第11話 聖女と王子
「ば、馬鹿な、ディスペル……強制魔法解除と!? 私の魔法を一瞬で……こんな高位の魔法をシシラ・アリゲイタが!?」
「すごい……熟練の魔法使い並の力。光魔法の使い手というだけではここまでできないはず……」
「そんな……もはや私以上の……仮にも聖女の姉だというのか!? くっ、シシラ・アリゲイタよ、学園追放のことだが、」
「そんなことよりもガニバケ学園長。今のはどういうつもりだ?」
学園長がシシラには力ずくで止められないと考えて交渉しようと切り替えた直後、シュバリアが怒りを滲ませながら声を掛ける。
「さきの魔法は教師が生徒にぶつけていいものではない。下手をすれば死んでいたかもしれないのに、学園長ともあろうものが何を考えているんだ!」
「し、仕方あるまい! シシラ・アリゲイタにはあの映像を止めてもらわなくてはならないんだ! こんな蛮行を続けさせるわけにはいかん!」
「蛮行というのはいきなり魔法をぶつけることではないのか!」
「うるさい! シシラ・アリゲイタは聖女の姉なんだ! あれくらい防いだではないか!」
シュバリアと学園長が言い争いを始めていると、聖女のアビスと王太子ユームが側近とともにシシラのもとに走ってきた。
「お姉様! あれを止めて全部嘘だって謝ってよ!」
「何言ってるの? 事実でしょう?」
「巫山戯ないでよ! あんなことをされて私がどれだけ迷惑してると思ってんの!?」
「迷惑とはどういう意味なんだ、アビス!」
「あっ、ユーム様……」
アビスがシシラに対して高圧的に怒鳴るように怒りをぶつけるが、その様子を王太子ユームに見られてしまう。そのユームは見たこともないアビスの怒り様に信じられないものを見た思いでいた。
「試験の入れ替えがあったのは今までのことで、今回がなかったということは、今までのアビスとシシラの成績は入れ替わっていたというのか!?」
「それは違、」
「映像の学園長の話が本当ならアビスは今まで姉に自分の課題をやらせていたというのか!?」
「違うって言ってるでしょ! うあああああ!」
アビスは癇癪を起こして髪を振り乱しながら首を横に振る。そんな様子にシシラもシュバリアも学園長ですら呆れてしまう。よくそこまで王族相手によくも堂々と嘘を貫けるな、と。
「こんなことになったのもお姉様のせいよ! お姉様、さっさと皆に嘘ですって謝ってよ!」
「お断りよ。嘘なんかついてないし」
「何でよ!? 今まで私のためにしてきたくせにどうしてよ!?」
「好きでそんなことをしてきたわけではないわ。そして、これからはもうそんなことをしない。学園の課題も聖女の仕事も一切肩代わりなんかしないわ。絶対にね」
「そんなの嫌よ! あああああ! 」
姉のせいにして謝罪を要求しても拒否される。予想していなかったことにアビスは更に怒り狂う。シシラが魔法を使っていなくても本性は見え見えだ。そんなアビスの姿にユームは幻滅する。それだけにアビスの事実と豹変ぶりがすごかったのだ。




