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聖女の妹の呪いを解く為今日も兄妹は旅をする  作者: 雨のち晴れ
決戦!王都アグリアス編

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窮地に現れたのは・・・。【其の1】

「見えました!王都アグリアスです!2人も準備は良いですか?」


「はい!」「ええ!いつでも」


アリスが王都アグリアスを目視で確認した。王都アグリアスにいくつもの煙が見える。すでに戦闘が始まっていると確信したアリスは、すぐさま戦場を確認すべく凛に問う。


「酷い・・・・・・。凛様、すでに戦闘が始まってるみたいです。戦況を確認できますか?」


「はい!やってみます。」


凛は、集中して前方を広範囲で確認する。そして、戦闘は三か所で行われていることを確認した。


「見えました。どうやら、三か所で戦闘が行われているみたいです。正面の所には大規模なモンスター群れ、そして堕天使が1体。それから・・・・。このオーラは・・・・。」


凛は各戦場に、堕天使と人間と魔物のオーラをそれぞれ確認した。


「凛様!?どうかなされましたか?」


「はい、ここから正面に堕天使1体とガロード君が居ます。」


「なに!ガロードだと!来ていたのか。」


「はい、間違いありません。それから右隣には、タクトさんと人間の冒険者の人たち。その中でもズバ抜けて強いオーラが1つ。それと、シーちゃんのフェンリルがいます。」


「タクトが?何でここに。まさか・・・・・・。」


「はい、多分フレデリカさんが思っているようにアザゼルの眷属にさせられているのでしょう。」


「直人は居ないのか?」


「兄さんのオーラは感じません。ですが、左側にも堕天使1体と今にも消えそうな冒険者のオーラが一つ。」


「わかりました。ありがとうございます、凛様。では、私が一番魔物多い正面に行きます。凛様は、左側の弱っている冒険者を保護してください。フレデリカは、タクトの所へ。」


「アリスさん、私を正面に行かせてください。あれだけの魔物だと、私のホーリーレインが必要になる場面が必ず来ます。そして、アリスさんは弱っている冒険者さんの所へ。保護したら直ぐに私の所へお連れしてください。回復魔法を掛けます。フレデリカさんもそれでよろしいですね?」


「私はそれで構わないよ。デモンズウォーリアズの後始末はあたしがつける。」


「わかりました。では、凛様の作戦で行きましょう。私はここで馬を降り、スキルで門まで行きます。凛さんは、このままお進みください。2人ともご武運を」


アリスは、スキルインビジブルとスニークを使い一気にレイナの元へと走り出す。向かう途中の魔物は、パラライズダガーで動きを止める。直ぐに、レイナの元へと駆け寄るレイナ。


「!?」


「あれは・・・・・・・まさか・・・・・・。」


「やっぱりダメね。そこらの冒険者じゃ私には傷一つつけられないのだから。その点あなたは優秀よ!私の上半身を消し飛ばしたんだからね。せめて楽に殺してあげる。あの世で他の冒険者と仲良くね。バイバイ。」




ナアマの右手に魔力が溜まり、目の前で地面に横たわっているレイナへと魔法が放たれる。




【ドンーーーッ】


「レイナーーーーーーーーーーーーーーーー!」


ナアマの魔法がレイナに当たる直前で、アリスがレイナを保護する。


「さてと、邪魔者も片付いたし私もサマエルと合流しようかしら。」


「!?」


「何者だ!?」


アリスの投げたパラライズダガーがナアマをかすめる。砂煙が無くなりアリスがナアマの前に現れる。


「あなたが私の妹、レイナを傷つけたの?」


(あの女、いつの間に。気配を感じなかったわ。やるわね。)


「だとしたら、どうする!?私を殺す?貴方に出来るのかしら?そのお荷物を守りながら。出来ないわよね!?だって、その子は足手まといなんだから。」


「うるさい、黙れ。虫けら風情が。」


「な!?私にむかって何てことを言うのよ!」


「しゃべるな。虫唾が走る。」


「黙って聞いていれば、いい気になりやがってぇぇぇ!」


ナアマは、アリスに向かって魔法を放つ。するとアリスは再びインビジブルとスニークを使い、凛の元へと向かう。


「何処に行った!!出てこい、クソアマ!」


凛の元へと到着したアリスは、


「凛様、どうかこの子をお願いいたします。やっと出会えた妹なんです。ここでまた離れ離れにはなりたくありません。どうか、どうかお願い致します。」


「妹!!!わかりました。任せてください!必ずお救いいたします。」


「ありがとうございます。」


「なっ!姉さん!いつの間に!」


「ガロードか、久しぶりだな。ずいぶん大きくなって強くなったな。そして、かっこよくもなったな。」


「な、な、な、な、何をいきなり。って、レイナ!レイナは無事なのか!?」


「ああ、大丈夫だ。君はレイナを知っているのか?」


「知っているも何も、俺が旅の途中で保護したんだよ。そしたら姉さんの妹って言うからビックリしたぜ。」


「そうか。ありがとうガロード。君がレイナを助けてくれて良かった。感謝する。この恩はいつか必ず。」


「気にすんなって、お互い様だろ!?それより、向こうは片付いたのか?」


「変わらないな、その優しさは。向こうの堕天使は私に任せろ。必ず殺す。」


「ああ、頼むぜ。俺はこいつで手一杯だ。」


アリスはラハブをみる。ナアマより確実に強いと確信する。だが、今のガロードなら勝てるとも確信する。


「死ぬんじゃないよ、ガロード!あたしに貸しを貸したまま死んだら呪ってやるからね。」


「うおーーー。相変わらず怖いな姉さんは!でも、俺も死ぬつもりはないぜ。レイナに言わなくちゃいけない事もあるしな。」


「ではガロード、ここは任せる。」


「おうよ!任された!」


「ふふっ」


アリスは、変わらないガロードを見て笑顔になる。ガロードには初めて見せる表情だ。そして、アリスはナアマの元へと戻る。

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