第33話 本当の姿
ガミオ・シュバリア・バッファロード、バッファロード王国の第一王子。それが留学生シュバリア・カイマの正体だと本人の口から語られた。
「俺はジュンメウキ王国に留学する際は王族の身分を隠すことが条件だとジョケア・ジュンメウキ国王は言った。だからこそシュバリア・カイマと名乗っていたんだ」
「身分を隠すのは王族の出自だと余計な注目を集めるのを避けるためですね」
「ああ、万が一にも聖女アビスが俺に……などということがないようにというのもあるらしいがな……」
口にもしたくないのか心底嫌そうな顔をして細かい説明を上手く省くシュバリア……いや、ガミオ。聖女アビスのことは避けて話を進める。
「ジュンメウキ王国の学園に留学した目的は互いの国を知ることだったのでしょうか?」
「そうだ……と言いたいところだが実際はもう一つ重要な目的があったんだ……」
ガミオは言いにくいのか少し間をおいてから口を開いた。まっすぐにシシラを見つめて。
「俺の目的は……このバッファロード王国の聖女になってくれそうな人を探すことだったんだ」
「え……?」
「我が国ではすでに五十年以上も聖女を輩出していない。聖属性どころか光属性の魔力を持って生まれてくる者すら現れない。このままでは国の威信に関わるとのことで俺の父バリスタ・バッファロード国王は他国から聖女を探すしかないと苦渋の決断をされたんだ」
シシラはバッファロード王国に関する情報を思い出す。確かに今から約五十年くらい聖女が現れたという話もない。更にはこの国の最後の聖女は数年前に高齢で亡くなったとも聞いている。つまり、現在バッファロード王国には聖女がいないということだ。自国にいないなら他国から探す他ないのは道理だ。
だからこそ、聖女に選ばれる資質を持った女性を連れて来る。それが『シュバリア・カイマ』の使命。シシラはそれに気付いた。
「シュバリア様……いえ、ガミオ殿下。貴方が私に近づいてきたのは自国のためだった……」
「そのとおりだ……」
シシラの口からも自身の目的を口に出された時、ガミオの頭の中は罪悪感と羞恥心が大きかった。学園でガミオがシシラに近づいたのは彼女の不遇な環境への同情だけではなく、むしろその弱みに付け込んでいたようなものであり、更に上手く利用してこの国に連れてきた。つまり、己の都合のためにシシラを振り回したのだ。それは紛れもない事実であるだけにガミオは王族として恥じていた。
……本心からシシラを尊敬し、力になって支えたいという気持ちもあるだけに。
(シシラが気付いた以上、もう逃げ場もないし逃げるつもりもない。今日この時、シシラが俺に対してどんな感情を抱こうとも俺は受け入れるしかない……。すでにこの国にまで連れてきてしまったんだ……これではあの国の者たちと俺は同じ……)
「よかった……」
「え?」
「ガミオ殿下はこの国の多くの国民のために私を頼ってくださったんですね」




