勝利の後に残ったもの。
「フレデリカ、残りのMPはどれぐらいある?」
「あとエクスプロージョンを3回撃てるかどうかです。」
「そうか。では、タイミングは任せるからここぞというときに撃ってくれ!お前の魔法でどれぐらいの魔物を倒せるかにかかってる!」
「わ、わかったわ・・・・・。」
「行くぞ!」
シェリーとフレデリカは、溢れ出てくる魔物を討伐していた。タクトを倒しても、他の魔物がアザゼルによって次々に召喚されていた。それでも二人は諦めず、いつか終わりが来ると信じて戦っている。と、その時正門の方で眩い光が辺りが辺りを照らした。その後すぐに、馬鹿デカい魔力を二人は感じる。
「何だこの馬鹿デカい魔力は・・・・・・正門の方で何が起こっている・・・・・。」
「こ、こ、こんな魔力量なんて今まで感じたことない。新手の敵?」
「気をつけろフレデリカ。何が起こるか分からない。他の冒険者も気をつけろ!これはただ事ではないぞ!」
シェリーは、フレデリカと他の冒険者にも何かが起こると注意を促した。そして魔物達は異変に気付き正門の方に向かっていく。状況が把握できていないシェリーとフレデリカは魔物達が正門の方へと移動していく姿をジッと見つめていた。
「どうしますか、シェリーさん。私達も正門の方へと向かいますか?」
しばらく考えるシェリー。シェリーは正門の方へと向かう事をためらっている。自分たちが行って何が出来るのか?もし、敵の増援ならさらに冒険者達を窮地に追い込むこととなる。ここに留まって様子を見るのが良いのか?など、いくつもの考えが浮かんでくる。そして、一つの結論へと至る。
「いや、ここに留まろう。向こうに行っても我々ではどうにも出来ないだろう。なら、今は一人でも多くの生存者を残しておくべきだ。」
「わかりました。なら、今ここに居る冒険者を集めましょう。固まっていた方が何かと対処しやすいでしょうし。」
「ああ、そうだな。」
こうしてシェリー達はここに留まり、ただひたすら待つことにした。今、この判断が本当に正しいのかは誰にも分からない。
そして、場面は城内へと移る。
「ピギャャャャャャャャャャャャャャャャャャ」
「な、何あの鳥?燃えてる?」
「な、何でやんすかね?見たことないでやんす。」
城内の上を飛ぶフェニックス。まるで獲物を探すかのように地上を見ながら・・・・・。
「エリー女王、あれって敵でやんすかね?」
「分からないわ。でも、油断しないで!いつ攻撃してくるか分からないから。みんなも油断しないで!敵か味方かも分からないから!」
エリー、ローグ、冒険者達はフェニックスを警戒している。すると、魔物達は一斉にフェニックスへと攻撃を始めた。いくつもの魔法や斬撃がフェニックスを襲う。フェニックスは上空を華麗に舞、攻撃をかわす。そして、フェニックスの全方向から数えきれないほどの魔法陣が現れ、魔法陣から火の玉が現れ地上の魔物達達へと放たれた。
「ピギャャャャャャャャャャャャャャャャャャ」
「う、うわ!あぶね・・・・・!?って、あれ!?俺達には飛んでこない!?」
フェニックスの火の玉をうけた魔物達達は次々と燃えていく。魔物達は瞬く間に数を減らしていく。一体、そしてまた一体灰とかしていく。
「「ガァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアア」」
やがて、そんな一方的な攻撃で王都内に居る魔物はフェニックスによって一匹残らず消滅した。
「た、倒したでやんすか!?一匹残らず全て・・・・・・」
「えぇ、たぶん・・・・・・・・・・・・。」
エリー達の周りにも、魔物達は居なくなり城内にはただ静けさだけが残る。フェニックスは魔物達が居なくなったのを確認した後、正門の方へと向けて飛んで行った。そして、正門から少し離れた所でケルベロスは周りの魔物達と戦っていた。
「ガルルルルルルルルルルルルルルルル。」
ケルベロスは口から特大の衝撃波を放つ。直線上に居た魔物はすべて消え、蛇の形をした尻尾の口からは紫色の煙が吐かれる。辺り一面は紫色の煙に覆われ、煙の中に居た魔物はもがき苦しみ始める。
やがて魔物たちは地面に倒れ動かなくなる。その圧倒的な強さを見たアザゼルは、
「まさか、ここまでとは。ラハブ、サマエル、メフィストフェレスここは一旦引きますよ!」
「あぁ、さすがにこれはやばいな。」
「戻って魔王様に報告しなければ。」
ラハブは、シーレから距離を取りアザゼルの元に行く。
「わたしがこのまま逃がすと思うか?お前達にはここで死んでもらう。」
シーレは、アザゼル達を逃すまいと直ぐに魔法を発動する。すると、アザゼル、ラハブ、サマエル、メフィストフェレスの各全方向に魔法陣が現れる。そして一斉射撃のごとく魔法が放たれた。
【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】
【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】
【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】
【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】
各々、全方向から来た攻撃に対応できず何箇所か攻撃を受ける。
「チッ!」「このっ!」「うわあぁぁぁ」「・・・・・・」
それでも堕天使達は致命傷を避け、アザゼルの周りに集まった。
「シーレ、今日はこれで引かせていただきます。いずれまたお会いしましょう。その時までその命、預けておきます。次はこうはいきませんよ。」
「フンッ」
アザゼル達は転移魔法を使いその場からその場から姿を消す。こうして、何とか王都アグリアスは堕天使達の手に落ちずに済み、一週間が過ぎる。




