! うわああああ!」
「ひいいいい! 助けてぇっ!」
「もう嫌! 嫌嫌嫌嫌ぁっ! もう虫は嫌なのよぉっ!」
「アビス、落ち着いてくれ!」
「アビス! なんとかしてくれ!」
「アビスぅ!」
「【ホーリーシェルター】!」
「「「アビスぅぅぅぅぅっ!!」」」
この三人が一番乱心していた。特にアビスは、ユーム王子が宥めても耳に入らないどころか一人分の結界を自分だけに張って閉じこもってしまった。そして、結界の中で身を縮こませる。怖くて戦おうとしないようだ。公爵夫妻が、ユームがそんなアビスに向かって叫ぶが、アビスは結界の中で震えるだけ……誰が見ても戦力外だ。
そんな情けない聖女を悪魔が笑う。
「キヒヒヒヒ! さっすがアビスお嬢様ですねー! 貴女は見逃して他の連中だけを始末してあげまショッカー!」
パラドキサは手に備えた鋭い鎌を騎士たちに向かって振り上げる。騎士の一人が剣で攻撃を受け止めるが、剣にヒビが入って折れてしまう。他の騎士達が後ろからパラドキサに斬りかかろうとしたが、パラドキサの背中から虫のような翅が広がって弾かれてしまう。
「キヒヒヒヒ! さあさあさあさあ! パーティーは始まったばかりですよー!」
「「「「うわあああっ!!」」」」
パラドキサを相手に騎士たちが挑むが全く歯が立たない。騎士たちは切り刻まれたり弾かれたりして倒されていくばかりだ。このままでは全滅はそう時間はかからないだろうと分析したシシラは覚悟を決めた。
「ガミオ殿下、悪魔を先に倒しましょう! 私が相手をするので援護してください!」
「シシラ!?」
「私の魔法なら悪魔に有効です。そうすれば敵は害虫達だけになります!」
「それは……」
確かにパラドキサの正体を暴くときもシシラの魔法で苦しんでいた様子だった。有効といえば有効だろうが、それはシシラを一番危険に晒すことになる。ガミオとしては避けたいことだが、聖女アビスが役に立ちそうもない以上他に手はない。
……ガミオも覚悟を決めた。
「……分かった。だが、援護ではなく俺達はシシラと一緒に戦うぞ! 皆、聞いたか!」
「「「「「はいっっ!!」」」」」
シシラとバッファロード王国の仲間たちは悪魔パラドキサを倒すことを優先することが決まった。




