夢に溺れた豚

昔々、一匹の豚が空を飛ぶことを夢見ていた。毎日、鳥たちを追いかけては地平線の彼方で息切れし、神様はわざと脚を与えて翼を奪ったのだと嘆いていた。

ある夜、農場が眠りにつく頃、地面がかすかに震えた。豚はその呼び声に導かれ、紫色の光に照らされた洞窟へと足を踏み入れる。そこでは、長すぎる白髪の老人が大鍋をかき回していた。漂う香りは不可解だが、その材料は無惨にも煮え立つ鳥たち。憤った豚は老人に飛びかかる。驚いた老人は引き金を引き、豚は撃たれて倒れた。最後に見た光景は、鍋がひっくり返り、煮えたぎる液体が自分に降り注ぐ瞬間だった。

目を開けると、そこは果てしない緑の草原。豚は慌てて農場へ駆け戻るが、皆の視線は奇妙だった。水たまりを覗くと、背中に翼が生えていた。農夫は目を輝かせて言った。

「素晴らしい…この豚なら億の価値があるぞ。」

豚はその言葉を理解できた。翼は意思に逆らうように羽ばたき、豚は空へ舞い上がった。飛び方は不器用だが、初めての自由。池で水を飲み、鳴かぬ蛙の心を理解し、自分はもはやただの豚ではないと悟った。

だが、夢が高く昇るほど、人間の目にさらされる。ヘリコプター、網、命令の声。捕らえられた豚は白い実験室に運ばれ、冷たい手袋に包まれた指で切り裂かれ、解体され、秘密は論文の断片に変わった。

――終わり。

教訓：夢を叶えれば、世界は必ず解剖刀を用意している。小屋の汚れた藁の上で眠っていた方が、まだ安全だったのだ。

結末として、豚は当然のように死んだ。残されたのは、魔法使いの秘薬がわずかに混じった血だけ。だがその効力も完全に失われていた。

――つまり、すべては無駄だったのだ。