第29話 VS森の魔物
ショーツカ大森林。
ジュンメウキ王国とバッファロード王国の間にある森であり、その中心部には大悪霊アポルターガイストを封印している祠がある。大きな森だが2つの国を行き来しやすくするために馬車が通れるだけの道が整備してある。道には魔物よけの魔道具も設置してあるために、商人どころか貴族も余裕を持って通っていくことが多い。
だからこそ、シシラを連れて祖国へと進むシュバリアは困惑していた。
「右から蜘蛛の魔物群が接近してきました!」
「左からムカデの魔物が攻めってきています!」
「前方のエビの魔物は倒しましたが、新たな魔物が!」
「何故だ!? 何故こんなに魔物が寄ってくるんだ!?」
ショーツカ大森林の中心部に近づいた頃に魔物たちが襲いかかって来たのだ。驚いたシュバリアとギューキは仲間たちとともに戦うことになった。魔法を使いすぎて休んで眠っていたシシラを守るためにもシュバリア達は剣と魔法を駆使して戦う。
(おかしい……魔物よけの魔道具は上手く作動していないのか!? 先月、ジュンメウキ王国側で聖女の力を借りて新品に替えたと聞いたのは……)
聖女のことを思い出してシュバリアは戦いに集中することにした。ジュンメウキ王国の聖女に期待するだけ無駄なのは分かりきっていたこと。つまり、考えるだけ無駄なのだ。
「これは……どういうこと?」
戦いが激しくなってシシラが起きた。そして、シュバリア達が必死に魔物と戦っている状況に驚いた。
(あれは魔物? この森の魔物が何故? 魔道具は働いていない? いいえ、今は皆さんの助けにならないと!)
「シシラ! 起きたのか!?」
「シュバリア様! 【ライトバフ】!」
シシラの両手から光魔法が発動し、シュバリア達が光に包まれる。すると、光に包まれた彼らの傷が治り体力が回復した。
「治療と回復……力がみなぎる!」
「魔力も戻りました!」
「これもシシラの力か……行くぞ皆!」
「私も戦います!」
突然の魔物の襲撃に怯んでいたシュバリア達だったがシシラの魔法で身も心も強くなったことで士気も向上した。シシラも戦いに参戦したことで魔物たちが押され気味になりはじめた。そして、一時間もしないうちに全て打ち倒すことに成功した。
「ありがとうシシラ! 君のおかげで魔物たちを倒すことができたよ!」
「シシラ様ありがとうございます! 急に魔物が襲いかかってきたときはどうなることかと思いました」
「そんな、私の力なんて些細なものです。皆さんが元々強かったおかげです」
シュバリア達がシシラに感謝と称賛の声をあげるが、シシラは彼らの声を聞きながらも魔物たちが襲ってきた要因を考えていた。
(魔道具の様子からして問題はなさそう……魔物たちの方に何かあったのかしら? そういえばこの森の空気、何だか前来た時よりも……悪い?)
「ん? シシラ、何か考え事でもしてるのか?」
「申し訳ありません。魔物が襲いかかってきた要因を考えてるうちに、森の空気が以前より悪くなってるような気がして……」
「なんだって? そういえば以前と何だか違う気がするな?」
「シュバリア様、気になるので封印の祠まで急いでいただけますか?」
「構わないよ。元々中継地点のようなつもりだったしな」
胸騒ぎを感じたシシラは、シュバリアに頼んで森の中心部にある封印の祠へ急いでもらった。




