それぞれの戦い 【シーレ編】
【ドクンッ】
「・・・・・・・・・・・・きろ。・・・・レン。」
【ドクンッ】
「・・・・・・・起・・・きろ・・・・カ・・・レン。」
【ドクンッ】【ドクンッ】
「起きろ。カレン。」
「お前の力が必要だ。」
【ドクン】
「んっ。」
カレンは、目を覚ます。体を起こして辺りを見渡す。少し頭痛がするが問題はない。そこには見渡す限り何もない真っ暗な世界が広がる。街も、人も、動物も何もかもが無い。ただ静かで、それだけだ。聞こえるのは男の声だけ。
「カレン。ガロードを助けろ。」
「このままではガロードが・・・・・」
「ガロード・・・・・・・?」
「痛っ!」
カレンは、必死に自分の記憶を思い出そうとする。しかし、思い出そうとすると頭に激痛が走る。思い出せるのは、自分の名前だけ。男の声はどこか懐かしい気がした。
「あなたは・・・・・・・・・?」
「あなたは誰なの?私を知っているの?ガロードって何?人なの?」
男からの反応はない。
「ねえ、答えてよ!私、何も思い出せないの!」
しかし、男の声は聞こえない。そこにあるのは静寂だけ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
仕方なくカレンは立ち上がり、もう一度辺りを見渡すがそこには何もなかった。無限に続く無だけ。
「何処なのよここは。それに、ガロードって何よ?さっぱりわからない。」
ここに居ても仕方ないと思い、歩き出すカレン。何処まで行っても無。
【無!】
【無!】
【無!】
「はあ、まったくほんと嫌になるわ。何処まで行けばいいのよ・・・・・・・。」
「それにしても、さっきの男の人の声どこかで・・・・?」
「痛っ!」
やはり思い出そうとすると頭に激痛が走る。その頭痛は、ますますひどくなり、ついには立っていられなくなり両膝をつき頭を抱える。
「な・・何・・・何なのよ・・この頭痛は・・・・。」
そして、カレンの頭の中に映像が流れ込んでくる。それは今、外の世界で起きている映像だ。シェリーと共に戦うガル。ナアマと戦うレイナ。そして、アバドンと戦うガロードとエドワード。
「何よこれ。何なの?頭の中に勝手に流れてくる。いったい何が起こってるっていうの。」
やがて、少し先の方でぼんやりとした光をみつける。
「あそこに行けば何かがわかる気がする。行かなくちゃならない気が・・・。」
カレンは、激しい頭痛の中起き上がり光の方へと歩き出す。そして、光の元にたどり着いたカレンの周りに眩い光が広がり現実世界に引き戻される。
「エリー女王、下がるでやんす!」
「大丈夫よ!私だって戦える。戦わなければいけないの!」
「ほれほれ、どうした!?おぬしらの攻撃など蚊に刺されるより痛くないわ!」
【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】【ドンッ】
「エリー女王、危ないでやんす」
エリーに放たれたサマエルの攻撃を、身を挺してうけるローグ。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。あ、あ、足がぁぁぁぁぁ。」
「ローグ!!!」
(ここは?なんだこの光景は、圧倒的じゃないか。今、あの男性はあの女の子事を女王と言ったの?え?何?思考が追いつかない。)
「誰か、神官を!早く!」
「ダメでエリー女王。神官も全滅です。このままではもちません。」
「そんな・・・・・・。ここまでなの。せっかくガロードが来てくれたのに。」
(ガロード?男の人が言ってた・・・・・?その子は何処にいるの?会えば何か思い出せるかもしれない。)
カレンは小さな体を起こし立ち上がる。カレンに気が付いたローグが、
「え・・・・エリー女王。あ、あれを・・・・」
「しゃべらないでローグ!」
「で、でもみてくだせぇ・・・・・・」
「え!?」
ローグが指さす方を見るエリー。そこにはさっきまで寝ていたはずのカレンが立っていた。
「シーちゃん!目が覚めたの?」
(シーちゃん?何を言っているんだあの子は?)
「良かった。無事なのね?何処も痛くない?」
「んー。んー。んー。んー。んー。(さっきから何を言っているんだ?そして、ここは何処だ?ガロードって人は何処に居るの?」
「ん!?何、シーちゃん?そんなに慌てて?」
「んー。んー。んー。んー。んー。(何を言っているって?だからここは何処で、ガロードって人は何処に居るのかって聞いているんだけど。」
「相変わらずガロードじゃないと分からないね。」
「あれは・・・シーレか!いつ目を覚ました。これはまずい。アザゼル様に報告するべきか?」
(何だあの化け物は!人か?。それに、空に浮いてる・・・。それと背中に羽が生えてるぞ。人じゃないのか?)
「シーちゃん、ここは危ないから下がってて。」
「んー。んー。んー。んー。んー。(下がっててと言われても、あなたこそボロボロじゃない。どうして戦っているの?)
「いや、シーレはまだ起きたばかり。殺すなら今しかないわい!女王もろとも殺してやるわい。」
サマエルがカレンに向かって魔法を放つ。
「シーちゃん、危ない!」
エリーがシーレを抱きしめ盾になる。
「んー。(危ない!)」
【パリンッ】
カレンが、右手をサマエルの魔法の方にあげると魔法陣が現れ、魔法を反射する。
「な、何だと!」
サマエルは、自分が放った魔法がそのまま自分に向かって来ていたのをとっさに避ける。
「んー。んー。(危ないわね!何するのよ!)」
カレンは、右手をサマエルの方に向けて文句を言った途端、カレンの右手の前に魔法陣が現れ、巨大な稲妻がサマエルに向けて飛んでいく!
「な、何だとーーーー!」
サマエルは、必死に躱そうとするがシーレの魔法が早すぎたため避けきれず右腕ごとを打ち抜かれる。
「何て威力だ。クソッ!ダメだ!アザゼル様に報告しないと。」
サマエルは、瞬時に勝てないとみてその場から離れる。
「に、逃げていく。た、助かったの?」
「そ、そうみたいでやんすね。さすがはガロード親分の相棒だけのことはあるでやんす。」
「シーちゃん、ありがとう、本当にありがとう。」
「んー。んー。んー。(え!?いや!?私何かしたのかしら?)」
「あ、そっか!ガロードを探しているのね。えっとね、ガロードはここを真っ直ぐ行った所の門に居るはずよ!行ってあげて!ここはいいから。」
「んー。んー。(ほんと!?ありがとう。助かるわ。」
「気をけてね!」
カレンはエリーが指さした方へと走っていく。
「これで、どうにかなるかしら。」
カレンはガロードに会えば何か思い出せると思い全力で走る。しかし、ここでカレンは違和感を覚える。
(何か全然進まない。走っているはずなのに。どうして?)
いっこうに門へとたどり着けないカレン。もう着いてもおかしくと思っているのだが。まるで進んでる気がしない。そして、民家のガラスに映る自分の姿を見たカレンは驚愕する。
(ええええええええ!?子供?何であたし子供なの?それに、背中に小さい羽がある。どうなっているの?)
目が点になるカレン。自分の事すらまともに思い出せないカレンは自分の姿を見た途端愕然とした。だが、こうしてはいられないとすぐさま頭を切り替え、正門に向けて走り出す。
(きっと、これもガロードって子に会えばわかるかもしれない。急がなくちゃ。)
必死で走り、ようやく正門へとたどり着き外に出る。そして必死に叫ぶ。
「んー。んー。んー。(ガロードさん居ますか?居たら返事してください!ガロードさん)」
そして、カレンが叫ぶ声を聴いたガロードが、
「シーレ!危ない!避けろ!」
「んー。(え!?)」
シーレに向けて、ラハブの魔法が飛んでくる。




