第9話 エリシアの新たなお師匠様?
《ファルテ草原》
旅の仲間にナナリーを加えて、早くも3日ほど経ちました。
今はカルトナ国のという場所の草原で食事を取っている最中です。
もう少し西へと進めば、フォルティス王国に着く予定ですね。
そして、食事の最中に僕達を襲って来た一角兎をエリシア1人で相手にしてるのですが……勝てるでしょうか?
「キュキュイ!」
「覚悟……私の因縁のライバル種。今日こそは、この紅蓮のエリシアが貴方を倒す! お師匠に教わった。凄い技で! 火球」
プシュッ!
「キュイ?」
「……魔法が発動しない? 魔力切れ?」
「いえ、それはエリシアが魔法の修行をサボっているだけですよ」
「くっ! 強敵! もう一度。火球」
ボシュッ!
「キュイル?」
「ま、また出ない! 不調?」
「いえ、だから修行しましょう。毎日ちゃんと」
「つっ! こうなったら肉弾戦。魔法の短剣発動! 覚悟おぉぉ!!」
「キュキュイイ!!」
ドスッ!ポコッ!パキッ!
なんという無情な攻撃でしょうか。これは勝負ありましたね。
「キュキュキュイイ!!」
地面に這いつくばるエリシアの頭に乗り、勝ち誇る一角兎。
「…………無念。また負けた……(グスン)……ジジョオオオ!! 負けだぁぁ」
涙目になりながら、僕へと目を向けるエリシア。
「勝てる様にサボらず修行して下さい。エリシア」
僕は涙をながしながら、エリシアの敗北した姿を悔しい思いで見ていました。
「はい。これあげるから帰ってね」
「キュイ!」
ナナリーからキポントの種を受け取った一角兎は、やって来た草原を駆け抜けて立ち去って行きました。
「エリシアちゃん。魔法の修行はサボっちゃ駄目だよ~! それに火球なんて、魔法の基本基本出し。ちゃんと使えないと将来詰んじゃうよ」
「ウグァ?!……ジジョオオオ! ナナリーが私に容赦ない! ダズゲデェェェ!!」
泣き叫ぶエルフ王族のエリシア……この娘は本当にエルフの王族なんでしょうか?
「だから、サボらないで修行して下さいってば、もう一度火球のお手本を見せますよ。エリシア……火球」
ドゴオオォンン!!
「ね?」
「いや、リース君。それ、火球の火力じゃないから……エリシアちゃん。火力ってね。掌の一点に魔力を集中させて、一気に発動するの。見ててね……火球」
ボッ!
「お、おお! ナナリーの火力はショボくて可愛い! 凄い凄い!」
「………天然毒舌なのはお師匠様ゆずりなんだね。エリシアちゃんは。とりあえず私がやった様に発動してみてくれる?」
「わ、わがだぁ! 掌の一点に魔力を集中……火球」
ボッボッ!!
「で、できた! お師匠~! ナナリー~! できた!」
「す、凄い小さいですが、ちゃんと火球になってる……本当ですね。なんでナナリーが教えた途端にできる様になるなんて、不思議です」
「どこがよ! リース君の教え方が脳筋なだけでしょう……これは魔法の基本は私が教えてあげた方が良いかな? ねえ? エリシアちゃん。リースお師匠様から魔法を教わるのと、ナナリーお師匠様から魔法を教わるの。どっちが良いかな?」
「ぐっ! 勿論、僕ですよね? エリシア」
「ん~?…………」
エリシアがジーッと僕の方を見詰めていますね。これはやはり僕に魔法を教えてもらう事を選ぶに決まって……
「常識とかマナーはお師匠に教わりたいけど。魔法はナナリーに教わりたい。お師匠の魔法は可笑し過ぎてついていけない」
「な! ガーン!!」
「アハハ!! 凄いはっきり言われたね。リース君。うんうん。素直な娘は伸びるよ。エリシアちゃん。私が貴女を1人前の魔法使いに育ててみせましょう」
「おぉぉ!! 宜しくお願いします。ナナリー魔法の師匠~!」
「うむうむ。任せたまえ任せたまえ~!」
なんとナナリーさんに、エリシアの魔法を教えるお師匠ポジションを奪われる事になりました。
……僕ってもしかして、人に教える才能なかったりします?




