第14話 学園を去る
「シシラ、君は本当にすごいな。あんなのでも聖女に勝ってしまうなんて!」
「まぁ、アビスのことは嫌でも近くで見てきましたから。あの子の魔法もそのくせも頭に入っているのです。その経験が今の結果になったんです。皮肉なことですよ」
シシラの脳裏に浮かぶのはアビスの負担を代わりに受けてきた日々……。
(辛くて、厳しくて、しんどかった……。それでも言われたことを倒れてでもやり遂げてきた……。思えば、その過程で魔力量が少しずつ少しずつ増えていったのよね。独学で魔法の技術も構築したことも……それがアビスと戦っても負けなくなった理由ね)
それは課題のこともそうだが、聖女のすべき祈りや魔法による浄化、ポーションの作成に病院のボランティア、聖女の仕事全般を任された激務の日々。それらがシシラを鍛えてきたようなもの、それが聖女と戦って勝つという結果になったのだから確かに皮肉かもしれない。
「それでもすごいよ。皆、シシラの本当の力に驚いてるだろ。これでシシラの評価も変わってくるさ」
「この学園の評価ならもうどうでもいいことです。私は一刻も早く学園、国からも出ていきたい思いですから」
「やはりそうか……それなら俺も協力しよう。この後で俺の国に君を連れて行くように手配するよ」
「まあ! 本当ですか!」
「ああ、ずっと君の力になりたいと思っていたんだ。それくらいならお安い御用さ」
「シュバリア様……! ありがとうございます!」
シシラはシュバリアの言葉が嬉しかった。心の中でずっとシュバリアの国に行ってそこで暮らしたいと思っていたために、その願いがこんな形で叶うかもしれないなんて思ってもいなかったのだ。
だからこそ、シシラはケジメを付ける思いで周囲に宣言した。ここには元婚約者の王太子に学園長、そして聖女の妹がいるからちょうどいい。
「皆様、どうかお聞きください。私、シシラ・アリゲイタは学園からの退学処分を受け入れ去ります。それと同じく、王太子殿下の婚約破棄及び国外追放を受け入れ国を去ります」
「「「「「っっ!!??」」」」」
「今までありがとうございました。それでは失礼いたします」
シシラの言葉は呆然とする学園長と疲れてうなだれる聖女アビスに伝わったのか怪しいが、少なくとも王太子ユームと目があったので伝わったとシシラは判断した。何しろユームはシシラの言葉に驚いたのか唖然としている。
その機会を逃すまいとシシラは混乱する体育館を後にして学園を去っていく。周りは口を開けて唖然としながら見送っていたが、シュバリアだけは後に続いていた。




