窮地に現れたのは・・・。【其の5】
「見つけた!」
「ホーリーレイン」
凛はガロードの元に急ぐため、ホーリーレインで周りの魔物を一掃する。青白いオーラの雨が次々と魔物達を殺していく。すると、ガロードの雷神破とラハブの衝撃波がぶつかり合っている。徐々にガロードの雷神破がラハブの衝撃波に飲み込まれガロードに直撃しようとした時、
「じゃあな、ライオネルの息子よ」
「ホーリーシールド」
【ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーン】
間一髪、凛のホーリーシールドガロードの前に現れラハブの衝撃波は爆発する。腕を顔の前で構えていたガロードは片目を開け前方をみる。すると目の前には見た事のある青白い防御壁があった。
「ガロードさーーーん!」
ガロードは声のする方を見ると、馬に乗った凛がこちらに向かって来ていることを確認する。
「凛さん!どうしてここに!」
ガロードの元へと着いた凛は、
「よかった。間に合って!」
「凛様。凛様なのですね!お久しぶりです。」
「あ!エドワードさん。お久しぶりです。」
「立派になられましたね。エリー様も嘸かし喜ぶことでしょう。」
「えへへへへへ。」
「って、何で凛さんがここに居るんだ?アリスも居るのか?それに直人さんも?」
「はい、アリスは今向こうに向かっています。兄さんは、王都イザークでの戦闘で私達を逃すために留まっています。」
「留まっている。それは本当か?本当だとしたら厄介だな」
「何がですか?」
「堕天使たちは、クリスタ王国とアレンシア王国を落としたあと、ここを襲撃することになっていた。ってことは、王都イザークはすでに落とされていることになる。」
「そ、そんな。でも、確かに向こうにSランクパーティーのリーダーも居たはず。でも、兄さんは確認できませんでした。」
「だとしたら、きっと逃げ切れたのかもな。そう簡単には直人さんはやられたりしないからな。」
「そうですね。今は兄さんの帰りを待ちましょう。」
「あぁ、だがその前にあいつをどうにかしないと」
「お!?何だおめーは?」
「私は、聖女の坂柳凛です!」
「聖女?聖女様がこんな所に何の用だ?もしかしてわざわざお前も殺されにでも来たのか?」
「いいえ、あなた方を倒しに来ました。王都アグリアスはあなた達には渡しません。」
「お!?そいつはいい!何なら、そこの爺さんと3人でかかって来いよ!歓迎するぜ!」
「凛さんは、下がっててください。ここは俺が何とかします。」
「何言ってるんですか!?ボロボロじゃないですか!?私も戦いますよ!」
戦うときかない凛であったが、そこにアリスがレイナを連れて現れる。
(なんだあいつは。何処から現れた。)
「凛様、どうかこの子をお願いいたします。やっと出会えた妹なんです。ここでまた離れ離れにはなりたくありません。どうか、どうかお願い致します。」
「妹!!!わかりました。任せてください!必ずお救いいたします。」
「ありがとうございます。」
「なっ!姉さん!いつの間に!」
「ガロードか、久しぶりだな。ずいぶん大きくなって強くなったな。そして、かっこよくもなったな。」
「な、な、な、な、何をいきなり。って、レイナ!レイナは無事なのか!?」
「ああ、大丈夫だ。君はレイナを知っているのか?」
「知っているも何も、俺が旅の途中で保護したんだよ。そしたら姉さんの妹って言うからビックリしたぜ。」
「そうか。ありがとうガロード。君がレイナを助けてくれて良かった。感謝する。この恩はいつか必ず。」
「気にすんなって、お互い様だろ!?それより、向こうは片付いたのか?」
「変わらないな、その優しさは。向こうの堕天使は私に任せろ。必ず殺す。」
「ああ、頼むぜ。俺はこいつで手一杯だ。」
アリスはラハブをみる。ナアマより確実に強いと確信する。だが、今のガロードなら勝てるとも確信する。
「死ぬんじゃないよ、ガロード!あたしに貸しを貸したまま死んだら呪ってやるからね。」
「うおーーー。相変わらず怖いな姉さんは!でも、俺も死ぬつもりはないぜ。レイナに言わなくちゃいけない事もあるしな。」
「ではガロード、ここは任せる。」
「おうよ!任された!」
「ふふっ」
アリスは、変わらないガロードを見て笑顔になる。ガロードには初めて見せる表情だ。そして、アリスはナアマの元へと戻る。
「待たせたな。それじゃ、始めようじゃないか!」
「さっきのあの女はどうした?急に居なくなったが?」
「あぁ、姉さんのことか。向こうの堕天使を殺しに行ったよ。」
「ふふふふふ。わざわざ殺されに行ったか。まぁいい。」
「それはどうかな?あーみえても姉さんはかなり強いぞ?」
「それはさぞかし楽しみだ。まずはお前を殺し、次にさっきの女を殺すか。」
「俺を倒せたらな!凛さんはレイナの回復をお願いします。」
「はい!わかりました!ガロード君、気を付けて!」
「ああ!」
再び、戦い始めるガロードとラハブ。だがしかし、だいぶMPを消耗しているガロードに最初の頃のスピードはない。ガロードは攻撃の手を緩めない。だが、徐々に息の上がるガロード。
【ダンッ】【ガッ】【ダンッ】【ガッ】【ダンッ】【ガッ】
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」
「どうした、だいぶ息が上がっているぞ?そんなんじゃ俺はやれねーぞ!」
「うるせー!これくらいハンデだ!」
【ダンッ】【ガッ】【ダンッ】【ガッ】【ダンッ】【ガッ】【ダンッ】【ガッ】【ダンッ】【ガッ】【ダンッ】【ガッ】
ガロードの攻撃は尽くガードされてしまう。手数がさらに増す度、ガロードの息はどんどん上がる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
「やはりこの程度か。そろそろ終いにするか。」
「クソっ」
ラハブの右手に魔力が溜まる。そして衝撃波を放とうとした時、
「ガルルルルルルルルルルルルルルルルルル」
第二形態に変身したガルが、空中から巨大な氷の氷柱をラハブに向けて放つ!
「チッ」
「ガル!来てくれたのか!?」
「ガルルルルル」
ガルは、ガロードに近づき体を擦り付ける。
「おーよしよし。ありがとな、ガル!助かったよ!」
ガルの頭を撫でるガロード。
「え!?ガル?この子シーちゃんのフェンリルだよね?」
「あぁ、今は進化して第二形態になってるけどシーレの眷属。フェンリルのガルだ!」
「ガルルルルル」
ガルは、凛をみて「久しぶり」と言わんばかりに鳴く。
「す、すごい。進化したんだ。とても大きい。」
「大きいだけじゃないぜ?ガルは凄く強い!流石はシーレの眷属の事だけはある!」
「よし、ガル!俺とお前であいつを倒すぞ!」
「ガルルルルルルルルルルルルルルルル」




