第10話 VS学園長
「おい! 教師三人があんなことを言ってるぞ!」
「やっぱり事実? しかも聖女様が我儘!?」
「そもそも両親もグルってまじかよ!?」
「……っていうか、そんなヤバいことを怒鳴った拍子に口に出すって教師としてありえなくね?」
その場にいる生徒たちが驚きながら話を広げていく。真相を軽々しく口にしてしまった教師を馬鹿だと呆れながら。ただ、不思議なことに教師三人も驚いていたことだ。
「おい、何を言い出すんだ!? 本当のことを言うな!」
「お前こそ!? 聖女の本性を口に!」
「お前ら黙れ! 学園長の悪事をばらすな!」
現在進行系で聖女と学園長の首を絞める発言をする教師三人。そんな彼らの様子を冷静に分析するシュバリアはシシラを振り返って小声で確認を取った。
「――本当のことしか言えなくなる魔法、それがさっきの光か?」
「――はい、あの三人は学園長やアビスの裏を知っているでしょうから嘘が言えないようにしました」
流石はシシラだ、シュバリアはそう思った。光魔法の力もすごいがシシラの機転の速さに感心した。
流石はシュバリア様、シシラはそう思った。冷静な分析で自信の魔法の能力に気づいた事に感心した。
『もし王家にこれまでの試験結果の取替の事がバレたらどうするのだ!? ただでさえアビス嬢と堂々と浮気する王太子が在籍中だというのに!』
シシラとシュバリアが互いに感心し合っている間にも映像の中の学園長の爆弾発言は続く。そして、現実の学園長はというと邪魔を振り切ってシシラの方に向かっていた。
「シシラ・アリゲイタぁ!」
「! あの学園長、遂に来たか」
「思ったよりも来るのが遅かったみたいですね」
学園長の顔はさきの三人の教師よりも怒りに満ちていた。鬼気迫る顔は真っ赤、シシラへの怒りと映像による自分の立場の危機感と羞恥によるものだろう。だからこそ、すでになりふり構わないようだった。学園長はシシラに向かって魔法の杖を向けた。
「【ストーンバレット】!」
「「っ!?」」
学園長の持つ杖から石礫が形成されてシシラに向けて放たれた。シュバリアは、まさか魔法を放ってくるとは思わなかったため、とっさにシシラを庇うように身構えた。ただ、シシラの方は学園長の行動を読んでいたようで、魔法の障壁を形成した。
「【ライトウォール】」
「何っ!? 光の壁だと!?」
シシラの形成した光魔法の障壁は石礫を通さない。当たってもヒビも入らないほど頑丈なものだった。それでいて金色に光り輝いて美しい壁。周囲の生徒たちはそう思った。シュバリアもその一人。
「シシラ……助かったよ、ありがとう。すごい魔法だな」
「いえいえ、大したものではありません。シュバリア様こそ庇ってくださってありがとうございます」
大したものではないと言うシシラだったが、シュバリアはそう思わない。光の障壁からは強いオーラを感じさせるし、学園長の放った石礫は見た目よりも威力はあるはずだったのだから防げたシシラの魔法はすごいはずなのだ。それは敵意を見せた学園長も同じ感想だった。
「ば、馬鹿な……私の魔法を防いだだと!? シシラ――聖女の姉にそんな力が……!? いや、それよりもシシラ・アリゲイタよ! 今すぐに映像を消せ! さもなくば、」
「学園長。私、シシラ・アリゲイタは学園からの退学及び追放処分を受け入れ今すぐ去ります。映像に関しては私が『部屋から出るシーン』で終わりますのでご安心ください」
「……な、何!?」
「シシラ……」
シシラの言い分を今までろくに聞いてこなかった学園長でも嫌でも耳に入ったシシラの言葉はあまりにも許せないものだった。追放処分を受け入れるのはいいが、忌まわしい映像はもう少し続くというのだから。今すぐに止めて映像は嘘だと釈明するならまだしも、今いなくなるのは学園長にとって不都合極まりない。
「ふざけるな! こんなことをしておいて逃がすと思うか! 【アイアンバレット】!」
「【ライトディスペル】!」
「何っ!?」
学園長は新たな魔法をシシラにぶつけようとした直後、光の障壁が輝きを増した。その瞬間、学園長の魔法が消え去った。その光景に周囲の誰もが驚いた。魔法に詳しいシュバリアと学園長は特に。




